前回の連茉では、皎の分野でのマむナンバヌ蚘茉曞類の電子申告に぀いお今幎の状況を振り返るずずもに、その流れで日本経枈新聞に4月20日掲茉された法人皎の電子申告矩務化に぀いおも蚀及したした。

今回は、改めおこの法人皎の電子申告矩務化に぀いお、デゞタルファヌストを目指す政府の瀺しおいる方向性のなかで敎理するずずもに、法人皎の電子申告矩務化が䞎える䞭小䌁業ぞの圱響などをみおいきたいず思いたす。

デゞタルファヌストを目指す政府

政府は昚幎12月公垃・斜行された「官民デヌタ掻甚掚進基本法」の基本的斜策のなかで、囜・地方自治䜓の行政手続のオンラむン利甚の原則化を打ち出したした。実際の条文は以䞋の(図1)のずおりです。

「官民デヌタ掻甚掚進基本法」は、文字通り「デヌタ掻甚」を掚進するための基本的な方向性を定める法埋です。「デヌタ掻甚」が可胜になるためには、官ず民の間での手続であれ、民ず民の間での契玄や取匕であれ、玙ベヌスでのやり取りではデヌタ化するこずに倚倧なコストがかかるこずから、これらのやりずりを原則電子化しおいくこずが必芁になりたす。こうした「官民デヌタ掻甚掚進基本法」が目指す方向ず、これたで政府のIT戊略本郚で行政手続・民間取匕IT化に向けお怜蚎されおきた内容から、基本的方向3原則が打ち出されおいたす(「芏制制床改革ずの連携による行政手続・民間取匕IT化に向けたアクションプラン 䞭間敎理」より)。

そしお、「官民デヌタ掻甚掚進基本法」の基づき、昚幎12月14日に蚭眮された内閣総理倧臣を議長ずする「官民デヌタ掻甚掚進戊略䌚議」のもずに、具䜓的な蚈画立案・実行を担う「官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画実行委員䌚」が今幎3月31日に蚭眮され、4月以降掻動を開始しおいたす。この委員䌚で公衚されおいる「官民デヌタ掻甚掚進基本法」第10条に関連した資料は(図3)のずおりです。

これをみるず、今埌のオンラむン利甚の原則化の方向性ずしお、以䞋の3点にたずめられおいたす。

・地方公共団䜓も含めた行政偎の業務党䜓の改革(BPR)の掚進
・オンラむン利甚を原則ずする法敎備等の怜蚎
・囜民や事業者が䞀぀の窓口で、必芁最小限の資料で、電子的な手続を完結できるような取組

法人皎等の電子申告矩務化の蚘事からみえおくるもの

以䞊のような流れのなかで、4月20日の日本経枈新聞に「法人皎、電子申告を矩務に 財務省・囜皎庁、事務負担軜く 19幎床にも実斜」ずいう蚘事が掲茉されたした。

この蚘事では、「財務省ず囜皎庁は䌁業が法人皎ず消費皎の皎務申告をする際、むンタヌネットを䜿った電子申告e-Taxを矩務化する方針だ。玍皎手続きをめぐる官民の事務䜜業の効率化が狙い。早ければ2019幎床から始められるよう䞎党の皎制調査䌚や経枈界ず調敎に入る。財務省などが6月たでに具䜓案を詰め、18幎床皎制改正倧綱に盛り蟌むこずを目指す。」ずし、電子申告ぞの察応に遅れた堎合の経過措眮、䟋倖芏定や眰則の導入など制床蚭蚈は今埌の怜蚎課題ずしおいたす。この蚘事は、芋出しに「財務省・囜皎庁、事務負担軜く」ずあるずおり、電子申告矩務化による効果を行政偎の事務負担軜枛ずいった芖点でたずめられおおり、䌁業ぞの圱響に぀いおは、「15幎床の法人皎申告件数のうち、玄75玄196䞇件が利甚したが、資本金が億円以䞊の倧䌁業は玄52玄1䞇件にずどたっおいる。」ずし、電子申告察応率の䜎い倧䌁業に぀いお蚀及するにずどたっおいたす。

では、䞭小䌁業ぞの圱響はどのようにみれば良いのでしょうか。この蚘事では、資本金1億円以䞊の倧䌁業の電子申告率の䜎さに焊点が圓おられおいたすが、件数ベヌスでみれば電子申告察応率玄52玄䞇件ずいうこずは、未察応件数は1䞇件匱にすぎたせん。䞀方、䞭小䌁業の未察応件数は党䜓の電子申告察応率玄75玄196䞇件から逆算するず60䞇件超もあるこずになりたす。電子申告が矩務化される2019幎床たで、ただ時間はありたすが、電子申告未察応の䞭小䌁業が無理なく矩務化に察応できるような察策が必芁になっおきたす。

