Power Automateの威力が発揮される作業の一つが、 Microsoft Excel(以下:Excel)の操作の自動化だ。Power AutomateによってExcel操作を自動化することで、大幅な業務効率の向上が期待できる。今回はその最初のステップを紹介しよう。
ExcelとPower Automate
ExcelはMicrosoft Officeの中でも特に重要なアプリケーションの1つだ。本来の使い方である計算処理だけでなく、データをまとめて整理するためのアプリケーションとしても広く使われている。
企業間でやり取りされるデータだけでなく、行政が提供する電子データもExcelの形式を取っているものが多い。通常、こうしたデータは担当者が手動でExcelに入力・操作することになるが、Power Automateを使うことで自動化できる。
前回までに説明した「Gmailでメールを新規作成する方法」では、メールの宛先、タイトル、本文はPower Automateのアクションに直接書き込んだ。
しかし、宛先や送信するメールの内容が複数ある場合、それらを全て個別のフローとして作成するのは効率も使い勝手も悪い。宛先、タイトル、本文は別のデータストレージにまとめて、Power Automateはそこからデータを持ってきて動作させた方が良い。
それにはいくつかの方法があるが、WindowsではデータソースにExcelを使うのが現実的だ。Excelは多くの企業がすでに購入しているか、ライセンスを持っており使用できるケースが多い。普段から業務で使っていれば、データソースとしても使いやすいだろう。
Excelを使う既存業務が自動化できるのはもちろん、Excel自体をデータソースとしても活用できることを考えると、ExcelとPower Automateは相性が良いのだ。
アクションはすでに用意されている
Power Automateは「レコーダー」の機能を使うことでGUIアプリケーションの操作を記録し、それを再現できる。Excelの操作もこの方法を使えば自動化できるが、セルの操作などを一つずつレコーダーで記録して操作するのは手間がかかる。
実は、Power AutomateにはExcel専用のアクションがすでに用意されている。検索フィールドに「Excel」と入力すれば、次のスクリーンショットのように専用アクションを確認できる。
これらのアクションを使えば、Excelの操作を簡単に自動化できる。どのようなアクションが用意されているかを詳しく説明していこう。
Excelファイルを新規作成するには
今回は、次の3つのExcel系アクションを紹介する。
- 「Excelの起動」 - Excelを起動する
- 「Excelの保存」 - 現在開いているシートをファイルへ保存する
- 「Excelを閉じる」 - Excelを終了する
オプションを変更することで多少挙動は変わるが、基本的には上記のような動きになる。この3つのアクションを続けて実行すると、空のExcelファイルが生成される。要するに「Excelファイルの新規作成」という動作になるわけだ。
では早速、このフローを作成してみよう。事前に、自分の環境でExcelが起動できることを確認しておいていただきたい。
Excelファイルを新規作成するフローを組み立てる
まず新しく「Excel 新規作成」というフローを作成する。そして次のようにアクションを追加していく。
アクションの設定が終わった後のフローは次のようになる。
では早速動作を確認してみよう。
Excelファイルが新規作成されることを確認する
作成したフローを実行すると、Excelが起動して、一瞬で終了する。これで動作は完了だ。上記で指定したファイルパスを調べると、次のように新しいファイルが作成されていることを確認できる。
ファイルを開くと、次のように空のシートが表示される。
こんな感じでPower AutomateからExcelを操作することになる。
Power Automate + Excelで業務の自動化
Power Automateを使えば、請求書や納品書、領収書など決まったフォーマットの書類を自動で作成できる。Excelはマクロを駆使することでシート内の計算を自動化できるが、操作そのものは自動化できない。人間が行っている操作の自動化はPower Automateが担うわけだ。
本連載では、Power AutomateによるExcel操作の自動化の基本を紹介した後、具体的な資料作成を想定した使い方を説明していく。実業務に応用しやすいと思うので、ぜひ実際に試しながら読み進めていただきたい。