本連載では、今まさに日本市場進出を目指しているスタートアップ企業たちを紹介している。今回は、アンチドローンのトータルソリューションを提供するTron Future Techだ。

台湾国家宇宙センターにも導入される技術力

Tron Future Techは2019年に設立された、アンチドローンのトータルソリューションを提供する企業だ。パートナー企業はドイツ、フランス、エストニア、シンガポール、ヨルダンなど、世界各国に広がっている。同社 ヴァイスプレジデントの林雅媖(リン・ヤーイン)氏は、同社のソリューションの特長は「レーダーが15.7kgと非常に軽量なこと」だと言う。台湾国家宇宙センターにも導入されていると語り、そのクオリティの高さにも自信を見せた。

  • Tron Future Tech ヴァイスプレジデントの林雅媖氏

アンチドローンのトータルソリューションは現在、「さまざまな国や企業から需要がある」(林氏)という。「気温が50度を超える砂漠で使えるようにしてほしい」といったカスタマイズの要請にも応えたことがあるそうだ。

「ディフェンスの市場は一般消費者向けの市場ではないものの、国や企業にとってはスタンダードなソリューションになりつつあります。そのため弊社では、オーダーに応じ、ハードウエア、ソフトウエアともカスタマイズすることができるようにしています」(林氏)

例外的な依頼として、過去には「中東の富豪や、パパラッチに悩む有名人などから購入したいという相談を受けたこともある」と林氏は語った。

「とにかくチャレンジ」- 日本市場開拓に向けた意欲

日本への進出にも積極的だ。2023年5月には、警備DX受発注プラットフォームを開発・運営するAIKと業務提携し、本格的な日本市場参入の第一歩を踏み出した。現在は、日本においてアンチドローンソリューションの需要がどの程度あるのか、どのようなカスタマイズが必要なのかといったことを情報収集している段階だと林氏は言う。

取材時、日本からマイナミホールディングス 副社長の南広和氏がソリューションのデモンストレーションを視察に台湾に来ており、同席していた。南氏は「日本では防衛装備庁向けにカスタマイズして、使用できる可能性がある」とした上で「2024年に日本でもデモンストレーションが始められるよう、がんばりたい」と語っていた。

林氏は今後の展望について、「目標を立てることも大切だが、新しい市場なので、とにかくいろいろなチャレンジをしていく」と話し、より多くのパートナー企業を日本でも探したい意向を示した。