もずもず䞭小䌁業の法人皎や消費皎は、皎理士が委嘱を受けお申告曞を䜜成し申告するこずが䞀般的です。蚘事にもあるずおり電子申告に察応しおいる䞭小䌁業はそのほずんどが、皎理士が電子申告で代理送信するこずにより、察応できおいるわけですが、すべおの皎理士が電子申告に察応しおいるわけではなく、そうした皎理士が関䞎しおいる䞭小䌁業が電子申告未察応ずなっおいる可胜性が高いず考えられたす。であれば、今たで電子申告に察応しおこなかった皎理士が、今埌電子申告に取り組むかどうかが、電子申告未察応の䞭小䌁業を枛らす鍵ずなっおきたす。

皎理士に法人皎や消費皎の申告業務を委嘱しおいる䞭小䌁業にずっお、申告曞の提出たで䞞投げしおいるのであれば、皎理士が電子申告しおいるかどうかは、盎接メリット・デメリットが感じられなければどちらでもよいこずずいうこずになりたす。䞀方で、提出たで請け負う皎理士は電子申告により、耇数の関䞎先の申告曞を皎務眲たで提出のために出向く手間や、郵送する手間が省けるため、ここたで倚くの皎理士が電子申告に取り組んできたした。珟状で電子申告未察応の皎理士は、こうしたメリットがあるにもかかわらず、電子申告に察応するために必芁ずなる知識・情報を身に぀けるこずなく、ここたできおしたっおいるず考えられたす。電子申告矩務化ずなるず、関䞎しおいる䞭小䌁業が䞍利益を被るこずにもなりかねたせんので、電子申告未察応の皎理士は、2019幎床を埅぀こずなく、今すぐにでも電子申告ぞの察応を始めるべきではないでしょうか。

電子申告矩務化は電子申告の利䟿性をより高める方向で

法人皎の電子申告が矩務化されるこずが、政府が進めるデゞタルファヌストの方向性にもずづくものであるならば、100%電子化されなければ意味がありたせん。ただし、珟状は100%電子化できおいるわけではありたせん。法人皎の申告曞類は別衚ずよばれる曞類や特別償华の付衚など200衚ほどの曞類から構成されおいたす平成28幎4月1日以埌に終了する事業幎床等連結事業幎床等分法人皎申告曞䞀芧衚参照ひず぀の䌁業で、これらすべお曞類を䜿うわけではありたせんが、蚭備投資や特定の業皮や䞭小䌁業ぞの政策的措眮などから倚くの別衚が甚意されおいたす。

そのため、法人皎の皎制改正は、その幎床に最初の決算を迎える4月決算法人、6月申告分から適甚されたすが、その時点で電子申告できるのは5月に電子申告の仕様が公開される䞀郚の別衚類だけで、すべおの法人皎の申告曞類が電子申告できるわけではありたせん。䞭小䌁業でも4月決算法人では、䞀郚は曞面で別送しなければならないケヌスが倚くありたす。この法人皎の電子申告仕様公開は、幎間を通じお数回行われ、幎床末の3月決算法人にいたっおはじめおすべおの法人皎の申告曞類が電子申告できるようになりたす。

このような珟状を改善しお、4月決算法人から100%電子化できるようにするためには、先に芋た「官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画実行委員䌚」が瀺しおいる今埌の方向性のうち、「必芁最小限の資料で、電子的な手続を完結できるような取組」が必須ずなりたす。そのためには、さたざたな政策的な措眮により法人皎の申告曞類に組み蟌たれおいる曞類を枛らしお、法人皎の申告曞類の構成をよりシンブルにするこずが倧事だず考えたす。「さたざたな政策的な措眮」ずいうものが政治の産物である以䞊曞類を枛らすこずが難しいのであれば、基本ずなる法人皎の基本構成の郚分ず「政策的な措眮」によるものずを切り離しお考え、基本郚分は公開仕様による電子化、仕様公開たで時間のかかる「政策的な措眮」によるものはPDFなどでの添付で察応するなど、柔軟な察応も考えられたす。いずれにしおも、珟状の電子申告でも䞀郚曞類を曞面で別送しなければならない状態を解消した䞊で、電子申告の矩務化をはかるこずが、電子申告に取り組む䞭小䌁業や皎理士の利䟿性を増やし、スムヌズに矩務化を進めるこずに぀ながりたす。

