連載3回目になる今回は「伝説といわれた給与を獲得したノウハウ」の本題になります。第1回・第2回では、企画が重要であり、企画を出す習慣が重要であることを説明しました。
多くの若い方が上長から「何か企画を出しなさい」と言われて企画を出すことがあっても、その後、企画を出し続けることにはならないと思います。その原因は上長に承認される企画を提出できないからだと考えます。
もし、若い時に提出した企画が採用されれば、上長からも「こいつ、若いのに見どころあるな」と思われ、自分自身も「私、向いているかも」と思い、かなりの確率で次の企画につながっていくと思います。若い時の企画の成功体験はとても重要なわけです。
そこで今回と次回にわたり、若手にとって最初の企画で評価されるための基本的なことを書きたいと思います。基本すぎる内容ではありますが、おそらく、若手も場合によってはベテランの方も「そういえば、やってないかも」と気づきのある内容ではないでしょうか。
ポイントは以下になります。
- 企画の基本ロジックを知る
- 上長が普段話している方針から企画書を起こす
- ドラフトができたら上長から10分もらい、上長の意見を企画に反映させる
上記が守れている企画は読みやすく、会社の方針に合っているため、採用される可能性はかなり高くなります。仮に採用されなくても、いい企画として上長に理解されるはずですので、今回の企画がダメでも、別の企画でメンバーに選出され、チャンスに恵まれることはよくあります。私の場合、若い時はこのケースが一番多かったです。
いい企画は出して損はないです。数年後にチャンスを生むことも結構ありますので、腐らずに出し続けることが重要です。はっきり言えばこの企画書提出の習慣ができれば、必ず状況は好転します。企画を出し続ける社員を評価しないはずはありません。見ている人は必ずいます。万が一、社内で評価されなくても、社外の意外なところから評価してくれる人が現れることもあります。
さて、以下、前述の採用される企画のポイントを説明します。
企画の基本ロジックを知る
企画を学ぼうとして本屋に行くと、200ページくらいの書籍が良く売られています。良い書籍であれば、それを読んで学ぶことは有効です。しかし、私は本来、企画はシンプルなものであるべきと考えています。相手を説得するロジックがしっかりしていれば、シンプルであればあるほど良いと考えています。
実際に部下からいきなり30ページくらいの企画書が出てきたら、「これ本当にもくろみ通り結果が出るの?」「効果は何年後にでるの?」と思ってしまいます。シンプルな企画のほうが実行しやすく、結果にブレがなく、効果もすぐに出ることが多いです。したがって、企画はシンプルなほうがいいのです。
しかし、シンプルすぎると効果が小さくなってしまい「はたしてやる意味があるかどうか」という話になります。そこが企画の難しいところであり、面白いところになります。
さて、企画の基本ロジックは以下で十分であると私は考えています。以下はロジックの三角形(三角ロジック)と言われているもので、論理的な思考を基礎となる考え方です。相手にわかりやすく説明する際にこの三角形を意識して説明するとわかりやすいです。
よくあるケースに置いてみます。
主張:部長、XXXキャペーンやりましょう! 理由付け:新規のお客さまが10件は獲得できると思うからです。 データによる証明:過去に5年連続で同じ内容のキャンペーンを行って平均で15件新規のお客様が獲得できています。
わかりやすい例ですね。では次に、ロジックの三角形で作った項目を以下の4ステップに置いてみましょう。ここがとても重要です。全ての企画書はこの4ステップに置いて考え、4枚にまとめると、シンプルにできます。
<企画書の4ステップ> 1. 現状と課題(理由付けの裏返し) 2. 解決案(主張+データ) 3. コスト&スケジュール(データ) 4. 投資対効果(理由付け)
なーんだ簡単じゃん!と思う人も多いと思いますが、中堅も含めてほとんどの人がこのステップ通りに作ってはいないのではないでしょうか。この通り作れば時間も短縮でき、企画もぶれません。
では、実際に4ステップの例を作ってみます。
- 現状と課題→今年はまだ1件も新規のお客さまが獲得できていない。
- 解決案→XXXXキャンペーンを実施する。
- コスト&スケジュール→広告費とカタログ費 X円、準備期間は1カ月。
- 投資対効果→10件以上は新規顧客を獲得でき、X円の売上が上がる見込み。この企画は過去5年間連続で実施し、毎年15件以上の新規受注ができている。
シンプルですが、わかりやすいですよね。特に若手の方は企画を作る時に真っ白なノートに、以下の4ステップを書いて、1人でブレインストーミングをされてはいかがでしょうか。ぶれない企画書ができるはずです。
- 現状と課題
- 解決案
- コスト&スケジュール
- 投資対効果
さて、残りの2つのポイントについては、次回に説明することにします。
著者プロフィール吉政忠志
業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、プライム・ストラテジー株式会社 取締役、一般社団法人PHP技術者認定機構 代表理事、一般社団法人Rails技術者認定試験運営委員会、BOSS-CON JAPAN 理事長、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事を兼任。