Wordの段落書式の中で、とかく『使いづらい……』といわれるのが箇条書き。箇条書きの書式を指定することは特に難しくないが、その仕組みをよく理解していないと思い通りに文書を作成できない場合もある。そこで今回は箇条書きについて、書式の指定方法や仕組みを紹介していこう。
箇条書きの自動設定について
古いバージョンのWordでは、「・」や「●」などの記号に続けて文字を入力し、「Enter」キーを押すと、自動的に箇条書きの書式が適用される仕様になっていた。これが『使いづらい……』と不評を集めたのか、Word 2007からは仕様が変更され、箇条書きが自動設定されるまでの操作に変更が加えられている。
Word 2007以降では、「・」や「●」などの記号に続けて「スペース」の文字を入力すると箇条書きが自動設定される仕様になっている。
このとき、「オートコレクトのオプション」をクリックして「箇条書きを自動的に作成しない」を選択すると、箇条書きの自動設定が解除され、以降は「記号」+「スペース」の文字を入力しても箇条書きが自動設定されなくなる。
なお、この設定は「オートコレクトのオプション」と連動しているため、以下の操作でいつでも設定を元に戻すことができる。
1.「ファイル」タブ(オフィスのアイコン)を選択し、「Wordのオプション」をクリックする
2.左側の一覧から「文章校正」を選択し、「オートコレクトのオプション」ボタンをクリックする
3.「入力オートフォーマット」タブで「箇条書き(行頭文字)」のチェックをONにする
箇条書きの書式を手動で指定/解除するには
もちろん、箇条書きの書式はその都度手動で指定しても構わない。こちらの方が直観的でわかりやすいという方も多いだろう。
箇条書きの書式を指定するときは、段落を選択した状態で「ホーム」タブにある箇条書きの▼をクリックし、一覧から記号を選べばよい。
使いたい記号がこの一覧にないときは、先ほど示した「記号」+「スペース」の入力で箇条書きの書式を自動設定するか、もしくは以下のように操作すると、好きな文字を行頭文字として使用できるようになる。
1.箇条書きの書式を指定する段落を選択する
2.箇条書きの▼をクリックし、「新しい行頭文字の定義」を選択する(すぐ上の図を参照)
3.「記号」ボタンをクリックする
4.「記号と特殊文字」ダイアログが表示されるので、行頭に表示する記号を一覧から選択し、「OK」ボタンをクリックする
一方、自分で指定した(または自動設定された)箇条書きを解除するときは、解除したい段落を選んで、行頭文字の選択の画面で「なし」を選択すればよい。これで、選択していた段落から箇条書きの書式を解除することができる。
箇条書きの仕組みと詳細設定
さて、これまで箇条書きの指定や解除について手短に紹介してきたが、正直な話、「箇条書き」という書式そのものに『どんな意味があるのだろう?』と感じている方もいるかもしれない。箇条書きの書式は「箇条書きの体裁」を実現するための書式であるが、この書式を指定しなくても箇条書きを示すことは可能である。
たとえば、以下の図のように通常の文字で箇条書きを入力しても特に問題は生じない。Word 2007以降では「・」や「●」などの記号に続けて文字を入力しても箇条書きの書式が自動設定されないため、普通に文字を入力していくだけで、(見た目に)箇条書きの文章を入力できる。
したがって、必ずしも箇条書きの書式を指定する必要性はない。各自の好みに応じて使い分けていくとよいだろう。
箇条書きの書式が必要となるのは、文章が2行以上にわたる場合だ。この場合、通常の文字で箇条書きを記すと、下記の図(左)のように文字が配置されてしまう。このままの状態では、かなり読みにくい箇条書きといえる。そこで「記号」の後ろに「スペース」を入力して箇条書きの書式を自動設定すると、図(右)のように各段落の先頭が整列して文字が配置されるようになる。
このとき、記号と文字の間隔が広すぎることに違和感を覚える方もいるかもしれない。箇条書きの書式では「ぶら下げ」を利用して記号を左側に飛び出させているので、このような場合は「ぶら下げ」の設定を変更すればよい。
「ぶら下げ」の設定は「段落」ダイアログに用意されている。箇条書きの書式を指定した段落を選択し、「ホーム」タブにある「段落」をクリックすると、「段落」ダイアログが開く。ここで「ぶら下げ」の「幅」の数値を変更すると、記号と文字の間隔を調整できる。この数値は「○○mm」や「○字」のように単位を添えて指定するのが基本だ。ここに「1字」を指定すると以下の図のような間隔に調整できる。
もちろん、文章が1行しかない場合も「ぶら下げ」の設定を変更することにより、記号と文字の間隔を調整することが可能だ。
このように、箇条書きの書式は「ぶら下げ」により文字の配置が制御されている。箇条書きの書式を使用するときは、この仕組みをよく理解しておくことが大切なポイントとなる(「ぶら下げ」については次回の連載で詳しく紹介する)。特に必要がない場合は箇条書きの書式を指定しなくても構わないので、状況に応じて箇条書きのON/OFFを使い分けるとスムーズに文書を作成できるだろう。