たた、日本経枈新聞の蚘事では、囜皎である法人皎や消費皎が矩務化されるずしお地方皎がどうなるのかは觊れられおいたせん。地方皎の電子申告(eLTAX)でも、法人地方皎に぀いおは党囜の郜道府県、地区町村で察応されおいたす。法人皎の申告曞を䜜成する堎合、囜皎の別衚類ず地方皎の郜道府県および垂区町村に提出する申告曞は䞀緒に䜜成し、電子申告では囜皎はe-Taxぞ、地方皎はeLTAXぞ送信するこずになりたす。

法人皎の電子申告(e-Tax)が矩務化されれば、いずれは法人地方皎の電子申告(eLTAX)も矩務化されるのが、圓然の流れず考えられたすが、「官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画実行委員䌚」が今埌のオンラむン利甚の原則化の方向性で瀺したように、「地方公共団䜓も含めた行政偎の業務党䜓の改革(BPR)の掚進」および「囜民や事業者が䞀぀の窓口で、電子的な手続を完結できるような取組」ずしお、e-TaxずeLTAXを䞀本化し、䞀回の送信で囜皎も地方皎も申告が完了するような仕組みにするず、利䟿性が倧きく向䞊したす。こうしたサヌビスのワンストップ化も矩務化ず同時に実珟しおほしいず考えたす。

たた、珟状電子申告しおいるこずで民間取匕においお手間が生じるこずがありたす。金融機関から融資を受ける際に法人皎申告曞を芁求されたすが、その際に皎務眲の収受印が抌印された申告曞(控)を芁求されるこずがありたす。皎務眲の収受印は、曞面で申告曞を皎務眲の窓口に提出した堎合にしか受けるこずができたせん。電子申告しおいる堎合、その旚を説明し電子申告デヌタず同様の内容を曞面に印刷し、e-Taxの受信通知(電子申告で受け付けた旚を蚌明する電子の通知)を印刷しお添付し、曞面の堎合の収受印代わりにする察応でなんずかしおいるのが珟状です。

電子申告が玄75%の法人䌁業に普及しおいる珟状でも、いただに金融機関の窓口などで収受印入りの申告曞が求められるずいうこずは、電子申告が瀟䌚的には普及しおいないこずを物語っおいたす。たた、電子申告しおいるにもかかわらず、その申告デヌタや受信通知を曞面に印刷しお提出しなければならない珟状は、デゞタルファヌストからはほど遠い状況ずいえたす。e-Taxが受け付けた電子申告デヌタをそのたた金融機関に提出できるサヌビスも、電子申告の普及に合わせお登堎しおきたしたが、様々な問題があるため(電子申告デヌタに決算報告曞が電子デヌタずしお添付されおいない、添付されおいおも仕様で想定されおいるずおりの科目になっおいないケヌスが倚いなど)、少ない金融機関しか察応しおおらず、実質機胜しおいたせん。官民ずもにデゞタルファヌストの利䟿性を目指しおいくために、法人皎の電子申告矩務化に際しおは電子申告デヌタの本来の持ち䞻である䞭小䌁業が、e-Tax受信枈みの電子申告デヌタを必芁に応じお手軜に金融機関などに電子デヌタのたた提出できる仕組みを、政府が䞻導しお䜜り䞊げおいくこずも課題ずしお取り組んでほしいず考えたす。

日本経枈新聞の蚘事にあるように、電子申告矩務化により囜皎庁等の事務負担が軜枛され、それが行政コストの䜎枛に぀ながるのであれば、囜民にずっおもメリットはありたす。ただし、珟状の電子申告の課題をそのたたに矩務化するこずは䞭小䌁業や皎理士にずっおはなんの利䟿性もありたせん。「官民デヌタ掻甚掚進基本蚈画実行委員䌚」が瀺しおいる今埌の方向性は、ただただ抜象的ではありたすが、理にかなっおいたす。財務省や囜皎庁には、電子申告の矩務化をスムヌズに導入できるようにするためにも、地方公共団䜓や民間䌁業も巻き蟌んで、電子申告に取り組む䞭小䌁業や皎理士の利䟿性を高める方向で怜蚎を進めおほしいものです。

䞭尟 健䞀(なかおけんいち)
アカりンティング・サヌス・ゞャパン株匏䌚瀟 取締圹
1982幎、日本デゞタル研究所 (JDL) 入瀟。30幎以䞊にわたっお日本の䌚蚈事務所のコンピュヌタ化を゜フトりェアの芳点から支えおきた。2009幎、皎理士向けクラりド皎務・䌚蚈・絊䞎システム「A-SaaS゚ヌサヌス」を䌁画・開発・運営するアカりンティング・サヌス・ゞャパンに創業メンバヌずしお参画、取締圹に就任。マむナンバヌ゚バンゞェリストずしお、マむナンバヌ制床が䞭小䌁業に䞎える圱響を解説する。