「モバイルワーク」や「テレワーク」など呼び方は異なるが、いま企業では"リモート(会社以外の場所)で働く"ことの重要性が注目され、その環境整備に向けた取り組みが求められている。そこで本記事では、「デジタルワークスペース」の観点からビジネスに新たな改革をもたらすべく取り組んでいる、NTTデータ、シトリックス・システムズ・ジャパン(以下、シトリックス)、ヴイエムウェアの3社が集結。ITの観点から、働き方改革やデジタルワークスペースの現状と未来を座談会形式で語り合った。

少子高齢化の時代に求められるリモートでも効率的に働ける環境づくり

NTTデータ 遠藤 由則 氏(以下、遠藤氏) 日本の企業では「モバイルワーク」や「テレワーク」など、働き方改革の一環として"リモートで働く"ことが注目を浴びていますが、外資系企業の多くはすでにこうした環境が整っていますよね?

シトリックス 小林 伸睦 氏(以下、小林氏) そうですね。海外の中でも、特に国土が広い米国などでは、以前からリモートによる仕事が大前提です。日本人が会社以外の場所で働くという環境に慣れていないのは、これまでFace to Faceでのビジネスが多かった日本特有の商慣習といえますね。

ヴイエムウェア 本田 豊 氏(以下、本田氏) 外資系企業では複数の国や地域にまたがる組織の展開が積極的に行われていますし、リモートで働くことのメリットと重要性を十分に理解している企業が多いと思います。実際に私が所属するチームも日本には1人しかおらず、会議などは常にリモート環境で行っています。

遠藤氏 一方で日本は、いまだに「フルタイムでオフィスへ出社しないと認められない」といった従来の考え方が残っている企業もあります。しかし、少子高齢化に伴い労働力人口の減少が叫ばれる中、こうした縛りが労使ともに足枷となってきているのは否めません。やはり企業側で現代のビジネススタイルに合わせていく、オフィスへ出社しなくても働ける環境をITで実現していくことが必要ですね。

小林氏 ある意味では、日本のビジネスがよりグローバルに近づいてきたともいえますから、現在注目されている働き方改革の波を通じて、基盤となるIT面からいかにケアしていけるかが重要だと感じます。

株式会社NTTデータ
ビジネスソリューション事業本部
デジタルビジネスソリューション事業部
営業統括部 営業担当
部長 遠藤 由則 氏

従来の働き方とは異なる観点での労務管理や評価制度の整備も必要

遠藤氏 日本の場合、リモートで働く環境を採用するうえでの課題として「社内コミュニケーションの低下を招く可能性」「勤怠状況をチェックする難しさ」「適正な評価が行えるか」といった点が多く聞かれますが、海外ではいかがですか?

本田氏 それぞれの企業特性に合わせて、労務管理や評価の制度が整備されていますね。もちろん、国が違えば風土や考え方も変わるので一概にはいえませんが、ヴイエムウェアの場合はどちらかというと企業の"戦略"として捉えています。企業全体の売上やパフォーマンスを上げるためには、より働きやすく、効率的なビジネス環境を構築する必要がある、と。

小林氏 リモートで働く環境には、作業にかかる時間を逐一見ていくのではなく、マネージャクラスの人物がコミュニケーションスキルを高めながら、いかにチームとしての成果やアウトプットを出していくかが重要です。評価についても、成果やアウトプットを可視化して組み込む仕組みが求められますね。

遠藤氏 たとえば、「タブレット端末を支給したけれど、一部の業務用途にしか使われていない」という企業もありますし、IT環境の整備はもちろんのこと、労務管理や評価の制度も必要不可欠ですね。

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
アジアパシフィック・ジャパン事業推進本部
テクノロジ・ソリューション推進マネージャ
兼 エバンジェリスト
総務省テレワークマネージャー
小林 伸睦 氏

働き方改革の基本概念は"時間"と"場所"の有効活用

遠藤氏 日本では"働き方改革≒VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)"という風潮も見られますが、そのあたりはどのように感じられていますか?

本田氏 確かに日本では、ここ数年で働き方改革という観点からVDIを導入されるお客様が増えていますね。その理由として、業務の根幹に「Windows」や「Office」などMicrosoftさんの製品が深く根づいており、これを社外からでもセキュアかつ便利に使える環境として、VDIに注目が集まっているように感じます。

小林氏 VDIが成長してきた背景にはセキュリティへのニーズがありますが、現在はセキュリティよりも働き方を変えるための"攻めの投資"へと、考え方が変わってきた傾向が強いですね。もちろん、より高い投資効果を得るにはVDIだけでなく、さまざまなソリューションを組み合わせて使いこなす、「ワークスペース」として考えていく必要があります。

遠藤氏 弊社でも、あくまでもセキュアに使えることを前提としたうえで、VDIに限らず利便性の高いサービスを求めていらっしゃるお客様が増えていますね。"守り"から"攻め"に転じる投資として、ビジネスの在り方を変える「ワークスペース」の考え方は非常に有効だと感じています。ちなみに、一口に"働き方改革"といっても、企業によって目的や具体策が違いますが、お客様にはどのようにアドバイスをされていますか?

