皆さんは何歳まで働こうと思っていますでしょうか。筆者が外資系企業で働いていた時は「アーリーリタイア」という言葉が流行していて、数億円ものストックオプションをもらって40歳で引退するというストーリーが現実に存在していました。もちろんすべての外資系企業の社員がその恩恵を受けるわけではありません。

事実、筆者も某企業がNASDAQ上場寸前まで進んだことがあり、コンサルティングファームの試算では、日本ブランチのマネージャーであった筆者に4億4000万円のストックオプションによる収入が計算されていました。しかし、その企業は上場申請を取りやめ、4億4000万円は夢と消えたわけです。ただ、知り合いにはアーリーリタイア(実際には軽く働いてはいる)をしている人もいます。

今の時代、仮に上場によるストックオプションで1億円を手にしても、アーリーリタイアはできないですよね。1億円は10年20年ほどで消えていくような感じです。一方、寿命はどんどん伸びており、今年度の厚生労働省白書では、20年後の2040年に65歳になる女性の2割が100歳まで生き、男性の4割が90歳まで生きると発表するに至っています。

  • 平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容(主なもの)。2040年、65歳の女性が100歳まで生存する確率は20%、90歳まで生存する確率は68%だという 資料:厚生省労働白書

健康寿命を仮に平均寿命のマイナス10歳とすると、80歳くらいまで働ける体力がある人が男性で4割くらいいる時代が来るということです。一方皆様の会社で80歳まで働けると思いますでしょうか?

定年は少しづつ伸びており、役職定年などで定年後も働ける環境は整備されてきています。でも、どこまで働けるかは甚だ疑問ですよね。

あてにならないと言われている年金は支給額が下がったり、支給開始年齢が引き上げられたりすることは想定内であり、健康寿命を超えた後も生活できる術を確保しておかないと厳しいように思えます。

持ち家を所有している人はボロボロになっても済むところがあれば何とかなりそうな気もしますが、賃貸の場合、年金だけでは到底生活が成り立ちそうにありません。医療負担の話もあるので、やはり家を持っておくほうがリスクヘッジができるような気がしています。さて、そろそろ本題に入りますが、このコラムを書いたのは、副業の話をしたいからです。

定年まで働いた会社を辞めることになったり、高齢の域に入ってから会社を辞めることになったりした時、役員、管理職、現場の中で再就職しやすいのは現場仕事ができる人だと思うからです。単純に考えて高齢で退職した人を管理職では雇用しないですよね?

役員の方であれば顧問という道もありますが、顧問は何十年も続けられる仕事ではないですよね。一線から退くと訴求力も下がり、顧問として必要としてくれていた人もやがて退職すると、いよいよ顧問先はなくなっていきます。つまり、引退後に顧問として20年30年も食べていくのは厳しいのです。しかし、今の健康寿命を考えると、それくらい働かないと生き抜くことは不可能です。

一方、現場作業ができる人はどうでしょうか?職人のように腕があれば、仕事がありそうに思えませんか?もちろん腕があるだけではダメで、腕があることを周囲やネット上で知られていないと、仕事は続かないです。

このコラムを読まれている方にお伝えしたいのは、年齢や役職に関係なく、常に現場仕事の能力を副業で鍛えておくことが大事ということです。筆者は20代後半から、今起業している業務を副業として土日に仕事をしていました。このコラムの前半でも話しましたが、自分が転職をしすぎて、よいオファーがいよいよなくなり追い詰められた時、この副業で起業して今に至っています。結果的に高収入だったサラリーマン時代の3倍近く稼いでいます。副業をしていなかったら、子供を美大や私立高校にも通わせられなかったと思います。

さて副業の話ですが、お勧めしたいのはサブスクリプションモデルです。副業が本業になるかどうかは、ここで大きな分かれ目になると思っています。毎回注文がスポットの場合、受注を続けなければいけません。つまり、代金回収や経理処理も細かくなり、手間がかかるうえに収入も安定しません。サブスクリプションモデルは、収入が安定する点がすぐれています。いざ、副業を本業にする際に量を増やせば、安定高収入が期待できるからです。興味がある方は、第9回「1人起業1年目から年収1200万円を作る4つの策とは? 」で解説しています。興味がある方はそちらもご覧ください。

それでは今日はこの辺で。

著者プロフィール

吉政忠志


業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、プライム・ストラテジー株式会社 取締役、一般社団法人PHP技術者認定機構 代表理事、一般社団法人Rails技術者認定試験運営委員会、BOSS-CON JAPAN 理事長、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事を兼任。