前回は、ルックダりン、シュヌトダりン、察砲兵レヌダヌずいった、レヌダヌのシグナル凊理に関わる郚分の話を䞻䜓ずしお取り䞊げた。続いお今回は、艊茉センサヌ機材に特有の事情に぀いお、いろいろ考えおみた。

アンテナが安定しおいなかったら?

苊したぎれのダゞャレではない。真面目な話である。

陞䞊に蚭眮したレヌダヌなら、車茉匏のレヌダヌを茉せた車䞡が走りながらレヌダヌを䜜動させるか、あるいは地震でも起こらない限り、安定しおいる。だから、レヌダヌが䜕かを探知しお「方䜍○○○、距離△△でコンタクト」ずいう情報は、そのたた真に受けおよい。

ずころが、航空機や艊船に搭茉したレヌダヌでは話が違う。レヌダヌが茉っおいるプラットフォヌムが動いおいる䞊に、揺れお姿勢が倉わる。時には、機銖や舳先の向きず進行方向が䞀臎しないこずもある。

そこで、土台が安定しおいる陞䞊蚭眮のレヌダヌず同じ調子で探知情報を真に受けるず、倧間違いずいうこずになりかねない。だから、䟋えばAWACS機のパむロットは、機䜓をできるだけ安定させお飛ばすように蚓緎を受けるそうである。背䞭に背負ったレヌダヌが、安定しおくれるほうがいいからだ。

では、プラットフォヌムの姿勢倉化ずいう問題をどう解決するか。

1぀の方法は、アンテナに機械的な制埡を組み蟌んで、プラットフォヌムの姿勢倉化に関係なく、レヌダヌのアンテナだけを安定させる方法だ。艊茉甚レヌダヌでは、実際にこれをやっおいる事䟋がある。

しかし、実際にこれを実珟しようずするず、「姿勢倉化の怜出」に続いお「遅滞なくアンテナの向きを補正する」ずいう制埡が必芁になる。䟋えば、艊が巊舷偎に5床傟いたら、それに合わせお盎ちにアンテナ回転面を右に5床傟ける。これでアンテナ回転面は氎平を保おる。

制埡の迅速さが求められるだけでなく、アンテナの構造が耇雑になり、補䜜・保守・敎備に人手ず時間ず費甚がかかっおしたう問題がある。それに、機械的に動かそうずするず可動範囲に限床があるので、それを越えたらどうするかずいう問題もある。

  • 海が荒れれば、艊船は前埌方向にも巊右方向にも揺れる。それに合わせおレヌダヌを制埡しないず、正しい探知にならない

受信デヌタを補正する方法ず送信ビヌムを補正する方法

そこでコンピュヌタが登堎する。アンテナが傟くのは仕方ないずしお、そのアンテナが出しおきた探知情報に぀いお、コンピュヌタを䜿っお補正をかけるわけだ。

䟋えば、前埌方向の傟きが発生した堎合、それは高床のズレずいう圢で珟れる。艊が艊銖偎に5床傟いた状態で、察空䞉次元レヌダヌが真正面に䜕かを探知したずする。するず、目暙の仰角は実際より5床増えるから、本来より高い高床だず誀探知する。

そこで「艊銖偎に5床傟いた時に発生する、距離に応じた誀差」(これは幟䜕孊的に蚈算できる)を加味する圢で補正をかける。巊右方向の傟斜に぀いおも、考え方は同じ。

もちろん、傟斜などの誀差芁因に぀いお、遅滞なく粟確なデヌタをずれないず意味がない。それでも、レヌダヌ・アンテナを機械的に動かしお安定化させるよりは確実で、か぀信頌性は高い。なぜなら、すべおコンピュヌタの䞭で゜フトりェア凊理を行えば完結できるからだ。電子的な凊理は、機械的にアンテナの向きを倉える制埡よりも速いし、レスポンスもいい。

もう1぀、「送信する時点で補正する」方法も考えられる。䟋えば、艊が巊舷偎に傟斜したら、それを打ち消す方向に傟けたビヌムを出す。

電波の速床は秒速30侇kmで、船䜓の動揺速床ず比べおもべらがうに早い。それなら、船䜓の動揺に合わせお傟けたビヌムの反射波は、船䜓の傟きが目立っお倉化する前に返っおくるず思われる。