小林氏 業種・業態によっても違いますが、「どのようにして収益を上げていくか」や「企業を成長に導けるか」を基準としたもの、あとは「いかに顧客エンゲージメントを高めていくか」といった内容が多いように感じます。一方でモノづくりの分野では、イノベーションを起こす「コラボレーション強化」の意味合いが強いかもしれません。国内市場が縮小傾向にある日本企業の場合、海外市場へ挑戦するか、国内市場で新たな価値を創造するための打開策として、働き方改革に取り組むケースも見られます。もちろん業種・業態で一括りにはできませんが、結局のところ"時間"と"場所"を有効活用する働き方が求められていることには違いありませんから、お客様から相談を受けた場合、時間と場所を緩和して働ける企業内のカルチャーを作りながら、モバイルワークやテレワークといった制度面の整備をお勧めしています。

本田氏 あとはコスト効果の観点も重要でしょう。VDIにはセキュリティ面の効果もあり、一般的なクライアントPCと比べ、必ずしも単純なデスクトップ単価を抑えるものにはなりません。たとえば初期コストの約半分をストレージが占める場合、ストレージのコスト抑制の手法を紹介するなど、お客様の負担を減らす提案も行っています。また、デバイスとアプリの数が増えていくと、サイロ化によってどうしても管理面でのコストが上がりやすいので、そのあたりのソリューションを提案することも必要ですね。

ヴイエムウェア株式会社
マーケティング本部
チーフストラテジスト
プロダクト&ソリューション - EUC/IoT
本田 豊 氏

これからの企業にとって必要不可欠な「デジタルワークスペース」という概念

遠藤氏 働き方改革に対するスピード感こそ各企業で違いますが、"変わらなければいけない"という思いは確かにあります。そうした中でITに求められているのは、利便性を最大限享受しつつ、同時にセキュリティも担保する、いわば相反する要素です。これをサービス事業者として、いかにユーザーの利便性を損なわずに実現していけるかが大きな鍵ですね。
SaaSなど便利なクラウドサービスを自由に使いつつ、特に大手企業ではフレキシブルに活用できるプラットフォームのようなものが求められます。それには、基盤となるVDIだけでなく、セキュアかつモビリティを高めた有機的な仕組みなども含まれるでしょう。プラットフォーム内を同一プロダクトで充足する必要はなく、あくまでもお客様毎に最適な形でデリバリーができる、この環境をNTTデータでは「デジタルワークスペース」と呼んでいます。

小林氏 考え方はまったく同じで、これから企業を待ち受けているのは「時間と場所の解放」を余儀なくされる時代です。その中で仕事のクオリティやスピードを担保していくには、状況に応じたデバイスの活用、SaaSのようなOS、デバイス、アプリケーション・データがストアされる場所などに依存せず利用できるサービスの活用、そしてセキュリティやUI最適化なども必要不可欠といえます。これらを本当の意味で実現できるのがワークスペースですね。基本的にはフレキシビリティを求めたり、事業の戦略上で時間や場所を打ち破ったコンセプトの働き方に変えていったりしなければ、決して実現できないものだと思います。

本田氏セキュリティとユーザーにとっての利便性は相反するところもありますが、弊社ではIT部門向けにエンタープライズクラスのセキュリティを、ユーザー向けにはコンシューマ製品のような使い勝手の良さを両立していく、というコンセプトでデジタルワークスペースの実現に取り組んでいます。ユーザーの利便性、最新の統合エンドポイント管理、VDIなどの仮想化技術、デジタルワークスペース全体の可視化、そしてセキュリティ侵害などへの対応プロセスの自動化に関するテクノロジーを網羅する包括的なプラットフォームのアプローチを採用することで、管理性の向上とセキュリティの強化だけではなくサイロ化によるコスト増を軽減しやすいのもメリットのひとつです。

遠藤氏 こうしてお話を伺っていると、やはりデジタルワークスペースに対する考え方のベクトルは同じですね。技術的にはすでに"IT ready"の状況ですから、あとはお客様が自社のビジネスへスムーズに取り込んでいけるよう、そのサポートをするのが私たちの重要な役割だと再確認できました。本日はありがとうございました。

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