日頃から良好な人間関係を

筆者の知人で某会社の役員を務める女性が、"育児休暇を取り、その後は職場に復帰する"というキャリアパスを描いている女性たちに、「私はいつも"可愛がられる人間になりなさい"とアドバイスするの」と言っていたのを思い出しました。

彼女が言いたかったのは、育休明けに復職した後に育児の都合によってやむを得ず遅刻や早退することになっても、「こっちは大丈夫だよ」と周囲に言ってもらえるような人間関係を会社の中に築いておきなさい、ということだったんだと思います。

良い上司に恵まれて助けてもらえるのも、良好な人間関係があってこそではないでしょうか。とはいえ、良好な人間関係を築いていくことは、そうそう簡単なことではないのですが……。

コミュニケーションを大切に

出産や育児を経験しても、仕事を続けたいという女性は少なくありません。特に「育児休暇後も働きたい!」と考える女性技術者の場合、"お金のため"というより仕事が好きだから続けたいという人も珍しくないのです。

できれば、今の仕事を定年まで続けたいと願っている人もいるでしょう。一方、2人目ができたら辞めようと決心している人もいます。当たり前ですが、人によってキャリアパスの形は様々です。

コミュニケーションをとってみないと相手のことはわからないものです。上司の立場にある人には、育児休暇後のキャリアパスに限らず、部下の言葉に耳を傾けてもらえたらなあと思います。また、部下に当たる人も上司に自分の意見をちゃんと伝え、相手の言い分も聞き、そして自分の意見を受け入れてもらえるような人間関係を作っていく。

こうしたことを意識しながら生活すれば、より楽しい会社生活が待っているような気がします。

「育児休暇明けに異動を命じられたら?」女性エンジニアの生の声

育児休暇明けに、開発部門から異動を命じられた時の女性の本音 資料:eパウダ~

  • 働き続けることが最優先なので不満でも抗議はしません。けど、将来的に開発職に戻れるように上司や周囲の人たちとの関係を保ちつつ、実現できるように異動先でもキャリアを積めるよう、気持ちを切り替えます。【30代SE, pen】

  • 上司としても開発職を続けてほしいかもしれないので、お互いの希望は何か、それにはどういう対応が可能かなど、まずは話し合うべきだと思います。【30代SE, はらぐぅ】

  • 「私って戦力外なのかなぁ。会社辞めたほうがいいのかなぁ」と思ってしまうかも。【30代SE, m】

  • 社内での異動であれば断固抗議しますが、客先への常駐への変更ならば納得して受け入れると思います。【30代 プログラマ, TM】

  • 身につまされる思いです(^^; 異動が決まってしまったのであれば受け入れると思います。不本意ではありますが、子供がいると背負うものが変わってくるので……。【30代プログラマ, AK】

  • 組織なので配置転換があるのは仕方がないけれど、事前に会社として配置転換をしなければならないと判断するボーダーラインを提示し、その条件がクリアできない場合に配置転換する、といったステップが欲しいです。そうすれば納得できると思います。【30代 FA制御技術者, 村瀬】

執筆者プロフィール

藤城さつき(Satsuki Fujishiro)株式会社タンジェリン代表取締役。
コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方について日々模索中。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。