これまでは「過去」のことをお伝えしてきましたが、今回、次回と2回にわたって「これから」のことについてお話したいと思います。

私たちは今、大きな変革期の中に身を置いていると思います。このコラムを書き始めてからの1年間だけでも、企業を取り巻く環境は大きく変わってきました。

サブプライム問題から端を発した米国発の金融不安、資源・原料の高騰による世界経済への影響、株式市場などの低迷……また、国内のIT業界に目を向けても、請負業務の適正化による業界構造の変化などの影響は、ITサービス企業に大きな影響を与えています。このような変革期には、今までと同じようなビジネス手法は通用しなくなってきます。

現在、筆者の会社は客先常駐、技術派遣型のビジネスがメインとなっていますが、このような従来型のビジネス手法では、今後大きな成長を望むことはできないと考えています。

しかし、環境の変化を「危機」ととらえるのではなく、自身の変革へのきっかけと肯定的に考え、次への新たなステップにしたいと思います。

具体的には、現在のようにSIerやベンダーのパートナーとしてではなく、ユーザー企業に対して直接、システム開発やITインフラ構築・運用などのITサービスを提供できる企業となることを当面の目標としています。そして次のステップは、自社のソリューションモデルを持つことです。

筆者は起業に際して、自身がエンジニアだった経験を踏まえ、ユーザーに質の高いサービスを提供できる『モノづくりの会社』を目指したいと考えていました。

しかし、理想と現実の間には大きな隔たりがありました。会社の存続や成長のためには、技術派遣型のビジネスを選択する方が現実的であり、今日に至っています。もちろん、技術派遣型のビジネスが悪いと言うわけではありません。

現にIT業界の大部分がそのようなビジネスで成り立っています。ただし、それは筆者の目指すところではありません。ですから、前述した環境の変化を良い機会と考え、もう一度原点に帰って会社の方向性を考えたいのです。

執筆者プロフィール

雨宮 国和 (Kunikazu Amemiya)
株式会社ウイルワークス・システムズ代表取締役社長。十数年に渡るエンジニア経験を経て2002年に会社を設立。最近はバイクにハマる42歳。Bar好き。
http://www.willworks.co.jp/

『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。