今回は、最近PowerToysに追加された新機能で、アプリケーションを起動するショートカットキーの設定について取り上げる。PowerToysにはもともとショートカットキーを置き換える機能があったが、この機能が拡張されてアプリの実行やURLのオープン、テキストの送信といった機能にショートカットキーを割り当てることができるようになった。

連載「PowerToysでWindowsをパワーアップ!」のこれまでの回はこちらを参照

キーボードマネージャー

PowerToysには「Keyboard Manager」と呼ばれる機能がある。Keyboard Managerでは、キーを別のキーに割り当てる機能「キーの再マップ」と、ショートカットキーをほかのキーに割り当てる機能「ショートカットキーの再マップ」を提供している。

  • PowerToysの設定を開き、左のリストから「Keyboard Manager」を選択

例えば、多くのキーボードは左手の小指の位置またはその上下に「Caps Lock」キーを配置しているが、主に日本語を使っているのであれば、このキーが役立つケースは少ない。

この場合には「Caps Lock」キーを別のキーとして機能するように変更すると便利になる。例えば「Ctrl」キーや「Shift」キーなどに置き換えるといった具合だ。変更には、Keyboard Managerの「キーの再マップ」を使う。

ブラウザ上での例として、Microsoft Edgeでは「Ctrl」+「N」が新しいウィンドウの生成、Windows Terminalでは「Ctrl」+「Shift」+「N」が新しいウィンドウの生成に割り当てられている。アプリケーションごとにショートカットキーが違うと覚えるのが大変なので、Windows Terminalでも「Ctrl」+「N」で新しいウィンドウを生成できるようにしたい。

「ショートカットキーの再マップ」を使うと、Windows Terminalに入力された「Ctrl」+「N」を「Ctrl」+「Shift」+「N」に置き換える、といった設定ができる。これでMicrosoft EdgeでもWindows Terminalでも「Ctrl」+「N」で新しいウィンドウを開くことができる。アプリケーションごとにショートカットキーを入れ替えられるので、自分の使いたいようにショートカットキーを整えることが可能だ。

Keyboard Managerがパワーアップ

最近のバージョンのPowerToysでこの「Keyboard Manager」の機能が拡張され、ショートカットキーの置き換えのみならず、アプリケーションの実行、URIのオープン、テキストの送信といったアクションを設定できるようになった。

今回はこの新しく追加された機能のうち「アプリケーションの実行」の使い方を取り上げる。

「Win」+「T」でWindows Terminalを起動する

ここではサンプルとして「Win」+「T」でWindows Terminalが起動するように設定する。Windowsはデフォルトで「Win」+「E」でファイルエクスプローラーが起動、「Win」+「I」で設定アプリケーションが起動する。「Win」+「T」もこれと同じ要領でアプリケーションを起動できるようにしようという発想だ。

まず、PowerToysの設定を開き、左のリストから「Keyboard Manager」を選択する。

「Keyboard Managerを有効化する」がオフだった場合にはオンに変更してから、「ショートカットの再マップ」をクリックする。

  • 「Keyboard Managerを有効化する」をオンにし、「ショートカットの再マップ」をクリック

「ショートカットの再マップ」というダイアログが起動してくるので、そのダイアログの「+ショートカットの再マップを追加」をクリックする。

  • 「+ショートカットの再マップを追加」をクリック

次のスクリーンショットの状態でショートカットキーの設定と、それに対応するアクションの設定をする。まず、左側の鉛筆のボタンをクリックし、設定したいショートカットキーを入力してから「OK」をクリック。ここでは「Win」+「T」を押してから「OK」をクリックする。

  • 設定したいショートカットキーを入力する

次にアクションから「プログラムの実行」を選択する。

  • アクションから「プログラムの実行」を選択

アプリのフィールドにWindows Terminalのパスを入力する。「プログラムを選択」から選ぶか、PowerShellで「Get-Command wt.exe | Format-List」といった具合にコマンドレットを実行して表示されるパスを貼り付けよう。環境によって異なるが、「C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\WindowsApps\wt.exe」といったパスを貼り付けるケースが多い。

  • アプリのフィールドにWindows Terminalを実行するためのコマンドのパスを入力する

設定が完了したら「OK」を押して「ショートカットの再マップ」ダイアログを閉じる。

すると次のスクリーンショットのように設定したショートカットキーが表示される。これで設定は完了だ。

  • 「Win」+「T」でWindows Terminalを起動する設定の追加完了

この状態で「Win」+「T」を押すと、次のようにWindows Terminalが起動する。

  • 「Win」+「T」で起動してきたWindows Terminal

アプリケーションの起動は管理者権限で実行させることも、ほかのユーザーとして実行する設定にすることもできる。

  • 009l.jpg

    管理者として実行させる場合には「昇格済み」を選ぶ

このように、ショートカットキーでアプリケーションを起動するような設定ができる。特に頻繁に起動しては終了するようなアプリケーションがある場合、ショートカットキーによる起動を試してみるとよいだろう。

ショートカットキー

Windowsにはもともとかなりの数のショートカットキーが設定されている。新しくショートカットキーを設定すると既存の設定と衝突することも多い。

PowerToysのKeyboard Managerは手軽にショートカットキーの設定や変更を行うことができるので、設定したショートカットキーが衝突した場合には変更してみよう。また、ショートカットキーは適用範囲をアプリケーションごとに限定することも可能だ。うまく使いこなせばかなりの時短につながるので、一度試していただきたい。

付録: ショートカットキー

ショートカットキー 内容
「Ctrl」「Ctrl」 マウスカーソルをスポットライト表示。
「Windows」+「Ctrl」+「Alt」+「V」 クリップボードの内容をプレーンテキストとして貼り付け。
「Windows」+「Ctrl」+「T」 ウィンドウをピン留めする。
「Windows」+「Shift」+「/」 ショートカットガイドを表示。
「Alt」+「Space」 クイック起動ツールを表示。

参考