製造業におけるInternet of Things(IoT)の代表例として、現在注目を集めている「スマートファクトリー」。これは、工場内のさまざまな機器がインターネットに接続し、そのデータから製品の品質や状態、工作機械の故障予測までを可視化できるというものだ。しかし、スマートファクトリーを実現するには膨大な数の機器やセンサーから情報を集める必要があると同時に、データの精度や製品の品質を保持するうえで、巡回・点検業務の果たす役割は大きいといえる。

本稿では、工場でのフィールドワークにおける巡回・点検業務を効率化するソフトウェアと、クリティカルな環境での使用に適したハードウェア(タブレット端末)を組み合わせたソリューションを手掛けるSCSK北海道と、ロジテックINAソリューションズの担当者に、工場におけるIoT化のポイントを伺った。

工場内の情報を“見える化“する「CHECKROID」で迅速な分析を支援

工場内においては、定期的な巡回・点検業務が必要不可欠だ。こうした業務を支えてくれるのが、SCSK北海道が開発した巡回・点検業務を効率化するソフトウェア「CHECKROID(チェックロイド)」および、それを搭載する堅牢性に優れたロジテックINAソリューションズのタブレット端末「ZEROSHOCK(ゼロショック)タブレット」だ。

まず「CHECKROID」は、製造業/電気・ガス事業/不動産業/建設業をはじめとした保守点検や報告業務など、あらゆる業種・業態のフィールドワークに対応。PCやタブレットなど端末経由で作業計画から報告まで一貫した業務サポートが受けられ、業務効率の向上を実現してくれる。

SCSK北海道 営業部 IT基盤ソリューション担当 主事の西村 豪泰氏は、「工場内の巡回・点検業務にはチェックシートが必要不可欠です。そして多くの工場では、紙のチェックシートが使われていると思います。しかし、紙のチェックシートは保管が大変で、数万枚にもおよぶ点検シートが倉庫内に眠っているというケースも多いはずです。これでは保管スペースだけでもコストがかかるうえ、後日その中から必要な情報を見つけ出すのは多大な労力を要します。また、紙のチェックシートをもとにデータ入力する場合には、手間と時間を要し、入力ミスも発生しがちです。『CHECKROID』は、こうした工場におけるチェックシートを手軽に電子化して、そのデータからリアルタイムな分析が実施できる環境を整えるだけでなく、将来的な生産性の向上を図るうえで有用となるデータの蓄積を実現するのです」と語る。

  • SCSK北海道株式会社
    営業部 IT基盤ソリューション担当
    主事 西村 豪泰氏

紙の書類を電子化することは、企業にとって単なるコストメリットだけでなく、トラブル発生時の迅速な原因究明や対応、分析による品質向上、属人化している作業の可視化、分析のフィードバックサイクルが短縮されることによる生産性向上など、さまざまなメリットを享受できる。

加えて、電子化による情報の“見える化”は、近年さまざまな企業で取り組みが加速する“データ活用”の入口としても重要な役割を担っている。分析・活用に必要な数多くのデータが蓄積できるだけでなく、将来的に製造業でAIが普及した際、すぐに機械学習や深層学習を行えるための礎となるのだ。

SCSK北海道 第二事業部 主務の多田 優基氏は、「工場内の情報をシームレスに見える化・蓄積する上で、『CHECKROID』は非常に大きな効果を発揮します。また、こうして蓄積された膨大なデータは、将来的なスマートファクトリーの実現に至る道のりの短縮にもつながるわけです」と語る。

  • SCSK北海道株式会社
    第二事業部
    主務 多田 優基氏

実際、「CHECKROID」の導入時に見直しを図り、約500種類あったチェックシートを約100種類にまで減らせた事例もあるという。

工場内のクリティカルな環境にも耐える「ZEROSHOCKタブレット」

ロジテックINAソリューションズの「ZEROSHOCKタブレット」は、10.1インチ液晶を備えたタブレット端末だ。その特徴は堅牢性の高さで、大画面のタブレット端末ながら1.2mからの耐衝撃落下試験をクリア。悪条件でも使える防塵・防滴設計、-10℃~50℃の動作温度対応、さらには建設や物流現場などで使いやすい手袋モードも搭載している。これならば、粉塵やオイルミストが舞う工場内、冷凍庫の中といった環境でも安心して利用できる。

ロジテックINAソリューションズ ビジネスソリューション部 マネージャーの山田 真也氏は、「弊社で『ZEROSHOCKタブレット』をご提案する際は、必ず実際に触っていただくようにしています。確かに一般的なタブレット端末と比べて大きい・重いと感じるかもしれませんが、使っている最中に壊れてしまっては、業務が成り立ちません。そこで過酷な現場ほど、この堅牢性が活きてくるわけです」と語る。

  • ロジテックINAソリューションズ株式会社
    ビジネスソリューション部
    マネージャー 山田 真也氏

また、OSに「Windows 10 IoT Enterprise」のLTSB版を選べるのも大きなポイントだ。

「企業において、『Windowsのアップデートを行ったら、アプリケーションが動作しなくなった』『アップデートに時間がかかって作業に支障が出た』といった話はよく聞かれます。たとえアップデート後にアプリケーションに不具合が出ていなくても検証は必要ですから、そこに多くの手間や時間がかかってしまうでしょう。その点、更新がセキュリティプログラムと修正プログラムに限定される『Windows 10 IoT Enterprise (LTSB)』ならアプリケーションの仕様を最長で10年間固定できるため、こうした問題も発生しません。また、業務に関係がないアプリケーション起動の禁止や、スワイプで別の画面に切り替わらないようにするなど、機密性が求められる環境での使用を考慮した機能もご利用いただけます」(山田氏)

  • CHECKROIDでタブレット端末を利用し、フィールドワークを見える化!

工場内の“見える化”はスマートファクトリー実現に向けての第一歩

このように、今後の製造業に欠かせないソリューションのひとつとして、工場でのフィールドワークにおける巡回・点検業務を効率化する「CHECKROID」と、クリティカルな環境での使用に適した「ZEROSHOCKタブレット」の組み合わせを提案したのが、半導体・電子部品・情報機器・組み込み向けハードウェア&ソフトウェアの各製品を取り扱う、技術商社のアヴネットだ。

日本の製造業は現在、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や、東南アジアを中心とした生産競争の激化など、多くの課題を抱えている。こうした背景から、競争力強化に向けたスマートファクトリーの実現は課題解決に向けた命題であり、それを支える巡回・点検業務の効率化もまた必要不可欠といえるだろう。そこでまずは、いかに工場内の情報を見える化し、迅速なデータ分析および活用が行えるよう、データを蓄積できるかがスマートファクトリーの実現に向けた第一歩なのだ。

  • 集合写真

今回紹介した「CHECKROID」と「ZEROSHOCKタブレット」の組み合わせは、まさにこのフィールドワークの可視化に最適なソリューションだ。アヴネットでは今後、製品の貸出や展示会への出展も予定しており、このソリューションを実際に体験できる機会を設けていくとのことだ。

[PR]提供:アヴネット