ホンジュラス(Honduras)…中米のど真ん中に位置するこの国は現在、大統領がクーデターで追放されるという政変で国全体が大きく揺れ動いている。今回紹介するひとことには、その追放された本人の、抑えきれない怒りと悔しさが如実に表れている。

They are creating a monster they will not be able to contain.

-- Jose Manuel Zelaya

彼らは、自分たちで抑えることが不可能なモンスターを作り出しているんだ

オリジナルはこちら → Honduran President Is Ousted in Coup

Zelaya大統領はその日、銃声で目が覚めた。ベッドの周りには覆面の兵士が立っている。パジャマ姿のままバンに押し込まれ、空軍基地まで連れて行かれ、そして今度は飛行機に押し込まれた。着いたところはコスタリカのサンノゼ(San Jose)空港、起きがけの格好のまま、他国の空港で怒りをぶちまけるその人は、大統領と呼ぶにはあまりに痛々しい。それでも、「力で奪った政権など、誰も認めはしない。私がホンジュラスの大統領だ」と叫ぶZelaya氏。さすがに他の中米諸国や米国も、現在のところクーデターによる政権奪取は認めようとはしておらず、軍が樹立した暫定政権を承認しない構えでいる。だが、一度粉々になった大統領の威信をZelaya氏が取り戻せるかどうか、非常に微妙だ。

28日、ホンジュラスでは暫定政権による48時間の夜間外出禁止令が出された。予断を許さない状況は、なお続く。

いつか終わりが来るけれど…とりあえず"いま"だけ!の現在進行形

更新期間が空きがちな本連載で、なぜかよく出てくる現在進行形だが、前回も触れたとおり、現在進行形はいま現在の、一時的な話をするときに使う。たとえばテニスの試合中、お気に入りの選手はいま勝っているのか負けているのか? を知りたければ、Is he winning the game? と聞けばよい。出張でやってきたビジネスの相手に「どちらのホテルにお泊りで?」と聞くなら、What hotel are you staying at? だ。あくまで一時的、いまだけの話だからね。

それにしても暫定政権が"ただいま制作中(creating)"というモンスター、出来上がったときはどんな姿をしているのだろう。

contain≠「含む」… 英語の動詞はイメージで

Containを辞書で引くと最初に出てくる訳が「含む」なので、そう暗記していた人も多いはず。もちろん間違いではないが、今回のひとことは「含む」では意味が通じなくなる。

怒り、悲しみ、悔しさ…などのネガティブな感情を「抑える」、つまりコントロールするという意味だが、「contain=含む、抑える」と覚えるのではなく、英英辞典などを参考にしながら、containという語がもつイメージをつかむことをお勧めする。何かを"容器"に入れフタをする、外には出さない - これがcontainのイメージである。そう考えると、たとえば5月18日付のNYTに掲載された記事"Japan Acts to Contain Swine Flu Outbreak"のcontainがどういう意味になるか、よく理解できるのではないだろうか。