今回は、Windows Server 2008におけるFTPサーバの導入について取り上げる。IIS 6.xと同様、IIS 7.xでもFTPサーバ機能はIISの一部という位置付けだが、使用する管理ツールに違いがあるので、いささかややこしいことになっている。その結果、Windows Server 2008とWindows Server 2008 R2とでは、FTPサーバを組み込む際の手順に相違が生じている。

FTPサーバの導入

FTPサーバを利用可能にするための作業として、IIS以下の役割サービスになっているFTPサーバ機能を追加するところは同じだ。だが、管理ツールは初期版とR2とで違いがある。初期版のWindows Server 2008のIIS 7.0では、IIS 6.xの管理ツールを継続利用していたが、Windows Server 2008のIIS 7.5ではIIS 7.xの管理ツールに統合されたのだ。

Windows Server 2008/同R2のIIS 7.xでは、FTPサーバ機能はIISの役割を構成する役割サービスになっている。そのため、FTPサーバを利用するには、以下の手順で役割サービスを組み込む必要がある。

(1) [サーバー マネージャ]を起動する。

(2-A)まだIISの役割を追加していない場合は、[役割の追加]をクリックしたうえで、IISの役割を追加するよう指示する。ここまではWebサーバの場合と同じだ。

(2-B)すでにIISの役割を追加している場合は、役割一覧でIIS以下にある[役割サービスの追加]をクリックする。

(3)いずれにしても役割サービスの一覧を表示することになる。そこで、IIS 7.0では[FTP Publishing Service]、IIS 7.5では[FTPサーバ]と、その下の[FTPサービス][FTP拡張]チェックをオンにする。この操作により、FTPサーバの利用が可能になる。所要のコンポーネントを自動的に組み込むよう求めてきた場合は、[必要な役割サービスを追加]をクリックして続行する。

役割サービス一覧画面で、[FTPサーバ]と、その下の[FTPサービス][FTP拡張]チェックボックスをオンにする(IIS 7.5。IIS 7.0では[FTP Publishing Service]を使う)

(4)この操作により、[FTP Publishing Service]あるいは[FTPサーバー]と[FTP管理コンソール]を追加することになる。IIS 7.0の場合、前述したようにFTPサーバに限ってIIS 6.x用の管理ツールを使用するため、[管理ツール]以下の[IIS6管理互換]-[IIS6メタベース互換]も自動的に追加する形になる。

(5)[次へ]をクリックして確認画面に移ったら、[インストール]をクリックして役割サービスの追加を行う。これでFTPサーバの追加が完了する。

FTPサーバの組み込み後に行う作業(IIS 7.0)

IIS 7.0の場合、FTPサーバの役割サービスを追加すると、既定のFTPサイト[Default FTP Site]を自動作成する。公開対象になっているフォルダは「C:\Inetpub\ftproot」だ。しかし、FTPサーバが自動的に起動する設定になっていないので、手作業で起動を指示するか、自動起動するように設定を変更する作業が必要になる。

前述したように、IIS 7.0のFTPサーバはIIS 7.0の管理ツールではなく、[スタート]-[管理ツール]以下にある[インターネット インフォメーション サービス(IIS)6.0マネージャ]を使って設定する。(IIS 7.0管理ツールのツリー画面で[FTPサイト]を選択すると画面中央に表示する、[ここをクリックして起動します]を選択する方法もある)

IIS 7.0の管理ツールではFTPサーバ機能を扱わず、IIS 6.0互換の古い管理ツールを使う

FTPサーバ機能を実現するサービス「FTP Publishing Service」の起動モードは、既定値では[手動]になっている。そこで、管理ツールの画面で[Default FTP Site]を選択して、[操作]メニュー、あるいは右クリックメニューで[開始]を選択すると、確認メッセージを表示する。そこで[はい]をクリックすると、FTPサーバに対応するサービスが起動する。

[Default FTP Site]で右クリックして[開始]を選択する。続いて表示する確認メッセージで[はい]をクリックすると、FTPサーバが稼働を始める

常にFTPサーバを稼働させるのであれば、[サービス]管理ツールで[FTP Publishing Service]のスタートアップモードを[自動]に変更するとよいだろう。

FTPサイトの追加(IIS 7.5)

一方、Windows Server 2008のIIS 7.5では、管理ツールだけでなく挙動も異なる。IIS 7.5の場合、サービスは自動起動するが、既定のFTPサイトを作成しないからだ。そのため、IIS 7.5ではFTPサイトを追加する必要がある。もっとも、追加の要領はWebサイトを追加する場合と同じだから、特に難しいことはないだろう。

(1)IIS管理ツールを起動する。

(2)左側のツリー画面で[サイト]を選択する。続いて、[操作]-[FTPサイトの追加]、あるいは右クリックメニューで[FTPサイトの追加]を選択する。

ツリー画面で[サイト]を選択してから、FTPサイトの追加を指示する

(3)続いて表示する画面で、FTPサイト名と、公開対象となるフォルダのパスを指定する。

FTPサイト名と、公開するフォルダのパスを指定する

(4)続いて表示する画面で、IPアドレス、宛先ポート番号、自動起動の有無、SSL使用の有無などを指定する。FTP over SSLを使用できるのはIIS 7.5のメリットだ。

IPアドレス、ポート番号、自動起動やSSL使用の有無を指定する

(5)また、同じ画面の[FTPサイトを自動的に開始する]チェックボックスを使って、自動起動するかどうかを指示できるようになっている。不正侵入対策を厳格化するため、コンテンツの更新を行う時以外はFTPサーバ機能を止めてしまう選択肢も考えられる。

(6)続いて表示する画面で、認証の方法を指定する。[匿名]はいわゆるanonymous FTPを使用して不特定多数に公開する場合の選択肢、[基本]はユーザー認証を行う場合の選択肢だ。その下の[承認]リストボックスは、[未選択][すべてのユーザー][匿名ユーザー][指定された役割またはユーザー グループ][指定されたユーザー]といった選択肢があり、その中からアクセスを許可対象に合ったものを選択する。ここで設定した内容は、後述する[FTPの承認規則]に対応しており、後から変更することもできる。

ユーザー認証の方法と、アクセスを許可するユーザーを指定できる

(7)[終了]をクリックすると、FTPサイトを追加する。追加したFTPサイトはWebサイトと同様に、IIS管理ツールのツリー画面で[サイト]以下に現れる。