2021年6月14日、非常に大きなニュースが舞い込んできました。それはGoogle Workspaceの多くの機能を、全てのGoogleアカウントに提供するというもの。つまり無料のGoogleアカウントでGmailを使っていた人も、Google Workspaceで提供されている機能が利用できるようになったのです。

Google Workspaceをビジネスで活用する 第11回

無料のGoogleアカウントにもGoogle Workspaceの機能が提供されたことから、Gmailを起動すると「Google Workspace」の文字が現れるようになった

なかでも最大のポイントと言えるのは、やはりGmailからGoogle Chatが利用できるようになったことではないでしょうか。Google WorkspaceはGmailとGoogle Chat、Google Meetを連携した統合コミュニケーション環境が最大の特徴となっていますが、従来この機能が利用できたのは有料でGoogle Workspaceを契約している人や組織と、その組織内でGoogle Workspaceのアカウントを利用しているユーザーに限られていました。

一方で無料のGoogleアカウントで利用できるGmailの方は、チャット機能として以前より提供されている「Googleハングアウト」が利用できるものの、Gmailとの連携は弱く実質的に独立したツールとなっていたというのが正直な所です。

Google Workspace移行前のGmailの左ペイン。チャットにはGoogleハングアウトが用いられている

ですが今回の施策によって、無料版GoogleアカウントのGmailでもGoogle Workspaceと同じようにGoogle Chatが利用できるようになり、メールとチャットを相互に行き来しての効率がよいコミュニケーションが可能となりました。この変更は既に反映がなされていることから、GmailからいつでもGoogle Workspaceと同じ環境に切り替えることが可能となっています。

Google Workspace移行後のGmailの左ペイン。チャットがGoogle Workspaceと同じものに切り替わっているのが分かる

具体的にはGmailの設定画面を呼び出した後、「チャットと会議」のタブを選びます。すると「チャット」の項目に「Google Chat」という選択肢が追加されているので、そちらを選択した後「変更を保存」をクリックします。

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Google Workspaceの機能を利用するには、Gmailの設定画面の「チャットと会議」タブから、「チャット」の項目を「Google Chat」に変更(1)し、「変更を保存」(2)をクリックすればよい

するとGmailが再起動し、標準の設定であれば左ペインにGoogle Workspaceと同じ「チャット」「チャットルーム」といった項目が現れ、Google Chatが使えるようになります。もちろんこれまで紹介してきたGoogle Chatの多くの機能が利用できるのですが、無料版のアカウントではやり取りする全てのユーザーが外部アカウントという扱いになるため、チャットの投稿を編集したり、削除したりすることはできない点に注意が必要です。

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無料版アカウントの場合、Google Chatでのやり取りは基本的に外部アカウントという扱いとなるため、投稿した内容の編集や削除はできない

またグーグルは2021年夏に、Google Chatのチャットルームを「スペース」にリニューアルする予定とのこと。スペースではファイルやタスクの管理機能が統合され、さらに多くの機能追加がなされるとのことで、チーム内でのコミュニケーションだけでなく、メンバー同士による業務も円滑にこなせる仕組みが整えられるようです。

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「スペース」のイメージ画面。チャット上から複数メンバーでファイルやタスクを処理できるようになるようだ

そしてもう1つ、今回の発表に合わせてGoogle Workspaceの新しいサービス「Google Workspace Individual」の提供も明らかにされています。これは個人事業主向けの有料サービスとなるようで、スマート予約サービス、高機能なビデオ会議、カスタマイズされたメール マーケティングなどが提供されるとのこと。複数メンバーとのコミュニケーションは必要としていないものの、有料版のGoogle Workspaceで提供される充実したサービスを利用したいというニーズに応えるものと考えられそうです。

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「Google Workspace Individual」で提供される「スマート予約サービス」のイメージ

発表によると、既存のGoogleアカウントを用いて仕事の予定やタスクを管理できるとされていることから、ドメイン取得が不要で利用できるサービスとなる可能性が高く、屋号を持たない個人事業主にはとてもマッチしているといえそうです。Google Workspace Individualは日本をはじめ6カ国で間もなく提供される予定とのことなので、提供を楽しみにしたい所です。

著者紹介


佐野 正弘

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。