Cisco Meraki仮想導入事例
~大型ホテルのケース

とある高級ホテル。総客室数約300を誇る大型ホテルだが、近年は無線LANのパフォーマンスに対する苦情が宿泊客から続出していた。そこで同ホテルでは無線LANのユーザービリティを改善し、増大するインバウンド需要に対応するため、新しいネットワークシステムへの切り替えを検討、富士ゼロックスに打診した。富士ゼロックスでは現状をくまなく調査し、無線LAN不調の原因を追求。販売代理店としてネットワンパートナーズに声をかけ、クラウド管理によりネットワークのパフォーマンス向上と可視化を実現するソリューション「Cisco Meraki」を提案、同ホテルのネットワーク改善プロジェクトがスタートした。

ネットがつながらない、不満多発で原因を調査

「Wi-Fiのスピードが遅い」「つながらない」……苦情コメントが出始めたのは2016年夏頃のことだった。「年が明けて2017年に入ると、苦情はほぼ毎日聞くようになりました」と、同ホテル情報システム部門担当者の山田氏(仮名)は言う。
ホテルのWi-Fi情報サイトでも評判は芳しくなかった。この種のサイトを参考にホテル選びをする宿泊者も当然いるため、ブランドイメージに影響しかねない。山田氏は毎朝出勤するとホテル内を歩き回り、自分のスマートフォンでWi-Fiのつながり具合を確認しては、頭を抱えていた。
同ホテルが宿泊者向けにWi-Fiシステムを導入したのは2014年のこと。当初は円滑に進み、苦情も少なかったという。ところが導入から2年を数える頃から不調が多発するようになった。それまでの無線LANはシステム自体が古く、最新規格のIEEE802.11acにも対応しないため、新しいデバイス・OSを使うユーザーとのマッチングがうまくいっていない可能性が理由のひとつと考えられた。
ただ、当時のシステムでは根本的な原因を突き止めるのが困難だった。宿泊者がパソコン、スマートフォンなどどのようなデバイスを使い、どのようなOSやアプリで接続しているのか、また、ストリーミング動画を見ているのか、ゲームを楽しんでいるのか、ビジネスで活用しているのかといった使い方もわからなかった。アクセスポイントを含めた当時のシステムがボトルネックとして存在している可能性が高いこと、ホテル内の無線LANルーターの構成に問題がありそうなことは想像がついていたが、明確な原因追求にはなかなか至らない。山田氏にとってはまさに暗中模索の日々だった。

Wi-Fi環境の刷新に向け、Merakiに大きな期待をかける

インバウンド需要の高まりに加えて、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、海外からの宿泊客は今後さらに増える。「海外のゲストからは、日本の宿泊施設でWi-Fi環境に対する不満が多いとよく聞きます。当ホテルをさらに快適に利用していただくためにも、インターネット接続環境を刷新する必要があると考えていました」。山田氏はそう語る。
そんなとき山田氏の頭に浮かんだのが、富士ゼロックスが同ホテルに対して以前から提案していた「Cisco Meraki」(以下、Meraki)だった。Merakiは無線LANアクセスポイント、スイッチ、セキュリティ(ファイアウォール)、カメラ監視の4点をクラウド管理し、ひとつのダッシュボード画面で全要素の"見える化"を実現するネットワーク製品だ。LANケーブルを接続するだけで使用できるようになり、設定もクラウドから自動取得するので、工数とイニシャルコストの大幅削減が可能になる。機能、コストパフォーマンス、さらには使い勝手もすぐれていることで、山田氏は興味を抱いていた。「今回のWi-Fi環境更新においても、Merakiが活躍してくれるのではないか」。そう考えた山田氏は、富士ゼロックスに相談を持ちかけた。2017年のゴールデンウイークに突入する直前のことだった。
相談を受けた富士ゼロックスでは、この案件の販売代理店としてネットワンパートナーズに声をかけ、Merakiを軸とした新システムの提案書作成に着手した。無線LAN環境の改善と可視化による一元管理はもちろんのこと、従来は別々のシステムとして構築されていた有線LANと無線LANの統合、保守管理や事後の運用サポートまでを盛り込んだフルパッケージでの提案だ。山田氏のもとに提案書が届けられたのは、ゴールデンウイークが明けた直後。わずか1週間程度のスピーディーな対応だった。

