本連載では、女性エンジニアたちが普段どんなことを考えながら仕事をしているかということをお話します。エンジニアにとって、ハードウェアの設置は日常茶飯事です。しかし、デスクトップマシンの設置は力が必要であり、女性にはハードルが高い業務です。さて、現場で働く女性エンジニアたちはハードウェアの設置という業務をどのようにこなしているのでしょうか?

マシンの設置をしなければならなくなったら?

某ソフトウェア開発会社でSEとして働くA子さん。中途入社2年目で、5名の開発チームの中では2番目に高いスキルを持っていて、周囲から頼られる存在。チームの中で女性はA子さん1人だけですが、仕事の内容では男女差別を感じていません。しかしある日、開発環境を整えるため、新しいクライアントマシン(デスクトップ)を3台配備することになったのですが……。

通常は手の空いたメンバーでマシンの設置を行うのですが、この日会社にいた男性は腰痛持ち。そんな同僚の男性を気遣ってA子さんは、「設置作業は私がやりましょう」と申し出たのですが、逆に彼は「とんでもない!! 女性にそんな仕事をさせるわけにはいかないよ」とA子さんのことを気遣ってくれ、1人で黙々と設置作業を行っていました。

さて、このやりとりでA子さんはどのように感じたと思いますか?

場によって違いはあれど……

技術系男性の就労人口が横ばい、もしくは微減傾向にある中、女性技術者の就労人口は少しずつではありますが増加傾向にあります(※)。とはいえ、部署に女性が1人もいないという職場は少なくないのではないでしょうか?

筆者もいくつかの職場を転々としましたが、「女性は自分だけ」というところがほとんどでした。つまり、まだまだ技術系の職場における女性の存在はマイノリティです。この連載コーナーでは、そんな職場でがんばる女性技術者、そんな女性を同僚・部下に持つ男性諸氏に、どんなテクノロジーよりも役に立つ(!?)情報をお届けします!! 今回は上記のように、ハードウェアの設置作業に関する女性の本音についてアンケートを取ってみました。

開発の現場にいると、自身でマシンを組み立てたりサーバーを設置したりする機会もよくありますが、アンケートの結果では、eぱうだ~の中でも「やりたいのにやらせてくれない」「自分のことは自分でやる」といったように、職場によって意見が異なることがわかりました。

オンナだって力仕事します!!

とはいえ、67%という圧倒的多数を占めた意見は「やらせてほしい」です。意見の具体的な中身は右のカコミ記事を見ていただきたいのですが、ハードウェアの設置に関しては、「男女の違いを意識せずに接してほしい」という考えを持っている女性が多いことがわかります。中には設置作業を「勉強の機会」ととらえている人もいるなど、女性は割と物事を前向きに考える傾向があるのかもしれません(もちろん個人差はありますが)。逆に言うと、女性はもっと積極的に「やらせて!!」とアピールすべきしょう!!

女性技術者の意見

●マシンのセッティングは好きなので、むしろやらせて!! それが自分のメインマシンなら特に(笑)。【30代プログラマ、Tomo】
●気遣いはうれしいけど、同業者なのでマシンの設置程度の作業に男女は関係ないのでは。【30代SE、my】
男性にやってもらってばかりだと、いざ自分が行う時に手こずってしまいそう。勉強のためにも手伝わせてほしい。【30代SE、rin】
●うちの職場の男性は、新しいマシンの設定は「楽しいこと」ことだと思っている人が多いので、この聖域(!?)を邪魔しないようにしている。【30代SE、hm】
●メンバーがそれぞれやれることをきっちりやるべき。男女がどうのと言う前に、チームとして仕事をしているのですから。【30代SE、Hg】
●若い頃は「自分がやります!」とやる気満々でしたが、今の年齢を考えると、若者にやっていただきたいというのが本音……(^^; 【30代プ>ログラマ・イラストレータAk】

執筆者プロフィール

藤城さつき(Satsuki Fujishiro)
コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方について日々模索中。株式会社タンジェリン代表取締役。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.1(2007年11月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。