ロボットたちの”無人”「おもてなしカフェ」

ネスレ日本、ソフトバンクロボティクス、川崎重工業の3社は、11月16日から26日までの期間限定で「ネスカフェ・Pepper・duAro おもてなし無人カフェ」を、「ネスカフェ 原宿」内で開催すると発表している。

ロボットたちがコーヒーを提供する”無人”カフェの背景には、ロボットが接客業を担うことで、サービス産業における人手不足の解消を模索する狙いがあるという。

(左から)ネスレ日本 飲料事業本部 レギュラーソリュブルコーヒービジネス部 部長の島川基氏、ソフトバンクロボティクス 事業推進本部 事業開発統括部 部長の角田友香氏、川崎重工業 ロボットビジネスセンター 営業企画部 部長 真田知典氏

カフェではまず、ソフトバンクロボティクスの「Pepper」が客を迎える。Pepperの胸のタブレットから好みの濃さや量を伝えると、ネスレの「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ 50」がその情報を受け取ってコーヒーを抽出。コーヒーカップの設置や提供は、川崎重工の「duAro」が行う。なお、Pepperと”お友達”になれば、顔や好みを覚えてくれて、次回来店時も同じコーヒーを提供してくれるという。

ソフトバンクロボティクス「Pepper」、ネスレの「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ 50」、川崎重工「duAro」のロボットが連携。注文からコーヒー提供まで”無人”で対応

背景はサービス産業の人手不足

ネスレ日本 飲料事業本部 レギュラーソリュブル コーヒービジネス部 部長の島川基氏は、「サービス産業では人材不足が深刻な問題となりつつある。今後も少子高齢化が進み、ますます人手が足りなくなるだろう。この問題に対してただ解決するだけではなく、どんな付加価値が付けられるのかと考えたところ、今回の取り組みに至った」と背景を説明する。

注文やコーヒーの濃さはPepperのタブレットで指定する

接客業にロボットは使えるのか?

ネスカフェとPepperのコラボは今回が初めてではない。以前よりネスレとソフトバンクロボティクスでは、店頭などでPepperを使ったネスカフェの販促キャンペーンを実施している。また2017年7月には、今回と同様にPepperが注文を取り、ネスレのマシンがコーヒーを提供する「ロボカフェ」をソフトバンクショップで試験実施した。

来場者をおもてなしするPepper。制服も似合っている

これらの経験を踏まえて、今回は川崎重工も加わり、3社で「”未来の接客業”としてなにかできないか?」と考えたことがきっかけだという。ソフトバンクロボティクス 事業推進本部 事業開発統括部 部長の角田友香氏は、「我々が目指すのは、ロボットが生活に溶け込んだ状態だ。今回のような一般ユーザーと実際に触れあえる環境で、複数の機器が連携する状態でPepperを稼働できるのは非常に興味深い」とコメントした。

川崎重工業では、産業ロボットの活躍の場を製造業からサービス産業へ応用していくことで「脱工場」を目指しているという。「現状では街中でduAroと会うことはないだろう。だからこそ、今回の取り組みは産業用ロボットをコミュニケーション用途で利用するための検証の場と位置付け、一般ユーザーが口に出さない潜在的な課題を見つけ出したい」と川崎重工業 ロボットビジネスセンター 営業企画部 部長の真田知典氏は話した。

「ロボットは、決められた動作を正確に繰り返す作業が得意だ。また、一般的に単一の機能しかできない。複数のロボットがそれぞれの得意分野を発揮することで、人の手が回らない複雑な作業を補える。今回は期間限定だが、新しいニーズを見つける場として大いに期待している」(真田氏)

なお、「おもてなし無人カフェ」の利用には、ドリンクかフードメニューのいずれか1品以上の注文が必要だ。3社は、今回得られた反応や反響を踏まえ、今後の取り組みの拡大や修正などを検討するとしており、改めてのコラボにも前向きのようであった。