本連載では、今まさに日本市場進出を目指している台湾のスタートアップ企業たちを紹介している。今回は、企業向けDX推進サービスを展開するKdan Mobileだ。
全世界でダウンロード者数1億人を超えるPDFファイルソリューション
Kdan Mobileは2009年に設立されたSaaS企業だ。2023年3月には日本法人である「Kdan Japan」が設立されている。同社の主なサービスはPDFファイルソリューション「PDF reader」と電子署名サービス「ドットサイン」だ。PDF readerは全世界でダウンロード者数1億人以上、ドットサインは100万人以上のユーザーがいるという。
PDFに関してはすでに世界的な競合が存在しているが、同社 CEOのケニー・スー(Kenny Su)氏は「我々はPDF SDKや、API連携も提供しており、企業のDXをサポートしていける体制が整っている」と自信を見せる。また、PDFの技術を活用して開発したというドットサインについては、「ユーザーから、『PDFの編集モードで電子署名をしたい』という希望が多かった」と言い、すでに日本企業への導入実績もあることを明かした。
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Kdan Mobile CEOのケニー・スー氏
では同社は今後、日本市場でどのようなポジションを目指していくのか。スー氏は「まず今は日本市場で名前を知ってもらうことを目指している」と語る。中期的には、現在7名が在籍する日本法人を、3年以内に100名規模にしていきたいという。
日本市場と台湾市場は「とても似ている」
すでに日本進出を遂げて半年以上経過した同社だが、日本市場と台湾市場の違いについて、どう感じているのだろうか。スー氏曰く、両者はとても似ているそうだ。
「台湾も含め、アジアでは技術を自分たちで開発したいという企業が多い印象です。しかし、技術の開発には時間がかかります。私は、自社で持つ強みのある技術と、他社が持つ技術を組み合わせていく方がよりスピード感を持って、DXが進められると思っています。だからこそ、弊社が持つSDKやAPIの技術は、よりアジア向きなのです。SaaS市場で言うと、日本は大きな市場です。私たちの技術支援で、日本企業のDXを推進していきたいと考えています」(スー氏)