生物学、なかでも古生物学と聞くと、難解なイメージがどうしてもつきまとう。恐竜の図鑑を眺めたり、「Discovery Channel」を観たりするのはたのしいのだが、"学問"になってしまうと途端に一般人立ち入り禁止、の空気が漂う。もっとも、最近は学者センセイの中にも、科学を一般にわかりやすく説明しようと試みている人も多い。とてもいいことだと思うけど、やりすぎると学者ではなく、タレントになりかねないので注意が必要だが。

そんなおカタいイメージのある古生物学ではあるが、せっかくの大発見なんだから華々しく見せてやろうじゃないの! と派手なメディアミックスに乗ったある科学者の言葉が今日のひとことだ。

Any pop band is doing the same thing.

-- Jorn H. Hurum

どんなポップバンドだって同じことをやってるよ

オリジナルはこちら → Seeking a Missing Link, and a Mass Audience

発言者のHurum氏はオスロ大学(the University of Oslo)に所属する若手の生物学者。2006年12月、ドイツのハンブルグである化石と運命的な出会いをした。約4,700万年前のサルに似た動物の、信じられないくらいすばらしい保存状態(胃の内容物まではっきり残っている!)の標本である。眠れない夜を2晩すごした後、彼はディーラーからその化石を買い取った。

人類は霊長類(primate)からどう進化していったのか、その謎はいまだ解けていないが、この化石を2年以上研究した結果、"人類の歴史観を変えるかもしれない"ミッシングリンクの可能性をもつことがわかったという。

そんな世紀の大発見ならば、それなりの舞台を用意してお披露目しよう! ということになり、世界屈指の博物館、NYのアメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)にて19日(米国時間)に公開されることになった。「History Channel」というTV番組がHurum氏らの2年間を追ったドキュメンタリーを作っていて、これも同時に公開される。あわせて書籍も出版、Webサイトも開設し、噂を聞きつけたほかのニュースメディアも公開を心待ちにしていたという。ちなみに当日のイベントにはBloomberg市長も立ち会った。地味なイメージをもたれがちな生物学だが、とくに気負うことなく「科学の世界にだってエンタメ要素が必要」と言ってのけるHurum氏、今後もどんな活躍をしてくれるのか楽しみだ。イベント後のNYTの記事はこちら

この標本がどのくらい美しいか、興味がある向きはBBCのビデオコンテンツなども観てみてほしい。BBCにはHurum氏のインタビューもあるので、こちらもぜひ。リスニングの勉強にもなります。

忘れてしまいたい中学英語 - someとany

中学英語で「Someは肯定文で、anyは疑問・否定文で」と習った人は多いはずだが、その知識は忘れたほうがいい。Anyもこのようにちゃんと肯定文で使われる。肯定文のanyは「誰だって」「どんなものだって」という意味に。Someとは基本的に別モノなので、きちんと使い分けたい。

ちなみに肯定文ではsomeだから…と、Some pop band is doing the same thing.としすると「あるポップパンドは同じことをしている」とまったく違う意味になってしまうことに。

現在進行形で"いま"の感じを

第6回でも登場した現在進行形だが、ここでも同様に「いまのところ、その状態がつづいている」ことを伝えている。「いまどきのポップバンドなら、みんなおんなじことをやってるよ」という、"いま現在"という期間における状態である。過去のこと、未来のことはとりあえず問わない。

たとえば転職をしょっちゅうする人が、I'm working for the company.と言えば、「あ、いまはこの会社に勤めているのね」と周囲は納得する。将来どうなるかはわからないが。