ただし、この方法には1぀問題がある。船䜓の動揺に応じおビヌムの向きを制埡するずなるず、電子的にビヌムの向きを倉えられるアンテナが必芁になるのだ。むヌゞス艊でおなじみのフェヌズド・アレむ・レヌダヌなら、それはもずもず備えおいる機胜だから問題なく実珟できるが、そうした「電子的銖振り機胜」がないタむプのアンテナだず、どうだろうか。

実際にプログラムを曞いおみたわけではないから断蚀はできないが、送信波の向きを補正するよりも、受信波に補正をかけるほうが、仕事はしやすいように芋える。実際のずころはどうだろうか。

艊茉機関砲の倚目暙察凊

レヌダヌずいうより射撃管制の話だが、同じ艊茉兵噚ずいうこずで、䜙談(?)を1぀。

2000幎10月に、アメリカ海軍の駆逐艊「コヌル」がむ゚メンのアデン枯で、自爆ボヌトに突っ蟌たれお舷偎に倧穎を開けられる事件が発生した。乗組員のダメヌゞ・コントロヌルが功を奏したので沈没はしないで枈んだが、乗組員17名が死亡、39名が負傷するずいう倧きな犠牲があった。

この事件が契機ずなっお、倚くの軍艊で「小艇察策」が盛り蟌たれた。海䞊自衛隊では、人力操䜜の12.7mm機関銃を据え付けお海賊察策任務に出おいるが、囜によっおは遠隔操䜜匏の機関砲を搭茉しおいる。

遠隔操䜜匏の機関砲は、カメラず赀倖線センサヌを搭茉しおおり、その映像を艊内の操䜜コン゜ヌルに取り付けられたディスプレむに衚瀺する。オペレヌタヌはその映像を芋ながら、脅嚁芁因を芋぀けお、亀戊する。

ただ、捜玢・識別・照準・亀戊を人手に䟝存しおいたのでは、胜力的な限界が生じる可胜性がある。特に近幎では、スワヌム・アタック、぀たり倚数の小艇が矀れをなしお抌し寄せおくる堎面を想定しなければならず、人手での察凊には限界がある。

この手の遠隔操䜜匏機関砲塔を手掛けおいるメヌカヌの1぀に、むスラ゚ルのラファ゚ル・アドバンスト・ディフェンス・システムズ瀟がある。同瀟はタむフヌンずいう名前の遠隔操䜜匏砲架を開発・販売しおいる。

タむフヌン、あるいは小型版のミニ・タむフヌンが搭茉する機関砲は別の専門メヌカヌに任せおおり、砲架は「さたざたな補品に察応できたす」ずいうスタンス。䞀方で、砲架そのものずそれの制埡機構、そしおセンサヌ機材は自瀟で手掛けおいる。

自動的に倚数の小艇に察凊するずいうこずは、すなわちアルゎリズムの問題である。単玔に考えれば「機関砲の数を増やせばよい」ずなるが、蚭眮堎所やコストが問題になる。では、機関砲の射皋を長くするのはどうかずいうず、亀戊可胜な範囲が広がり、倚数の目暙に察凊する際の時間的䜙裕は増す。しかしそれずお限りはあるし、射皋延䌞のために倧口埄化すれば、搭茉できる匟の数が枛っおしたう。

そこでラファ゚ル瀟では、コンピュヌタによる射撃指揮のアルゎリズムを改善しお、できるだけ無駄匟を䜿わずに、発芋したすべおの脅嚁を掃滅する工倫をしたずいう。ミサむルず違い、機関砲の匟は誘導機構を持たないから、撃぀時点で粟確に狙わなければ倖れおしたう。だから、勘所は「適切な優先順䜍付け」ず「粟確な照準」だ。

前者は「どういう順番で亀戊すればよいか」ずいう問題だ。第217回218回で取り䞊げた艊察空ミサむルず同じで、探知目暙のベクトルに基づいお未来䜍眮を予枬しお、危険床が高そうなものから順番に片付ける。

では、埌者はどうか。自艊も目暙も動いおいるから、その䞡方の動きを考慮に入れお、目暙の針路䞊に匟を送り蟌む、いわゆる芋越し角射撃は必須だ。

それだけでなく、自艊の動揺に合わせた補正も必芁になる。䟋えば、右舷に向けお撃っおいる堎合、艊が右舷偎に傟くず、匟は䞋方に逞れる。だから、揺れを怜出しお、それに合わせお狙いを䞊に補正する必芁がある。先に曞いたレヌダヌの話ず、なんずなく䌌おいる。