Cisco Meraki
ネットワークソリューション

無線LANアクセスポイント
クラウドでネットワークを一括管理
安定したアクセス環境を広く構築

 

MR30H

MR42

ネットワークスイッチ
多数のスイッチをスマートに設定
運用管理はクラウドで一元化

MS225-48

セキュリティアプライアンス
セキュアなネットワークを簡単実現
さらにクラウドでまとめて運用

MX400

試行錯誤を繰り返し、最適なWi-Fi構成を検討

新システム提案を受け、7月、導入に向けたプロジェクトがスタートした。まずは山田氏と富士ゼロックス担当者でホテル内を回り、電波環境を根こそぎ調べ始めた。どの部屋はつながりやすい、どのフロアはつながりにくいといった現状を逐一リストアップしていった。
電波の詳細調査を経て、無線LANをどのように構成するかが大きな課題となった。同ホテルは部屋数が多いうえ、レストラン、宴会スペースなども当然ある。加えてホテルの形状から、構造上どうしてもつながりにくいスポットが存在した。富士ゼロックス担当者は調査結果を持ち帰り、ルーターの台数や設置場所を練り直す。A案、B案、C案、Aダッシュ案、Bダッシュ案……とさまざまなパターンの構成を検討しては、山田氏とともに各フロア、各部屋を回って実際に試行錯誤を繰り返していった。ホテルにとって繁忙期であるクリスマスシーズン前には本格稼働させることが至上命題であったため、遅くとも10月頭には試験稼働を始めなければならず、時間に追われる日々だった。
苦労の末、10月頭には試験稼働を開始。当初は新システムのベストパフォーマンスを知る必要があり、帯域制限を一切かけずにスタートしたが、通品品質に関して著しい改善効果が見られた。「うれしい悲鳴ですが、今度は各部屋でスピードが出過ぎるようになりました。そこで一室あたりどの程度のスピードにするかを検討し、適切な値にチューニングしていきました」と山田氏は振り返る。
Merakiの導入により、無線LAN接続しているハードやソフトの種類はもちろんのこと、各客室の接続状況、どれくらいの量のデータをダウンロードしているかといった情報も可視化された。また、無線LANと有線LANの統合も行ったが、これをMerakiで一元管理することで、最近は使用される割合が減ってきた有線の帯域を調整するなど、通信全体のバランスを考えた設定が容易になった。

接続パフォーマンス向上と運用負担の大幅削減を実現

新システムでは通信品質改善と保守体制の一本化にとどまらず、スイッチの冗長化によるシステム停止時間の最小化を実現。万が一のストップの可能性を大幅に低下させた。さらには「つながりやすいが、安全」というホテルの無線LANに課された相反するテーマを両立させるため、無線LAN認証装置「POPCHAT」により接続台数の上限を増やしつつ、高度なセキュリティも確保した。
そして、すべてのネットワーク環境を一画面からチェックできるMerakiのアドバンテージにより、情報システム部門の運用負担が大きく減った。山田氏も以前はトラブルが起きた際など休日でも出社しなければならなかったが、現在は自宅でスマートフォンアプリから対応できるようになったことを高く評価している。また、従来のシステムは無線、有線など各ネットワークを異なるベンダーに依頼していたためトラブル対応が煩雑だったが、今回は窓口が富士ゼロックスに一本化された点も大きいと山田氏は指摘する。
新システムは11月に本格稼働を開始。同ホテルの宿泊者用無線LANの接続スピードは大きく向上した。山田氏によると、旧システムに比べて安定的に2倍以上のスピードが出ており、現在は「遅い」という声もなくなったという。また、ルーターの設置場所に工夫を凝らしたため、「つながらない」という苦情もなくなった。
今回の導入は機器設置と保守メンテナンスだけでなく、今後の運用支援までをも含めたフルパッケージであり、ネットワークのさらなる改良やMerakiに含まれるカメラ活用なども視野に入る。同ホテルでは今後の展開を、富士ゼロックス・ネットワンパートナーズと協力して進めていきたい考えだ。

「Cisco Meraki」についての詳細はこちら

→https://www.netone-pa.co.jp/solution/cisco-meraki/

[PR]提供:ネットワンパートナーズ/富士ゼロックス