独立行政法人情報処理推進機構・ソフトウェア高信頼化センター(以下、IPA/SEC)は3月30日、IoT(Internet Of Things)デバイス/サービスのUI(User Interface)やUX(User Experience)の設計に着眼した報告書、「つながる世界の『利用時の品質』~IoT時代の安全と使いやすさを実現する設計~」を公開した。

「つながる世界の『利用時の品質』~IoT時代の安全と使いやすさを実現する設計~」は、IPA/SECのサイトから無料でダウンロード可能だ(アンケートに回答する必要あり)

同書は、ユーザーがIoTデバイス/サービスを利用する状況を軸に、操作性の観点から安全性と使いやすさを重視した、IoTデバイス/サービスの開発ポイントを紹介している。IPA/SECでは、「本書を活用することで、ソフトウェア開発者は、さまざまなユーザーにとって満足度の高い品質の設計を学ぶことができる」としている。

これまで、IoTデバイス/サービスのUIやUXは、マーケティングやデザインの観点から設計されるケースが多かった。IPA/SECでは「IoTデバイス/サービスは、その機能の多くがソフトウェアによって実現されており、ソフトウェアの機能によって、使い勝手を大きく左右する。UI/UX設計の段階からソフトウェア開発者が関与していくべきだ」と指摘する。

同書は、ソフトウェア開発者が、IoTデバイス/サービス開発の課題認識をマーケティング担当者/デザイン担当者と共有し、両者と協力して製品開発に取り組めるような留意点を紹介している。

特に、今後の利用増加が予想される家電・自動車・モバイル製品などを対象に、26件の失敗事例と成功事例を収集し、原因を整理/分析した。一連の課題抽出/分析は、UI/UXの専門家である特定非営利活動法人「人間中心設計推進機構(HCD-Net)」とIPA/SECが連携取りまとめた。

IPA/SECでは、「IoTデバイス/サービスは、子供や高齢者など、デバイスの利用に不慣れな層や、習慣や文化の異なるユーザーも利用する。そのため、操作ミスで重大な事故が発生することを想定しなければならない。今後はソフトウェア開発者も、わかりやすいUIやUXと安全性に配慮し、利用状況を考慮した製品を設計する必要がある」としている。