ビジネスのスピードがますます加速するなか、ビジネスを支えるITインフラにも「クラウドファースト」の波が急激に拡大しつつある。このように本格的な普及期を迎えるパブリッククラウドであるが、サービスを提供する事業者間の競争も激化しており、一時は急増した事業者がここに来て淘汰されつつあるのが現実だ。そして今後は、顧客の「今」のニーズに柔軟に対応できる事業者のサービスが評価される時代となるのではないだろうか?

そんな疑問を解消するため、2010年1月からサービスを提供開始し、今なお利用者を増やし続けている純国産のパブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」のエヴァンジェリストである富士通クラウドテクノロジーズ ビジネス開発本部事業企画部の向平 友治氏に話を伺い、クラウド活用の最新事情とそれに応えるサービスのあり方などについて紐解いていきたい。

1インスタンスでもSLA99.99%という高可用性で、基幹系システムでの利用も拡大

富士通クラウドテクノロジーズ ビジネス開発本部事業企画部 向平 友治氏

「オンデマンド性」や「わかりやすい料金体系」、「高い信頼性」が評価され、これまで5,500件以上もの企業のビジネスに貢献しているニフティクラウドだが、少し前よりユーザーのニーズに変化が表れているようだ。従来からよく利用されているグループウエアや営業支援、メールなどのWEB系システムだけではなく、最近では業務特化型システム、会計・人事給与等の基幹系システムといった、いわゆるバックエンド・システムのインフラとしても活用されるケースが増えているのである。

ミッションクリティカルな用途でもニフティクラウドが選ばれる背景の1つとして挙げられるのが、信頼性の高さだ。国内複数のデータセンターと北米のデータセンターで安全に運用されているニフティクラウドは、SLA99.99%という高可用性を実現しており、月間わずか3分以上の停止の発生でキャッシュバックが適用される。

各事業者がSLAを公開しているが、ニフティクラウドのユニークな点は、このSLAが1インスタンスの使用から適用されること、つまり自らで冗長構成を組まずとも99.99%のSLAが担保される点だろう。クラウド環境をスモールスタートさせる場合であっても安心して利用できる点で、これは大きな利点だ。さらに、万が一サーバーがダウンした際には自動的に別のサーバーで再起動を行う自動HA機能が標準で備わっているので、サーバー構築時に特別に意識しなくても、自動的に冗長構成を組むことが可能だ。市場にあるサービスの多くがSLA99.95%前後であり、しかも自分達で冗長構成を組んでいる場合に限って保証されることを考えれば、その安心感と手軽さは圧倒的だ。

向平氏は次のように強調する。「サービスの開始からこれまで、メンテナンスや仕様変更など当社の都合でお客さまのサーバーを止めたことは一度もありません」

一部のサービスでは、一方通行でアナウンスした後に強制的に再起動をかけたりするのが日常茶飯事であることがあり、それとは対象的だ。このようにあくまで顧客視点にこだわる姿勢もまた、日本企業からの人気の高さの秘密なのだろう。


ハイブリッドでもマルチでも、柔軟にクラウドを利用できる環境を用意

既存のIT基盤をクラウドに移行するきっかけとして多いのが、急速に強まっているクラウドファーストの潮流だ。そして自分達で調べてみると、これまで苦労していたハードウエアや仮想マシンの管理をベンダー側にオフロードできることに気づくのである。

「これを嬉しいと思うのか、それとも不安だと感じるかが、クラウド化の明暗を分ける1つの選択になります」と向平氏はコメントする。

嬉しいと感じた企業の担当者はすぐにもクラウドへの移行を開始するが、不安と感じた場合には、オンプレミスの“手元にある”という心理的な安心感にこだわり、なかなか次に進めない傾向が強いのだと言う。また、クラウドに対する不安感はなくとも、現状のシステムを使い続けながら、少しずつクラウドに移行していきたいという声もかなりあるようだ。

こうした顧客側の多様なニーズに柔軟に応えるべく、ニフティクラウドはハイブリッドクラウドやオンプレミス連携、さらにはマルチクラウドといった、あらゆる形態で利用しやすい環境を整えている。例えば顧客側の環境とニフティクラウドを"つなぐ"仕組み1つにしても、手軽にL2-VPNを利用するか、回線事業者の閉域網へのプライベートな接続を提供する「プライベートアクセス」で接続するか、既存の専用線を引き込むかなど、選択肢は広い。

「1か0ではお客さまの選択肢が狭まってしまうので、我々としてはクラウドだけにこだわるのではなく、お客さまのシステム全体の柔軟性をどう高めるかという観点から様々な環境やサービスを用意しています。もちろん、最初からすべてをニフティクラウドでというのは大歓迎ですが、お客さまが今使っている環境の一部を残しながらクラウドをご利用していただくのも、また他社のクラウドサービスと連携したマルチクラウドでの利用も基本的にウェルカムです」と向平氏は力説する。

フルフラッシュ対応にディープラーニング機能、様々な新サービスを打ち出す

顧客側のニーズがますます多様化するのを受けて、ニフティクラウドでは新規サービスや既存サービスの拡充を次々と打ち出している。

例えば今年3月にプライベートアクセスをエクイニクス・ジャパンが提供するクラウド相互接続サービス「Equinix Cloud Exchange」に対応させ、複数社のクラウドサービスとの相互接続を可能にした。これによりマルチクラウド環境を大幅に充実させたのである。


また、DBへの読み書きが高頻度で発生しディスクIOの性能保証が求められる分析系システムなどの移行案件が増えていることから、サーバーラインナップを追加し、CPUパワーや使えるメモリー領域を拡大。特定のゾーン(サーバーを収容するラックや電源、ストレージなどが物理的に分離されている単位)についてはフルフラッシュ対応してリニューアルも果たした。

これまで東日本リージョン(地域ごとのゾーンの集合体)だけだったディスク受け取りサービスは、24時間365日すべてのリージョンで対応。さらに、世界最速クラスの学習処理能力を実現したディープラーニング基盤をクラウド上で利用できる「ニフティクラウド Deep Learning powered by Zinrai」の提供も4月に開始している。

「ディープラーニングのように、なるべく初期コストをかけずに結果が欲しいシステムの場合は、特にクラウドに向いていると言えます。対象となるデータも最初からクラウド側に蓄積していれば、さらにメリットも高まるでしょう」と向平氏はコメントする。

また、昨今のサイバー攻撃の脅威の高まりを受けて、セキュリティ面でも強化を図っている。顧客の建てたインスタンスの脆弱性スキャン機能を先日実装するとともに、7月にはスキャン後に必要となる対策についてアドバイスを行うサービスも提供開始予定だ。

そして5月には、異なるリージョンを同一のネットワークで利用できるようにする「ニフティクラウド インターコネクト」構想を発表。この新構想により、稼働中のサーバーリソースをリージョン間で移動させたり、異なるリージョンで同一のセキュリティポリシーに従って管理したりできるようになる。まずは第1弾となる機能「ゾーンコネクト」を6月7日に提供開始した。これはゾーン同士をレイヤ2でプライベート接続する機能だ。


「お客さまに直接声を聞くと、"ニフティクラウドには一番止めたくないシステムを置いている"とよく言っていただけます。そうした信頼に応え続けながら、お客さまの使いたいクラウドの要件にいつでも柔軟に対応できるよう今後も努めていきます」

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