前回、Azure Stackにおいて「仮想マシンのテンプレート」を運用するには、3つの機能を理解する必要があるとお伝えしました。今回は、そのなかの1つ「OSやアプリケーションがプリインストールされている仮想マシンイメージ - Marketplace」を準備する方法について解説します。
ちなみに、Marketplaceの管理は管理者の仕事なので、Azure Stackでも管理者用のIDやポータルを使って実施することになります。
Azure Stack Marketplace のアイテムはAzureから取得できる
Azure StackがAzureとの継続性を意識していることはご存じでしょうが、それを強く感じることができる機能の1つにMarketplaceの連携があります。
Azure Stackの管理者ポータルには「Marketplace management」という管理メニューが用意されています。まずはこのMarketplace managementをクリックしてみましょう。次のように、Marketplace managementの画面が表示されます。
さて、このMarketplace managementの画面で注目していただきたいのは「Add from Azure」ボタンです(上記画面の赤枠内)。このボタンをクリックすると、パブリッククラウドであるAzureのMarketplaceアイテムのなかで”Azure Stackでも利用可能なアイテム”がリスト化されます。表示された状態がこちらです。
管理者はこのリストのなかから必要なアイテムをクリックします。アイテムの説明文やライセンスに関する記述を確認しつつ「Download」ボタンをクリックすれば、Azureのデータセンターから環境がダウンロードされ、Azure Stackの利用者画面に表示されます。
たったこれだけの手順で終わりです。ネットワーク環境にもよりますが、数十GBの環境をダウンロードするには時間がかかりますのでご注意ください。ただ、管理者がインストール作業などをすることなくさまざまな環境を準備できるので、ぜひうまくご活用いただきたいところです。
Azure Stack用のMarketplaceアイテムの確認
Azure Stack用に用意されているアイテムはAzureのサイトにまとまっているので、Azure Stackをインストールしなくても確認することが可能です。
マイクロソフトのサーバ製品では、次のラインナップがリスト化され、SQL Serverや以前R Serverと呼んでいたMachine Learning Serverなどもあります。
- Windows Server 2008 R2 SP1
- Windows Server 2012 / R2
- Windows Server 2016 (Datacenter、with Container、Server Core)
- Windows Server, version 1709 with Containers
Windows Serverは数年ごとに新機能を搭載してリリースされるWindows Server 2016/Windows Server 2019の流れと、半年ごとに新機能を追加できるWindows Server (Version 1709、Version 1803など)の2系統に分かれましたが、両方ともAzure Stackは対応しています。
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以上、本稿ではAzureとAzure StackのMarketplace連携について解説しました。今回は触れませんでしたが、Marketplaceのアイテムにもいくつかのパターンが見られます。また、Azureと連携するのではなく、自分でAzure StackのMarketplaceにアイテムを追加する場面もあるでしょう。そこで、次回以降も引き続きMarketplaceについて解説したいと思います。
著者紹介
日本マイクロソフト株式会社高添 修
Windows 10やVDIの世界にいるかと思えばSDNやDevOpsのエンジニアと普通に会話をし、Azure IaaS登場時にはクラウドの先頭にいたかと思えばオンプレミスデータセンターのハードウェアの進化を語るセミナーを開くなど、幅広く活動するマイクロソフト社歴約17年のベテラン。最近は主にAzure Stackをテーマにしたハイブリッドクラウドの普及活動に力を入れている。