本連載では、先進的な働き方・オフィス構築を行っている企業に潜入し、思わず「うらやましい」と声を漏らしてしまうその内容を紹介していく。「これからのオフィスどうしようか……」と考えている読者の手助けにもなれば幸いだ。
第26回となる今回は、DUOやCANADELといったスキンケア商品からヘアケア、インナーケア、リカバリー商品などアンチエイジング分野全般の事業を展開するプレミアアンチエイジングのオフィスを紹介する。
点在していた2つの拠点を1つに
プレミアアンチエイジングは2023年11月28日にオフィスを移転した。移転するまでは、隣接しあうビルとはいえ移動に7~8分ほどかかる、虎ノ門ヒルズの森タワーとビジネスタワーという2つの拠点に点在する形でオフィスを構えていた。
移転前は新型コロナウィルスが流行していた時期だったため、特に部門間を跨いだ交流が少なく、社内でもコミュニケーションの形を模索していたという。
「コロナ禍になり、コミュニケーションを円滑にするため、積極的に交流会や懇親会を企画するようになりましたが、元々そのような機能に特化した空間を作っていたわけではなかったので苦労しました」(上原氏)
移転以降は、自由に使えるミーティングスペースを各所に配置し、部門を越えたコミュニケーションが生まれるオフィス環境を構築した。
特に「Parkエリア」では、全社員で同じ方向を目指すため、経営の想いや事業戦略、進捗などを共有する「全社ミーティング」の実施をはじめ、社内の健康経営を進める取り組みとしてヨガ教室を行うなど、さまざまな社員交流イベントが実施されている。
またParkエリアでは、毎週水曜日に「UNIPAL Academy」という、お昼の時間を使って、社員同士で学びを深めていく取り組みも行われている。
他にも、日々社員を支えてくれている家族をオフィスに招待し、職場理解と社員間の交流を深めるオフィス参観日イベントを行ったり、部門を超えた仕事以外の会話を通して、お互いの理解を深める事を目的としたハッピーアワーを定期的に開催したりなど、新しいオフィスではユニークなイベントが盛りだくさんとなっている。
スローガンやパーパスも一新
オフィス移転の背景に、このようなコミュニケーションに関する課題があったことに加えて、2020年10月28日に上場したことを機に、会社の人数規模も2年で90人程度から300人にまで急成長し、「組織全体が同じ方向を向き一丸となって新しいフェーズを乗り越えていきたい」というタイミングも重なった。
「今回のオフィス移転のタイミングで新しいコーポレート・アイデンティティを制定し、ロゴも刷新しました。スローガンには、1人ひとりが輝き、より一層持続可能な社会を実現したいという想いを込めて『Forever vivid』という言葉を新たに制定しました」(上原氏)
パーパスには「Uniqueな感性と思考で生み出した製品やサービスで、全ての人を年齢から解き放ち、新たな価値観で輝かせる。」というものを設定し、プロミスには「No limits プロフェッショナルとして、自らの壁を超え成長し続ける。」「Never boring 決まりきった方法を疑い、新たな驚きと発想を生み出す。」「Always true 自分に、仲間に、社会に、妥協なく誠実に向き合う。」という3つを体現することを掲げている。
このスローガンやパーパス、プロミスの言葉はオフィスの中でも目立つ部分に刻まれており、社員が常に意識できるようになっている。文字の大きさや文字の刻まれている場所の高さもこだわって調整したという。
「これらの言葉は、社員の皆さんが仕事で迷った時に『どのような行動を取ってほしいか』ということにフォーカスしたものになっているため、目に留まりやすい位置に設置する必要がありました。そのため、どこに配置したら良いかといったことは特にこだわって議論しました」(宮森氏)
最後に上原氏に、今後のオフィスにかける想いを聞いた。
「今回のオフィス移転は、ただ単にオフィスの場所を新しくする、ということではなく、会社として次の1歩を踏み出すための大きな取り組みでした。当社は、創業以来、『Uniqueな価値』を提供することで、何気ない日常を豊かにし、誰もがいつでも輝ける新しい未来に変えていくことにこだわり続けています。そのためには、なによりもそれを支える社員一人ひとりが、それぞれの個性(Uniqueさ)を活かし、いきいきと働くことを後押しできるような空間にしていきたいです。また、このオフィスを通して、お客さまと社会の期待を超える『驚き』や『感動』がつまったUniqueな価値を多く生み出していける組織でありたいと思っています」(上原氏)