機械学習の自動化プラットフォーム「DataRobot」を提供するDataRobotとパナソニックは5月31日、「日本の製造業におけるAI利活用の最前線」と題し、プレス向けトークセッションを実施した。

登壇したのは、DataRobot チーフデータサイエンティスト シバタアキラ氏とパナソニック ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター 戦略企画部 部長 井上昭彦氏。セッションは、シバタ氏が井上氏に質問を投げかけるかたちで進行し、パナソニックのAI活用に向けた取り組みや、DataRobotの位置付けなどについて率直な対話が繰り広げられた。

パナソニック ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター 戦略企画部 部長 井上昭彦氏(写真左)とDataRobot チーフデータサイエンティスト シバタアキラ氏(写真右)

AI活用に向けたパナソニックの意気込み

パナソニックは2015年に「技術10年ビジョン」を策定し、「IoT/AI、ロボティクス」と「エネルギー領域」に注力することを打ち出した。同時に「AI強化推進室」を2~3人で立ち上げ、1年半ほどかけて人材育成に取り組んだのだという。その間に各カンパニーでデータを蓄積し、いよいよ新事業に向けて動き出そうというタイミングで100人規模のAIソリューションセンターが設置され、今に至る。

いち早くAI活用に向けて体制が整えられたのには理由があった。かつてパナソニックは白物家電やTVなど、同じ品質の物を大量生産・供給するのに長けた企業として強く支持された。だが、「21世紀にインターネットが普及したら、もう(市場で)勝てなかった」と井上氏は語る。

「企業として、ものづくりに最適化された組織から脱却できない苦しさを味わったわけです。だからこそ、次のIoT時代にはリベンジしたいという想いがあり、そこに第三次AIブームが重なったことが、AI活用に向けて進んだ大きな理由だと感じています」

まずはデータを集める必要があったが、同時にその後のソリューション開発を見据えて人材育成にも着手した。これは、過去のデジタル化時代にLinux人材を集めて成功した経験を踏襲したアクションだ。今はそれがひと段落し、データも蓄積されてきた。人材育成のタイミングで洗練されたツールを導入することを視野に入れていたので、早期からDataRobotなどもチェックしていたのだという。

「AIが技術戦略の根幹の1つであるということだが、どういう使い方を考えているのか」というシバタ氏の問いに、井上氏は「大きく2つある」と答える。

1つは従来型の大量生産ものづくりの形態を変えるためにイノベーションを起こす部分、もう1つはアナログな業務プロセス自体を効率化する部分だ。

AIソリューションセンターでは、2016年から数えて5年後には1,000人のAI人材の育成を目指しており、2018年3月時点でちょうど300人の育成を終えた。このペースだと、単純計算では1,000人までには満たないが、育成が終わった人材が各職場に戻り、周囲に教えることも期待できる。「トータルでソリューションを生み出せる人材がそろえばいいかなと思う」と井上氏は見解を示す。