世界中のクラウドユーザに一貫したポリシーを適用・管理――Webセキュリティを統合し、ワールドワイドなセキュリティ強化を実現

国内外を問わずあらゆるデバイスからのWebアクセスの増加は、新しいセキュリティリスクを生んでいる。その背景として、労働力の確保や市場拡大を目的に日本企業の海外進出が進む一方、国内では『働き方改革』を旗頭としたワークスタイルの変革が進んでいることがあげられる。

本稿では、日本企業の海外進出をITの面から支援するIIJグローバルソリューションズに話をうかがい、日本企業の海外進出、働き方改革からくるセキュリティリスクと、その対策となるサービスの特徴やメリットを紹介する。

海外進出で新たなセキュリティリスクが発生

従来、日本企業の海外進出といえば“とりあえず日本人が現地へ行く”ことが主流であった。しかし近年では、人材不足の影響もあり、“現地にいる人材で賄う”ケースが多くなってきている。だが、こうした現地任せの取り組みは情報のブラックボックス化に拍車をかける結果となり、セキュリティリスクの増加という新たなリスクを生む要因になっている。

まず問題となるのが、日本とは異なるセキュリティを取り巻く環境だ。

IIJグローバルソリューションズマーケティング本部執行役員マーケティング本部副本部長 CISOの西塔裕志氏は「海外の人材の入れ替わりは日本よりも遥かに激しい。加えて現地IT担当不在の企業も多く、セキュリティポリシーを徹底し、日本と同様のセキュリティを各国現地で確保・運用していくことはあらゆる面で困難です」

IIJグローバルソリューションズ
マーケティング本部執行役員マーケティング本部副本部長 CISO
西塔裕志氏

また、「GDPR(General Data Protection Regulation：EU一般データ保護規則)」や「中華人民共和国サイバーセキュリティ法」をはじめ、国や地域によって法規制が異なる点も悩みのひとつだ。

「法規制が違えば、当然ながら認識や考え方に齟齬が生まれるだけでなく、セキュリティポリシー自体も大きく変わってしまいます。かといって、そのひとつひとつに”人力”で対応していくというのは、現実的ではないでしょう」(西塔氏)

しかし、こうした企業の事情などお構いなしに、サイバー攻撃は世界規模で増加の一途をたどっている。そこでIIJグローバルソリューションズが提供を開始したサービスは、米Zscaler社のクラウド型Webプロキシサービス「Global WebSecurity (Zscaler ZIA)」だ。

「Zscaler ZIA」は、インターネットへアクセスする際のトラフィックを集約し、統合したセキュリティポリシーをクラウド上で適用・管理できるというもので、高度なサンドボックス機能とフォレンジック機能を備えた多層型防御フレームワークを活用し、日本に居ながら海外拠点のセキュリティ強化を図ることができる。

Zscaler ZIAの概念図

各種クラウドサービスをセキュアかつ快適に利用できる

IIJグローバルソリューションズは、“世界を、人を、ビジネスをつなぐ”をキーワードに、海外進出を図る日本企業に向けネットワークおよびICTソリューションの提供を行っている。

そんな同社の顧客でも、近年は海外セキュリティに関する相談が増えているそうだ。

西塔氏は「『Zscaler ZIA』の魅力は、その強固なセキュリティ機能や、システム管理者の負担軽減だけにとどまりません。プロキシサーバを従来のオンプレミスからクラウドへ移行することで、昨今の企業を取り巻くビジネス環境の変化にも柔軟に対応できるようになるのです」と語る。

【活用ケース1】Smart-WANとの連携

2020年を見据えて『Windows 10』とクラウドサービスの『Office 365』の組み合わせに切り替えを予定している企業は多い。

しかし、『Office 365』は多くのセッションやトラフィックを使用するため、これまで使ってきたオンプレミスのプロキシサーバではどうしても処理能力が不足しがちだ。その点、『Zscaler ZIA』はクラウドサービスならではの高いパフォーマンスを有しており、セッション増加やトラフィック逼迫で処理が重くなるというボトルネックを解消。『Office 365』をはじめ、各種クラウドサービスをセキュアかつ快適に利用できるインターネットブレイクアウト環境が整えられるのである。

IIJグローバルソリューションズではマネージドWANサービス「Smart-WAN」と『Zscaler ZIA』を組み合わせることで、この課題に取り組んでいるかたちだ。

西塔氏は米Zscaler社の製品について、「大手ベンダーの場合はベンダーロックインを狙った製品も多いのですが、Zscaler社は逆にさまざまなテクノロジーパートナーと組むことで、エコシステムを拡大し続けています。弊社でもその特徴を活かし、各分野で最適な製品を選定して組み合わせる『ベスト・オブ・ブリード』の考え方で、IDaaS(Identity as a Service)やCASB(Cloud Access Security Broker)なども含めた、海外進出企業が包括的に利用できるエコシステムの形成を考えています」と語る。

サービス間連携で他社との差別化を促進

IIJグローバルソリューションズでは「Zscaler ZIA」を提供するにあたり、既存のサービスとの連携を重視している。ひとつは海外拠点のセキュリティを運用・管理するクラウド型統合管理セキュリティサービス「Secure de! World(セキュアデワールド）」との連携だ。

このクラウドマネージド型のUTMサービスと「Zscaler ZIA」を連携させることでゼロタッチ導入による海外拠点の多層防御を提供している。

これによりIT管理者不在でブラックボックスになっている海外拠点に関して、セキュリティの「可視化・防御・管理」を日本から実現できる。

西塔氏は「弊社ではグローバルセキュリティをひとつの大きな柱として取り組んでいます。可視化、防御だけでなくこれからのクラウド時代にはポリシーの統合管理も必要不可欠です。ただ「Zsclaer ZIA」を提供するというのではなく、海外の法規制や商習慣に精通し、グローバルスタンダードのソリューションを組み合わせることで、現地事情に合わせた形で日本企業のグローバルITガバナンス実現を支援します」と同社の強みを強調した。

【活用ケース２】Secure de! Worldとの連携

近年は日本企業の海外進出だけでなく、働き方改革への取り組みという観点で、従来のオンプレミスからクラウドへとビジネス環境をシフトする企業が増えている。こうしたなか、セキュアかつ快適に各種クラウドサービスを使える「Zscaler ZIA」、それを核にIIJグローバルソリューションズが打ち出す差別化されたソリューション群とのタッグは、企業にとって非常に心強い味方となってくれるだろう。