2016年1月から運用が開始される「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」だが、まだまだ、「マイナンバー制度って何?」と、制度についてよく知らない人も多い。そこで、この連載では、マイナンバーの疑問にQ&A形式で解説する。第2回では、第1回 基本編に続き、応用編をお届けする。

18.番号法で言う特定個人情報や特定個人情報ファイルとは?

「特定個人情報」とは、個人番号(マイナンバー)を含む個人情報と定義されている。マイナンバーそのものはもちろん、マイナンバーに対応する符号をその内容に含む個人情報で、これを含んだファイルあるいはデータベースが「特定個人情報ファイル」とされる。

ちなみに"符号"というのが分かりづらいが、例えばマイナンバーを規則的に変換した番号、例えば暗号化されていても同じように特定個人情報として扱われる。

19.マイナンバーにも個人情報保護法が適用されるの?

特定個人情報であっても個人情報の一部なので、当然のように個人情報保護法が適用される。マイナンバーの場合はさらに集約して使われることが想定されるため、個人情報保護法よりも厳しい罰則が用意されている上、今まで適用されなかった小規模事業者にも適用される。

20.中小企業や零細企業でも、マイナンバーを扱う必要があるの?

大企業でも個人事業主でも、等しくマイナンバーを扱う必要がある。法にある社会保障や税などの手続きが主だが、従業員がいないという例もある。その場合でも、経営者の個人番号を扱う必要があり、もし、業務の一部を外注に出しているような場合は、その外注のマイナンバーも扱うことになるので注意が必要だ。

21.中小企業や零細企業も、大企業等のようなマイナンバー管理の安全義務があるの?

ある。個人情報保護法が適用されない小規模事業者にも、番号法は適用されるので、万が一漏えいなどのトラブルを起こせば、法で定められているような、重い刑罰が待っている。きちんとマイナンバーが管理出来るよう、十分注意しておく必要がある。

22.外国人に講演や原稿執筆を依頼した場合、マイナンバーは必要?

依頼を受けた外国人がマイナンバーを持っている中長期在留者や特別永住者である場合、必要となる。

23.マイナンバーを変更できる場合はどんなとき?

マイナンバーが漏洩して不正に用いられるおそれがあると認められた場合に限って変更できる。変更には本人の申請または市町村長の職権によって行われる。

24.講演や原稿執筆などの依頼者が遠方に居住していて直接の本人確認が困難。どのようにすればよいか?

個人番号カードがある場合にはICチップの読み取り、ない場合には住民基本台帳や地方公共団体情報システム機構等に登録されている情報と、公的個人による電子証明書の確認などを行う。また、本人にしか知り得ない事項について複数聞き取ることで対応もできる。

25.代理人経由でマイナンバーの提供を受けても構わないか?

法定代理人または委任状を持つ任意代理人を経由してマイナンバーの提供を受けることはできる。その場合、代理人の身元確認も必要となる。

26.代理人経由でマイナンバーが提供された場合、本人確認はどのようにすればよいか?

代理人の代理権と、代理人の身元確認を行った上で、本人の番号を確認することで本人確認できる。本人の番号確認は個人番号カード、通知カード、マイナンバーの記載された住民票の写しなどで行う。

26.マイナンバーの取得や本人確認などの事務作業を、外部に委託しても構わないか?

問題ない。委託を受けた者が委託を行った者の許可を受けた場合には、再委託することもできる。

27.マイナンバーの取得や本人確認などの事務作業を外部に委託する場合、留意すべき点は何か?

委託先で適切な情報管理が行われるように監督を行わなければならない。

28.マイナンバーを扱う事務作業を、外部に委託しても構わないか?

委託を受けた者が委託を行った者の許可を受けた場合には、再委託することもできる。

29.マイナンバーを扱う事務作業を外部に委託する場合、どういった手続が必要か?

委託先で適切な情報管理が行われるように監督を行わなければならない。また、どのような事務で利用されるのか利用目的を明示する必要がある。

30.自社のサービスで利用客の本人確認をしたい。個人番号カードを使ってもよいか?

いけない。個人番号カードを身分証明書として利用することは可能だが、マイナンバーを民間の業者に提供することはできない。

31.自社のサービスでの本人確認で個人番号カードを提示された。マイナンバーも転記して良よいか?

いけない。身分証明書としてのみ利用し、カード裏面のマイナンバーを書き写したりコピーを取ったりすることは禁止されている。

32.制度の開始前に、個人番号を事前収集することは可能か?

マイナンバーが通知された後、記載義務が発生する平成28年1月より前に収集し、特定個人情報ファイルを作成、保管することはできる。

33.個人情報を事前収集する場合、どのような手続が必要か?

番号法の「個人番号関係事務実施者に対して個人番号の安全管理を義務づける12条」に基づく完全管理義務措置として、番号法第16条による本人確認の措置と同様の措置を講ずる必要がある。

34.民間事業者が、マイナンバーのロゴマークを利用することは可能か?

内閣府大臣官房番号制度担当室に使用の申請を行って承認を受ければ可能になる。申請は郵送で行ない、1~2週間程度で返答が受けられる。

35.マイナンバー情報が、通信経路で漏洩することはないいのか?

通信経路における情報漏洩等を防止するための措置を行うことになっている。具体的な防止策として、通信経路の暗号化等が考えられる。

36.公務員がマイナンバーを不正に取得したり利用した場合、どのような罰則があるのか?

個人や民間事業者と同じ罰則の他に、国や地方公共団体、地方公共団体情報システム機構などの職員に限定した罰則が設けられている。たとえば、情報連携や情報提供ネットワークシステムの業務に関して知り得た秘密を漏らし、または盗用した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金を科される。併科されることもある。

37.マイ・ポータルとは何か?

行政機関がマイナンバーの付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認したり、行政機関からのお知らせなどを自宅のPCから確認できるポータルサイト。

38.マイ・ポータルはいつから利用可能か?

平成29年1月から利用可能になる予定(2014年6月時点)

39.個人情報カードが無くてもマイ・ポータルは利用出来るか?

できない。利用にあたってはなりすまし防止のために、個人番号カードに格納された電子情報とパスワードを組み合わせて利用することになる予定。

40.マイナンバー情報は国が一括管理するのか?

個人情報の一元管理は行われない。従来どおり各行政機関が必要な情報を保有し、他の機関が必要になった時に情報提供ネットワークシステムを通じて情報の照会を行ない、提供を受ける分散管理型を採用している。