主要Webブラウザが高いレベルで標準規約への準拠を実現したことで、WebサイトやWebページ開発は標準化された技術を使って構築するという考え方が一般的になっている。

以前は、Internet Explorerのこのバージョンの利用者向けにこの書き方というように、機能によっては複数の実装が求められたが、現在では以前ほど気にする必要はなくなっている。

しかし、それと引き替えにスクリーンサイズを考慮してWebページをデザインしなければならない時代を迎えている。スマートフォンからタブレットデバイス、ノートPC、4K/5Kといった大きなサイズのディスプレイなど、使われるサイズはさまざまだ。

こうした異なるスクリーンサイズに対応するための技術やテクニックはすでに存在しており、そのあたりがデザイナやエンジニアの腕の見せ所になっているわけだが、そんなエンジニアの心強い味方になってくれるWebブラウザが「Blisk」だ。

Web開発に特化したChromiumベースのWebブラウザ「Blisk」

異なるスクリーンサイズへの対応を効率化

Chromiumがデフォルトで備えている開発者向け機能はかなり優れており、基本的にはこれがあれば事足りる。現在では同等の機能がほかの主要Webブラウザでも利用できるようになるほど、業界的に大きな影響を与えている。

Bliskはそうした機能をさらに強化したものだ。スマートフォンとデスクトップの双方の表示を見比べることができるなど、とにかく開発効率を引き上げることに焦点が絞られている。デスクトップにもスマートフォンにも対応したWebサイトやWebページを開発しなければならない場合には欠かすことのできない機能だ。

左右にスマートフォンとWebサイトのプレビューを並べられる。一番左のアイコンから、スマートフォンを選択することも可能

スマートフォンは横向きにもできる

3カラムでソースコードを表示したときの様子

PC画面を大きく表示したときの様子

比較的サイズに余裕があるデスクトップと比べ、スマートフォンはプロダクトやモデルごとにスクリーンサイズが異なり、さらに1、2年で主流となるサイズが変わっていく傾向がある。Bliskを使えばそうした異なるデバイス出力を簡単に比べることができる。

スマートデバイスとPCとではWebページを操作する方法も、タッチスクリーンかマウスまたはタッチパッドなど異なる。こうした異なる操作も同時に考慮しながら開発しなければならないわけだが、Bliskを使うとそうした点もうまく扱うことができる。

WebサイトやWebページの開発にかけられる時間はどんどん短くなっており、どれだけ効率的にさまざまなスクリーンに対応したWebサイトが構築できるのかが注目されている。Bliskのように効率の良いツールを使うことはそうした目的を実現するために必要不可欠といえる。

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ChromiumベースのWebブラウザを紹介するのは今回で最後だ。

ChromiumベースのWebブラウザやアプリケーションはほかにも存在しているが、本連載では特に最近注目されているプロダクトに絞って取り上げた。こうした選択肢もあるのだということをちょっとでも知ってもらえれば幸いである。

今のところGoogle Chromeのシェアが減少する理由は見当たらず、今後もシェアが増え続けるものとみられる。ChromiumをベースとしたWebブラウザやアプリケーション今後さらに増えていくだろう。スマートフォンアプリを見てもわかるとおり、特定の用途に特化したWebブラウザへのニーズは決して少なくない。チェックしておいて損はないだろう。