Microsoft EdgeにAI機能が導入されたことで、人に話しかけるような要領で検索や文書作成ができるようになった。この機能は昨年リリースされた「ChatGPT」と大いに関係しているので比較されることも多いのだが、最近になって状況が変わりつつある。お互いに特徴を取り込みながら似たような機能を備え始めているのだ。今回は、この辺りについて見ていきたい。
→連載「意外と知らないMicrosoft Edgeの便利な使い方」の過去回はこちらを参照。
最新のiPhoneについて教えてください
まず、Microsoft EdgeとChatGPTにそれぞれ質問をして、回答を比較してみよう。最初に「最新のiPhoneについて教えてください。」という質問を行ってみる。
Microsoft EdgeからMicrosoft BingのAIの検索機能を使った場合には次のような結果が得られる。
最新のiPhoneは、2022年9月に発売されたiPhone 14シリーズです。iPhone 14シリーズには、iPhone 14、iPhone 14 mini、iPhone 14 Pro、およびiPhone 14 Pro Maxが含まれます。これらのデバイスは、A16 Bionicチップ、5G接続、MagSafe充電、およびiOS 16を搭載しています。また、Proモデルには、ProMotionテクノロジーによる120Hzリフレッシュレートのディスプレイ、LiDARスキャナー、および3つの背面カメラが搭載されています。どのモデルが最適かを決定するためには、あなたがどのようにあなたの電話を使用するかについて考えることが重要です。
一部誤解を招くような説明もあるが、おおむね公開されている情報がそのまままとまっている。同じ質問をChatGPT PLUSに投げると次のような回答が得られる。
私の知識は2021年9月までのものであるため、その時点での最新のiPhoneモデルについて説明します。2021年9月時点での最新のiPhoneは、iPhone 13シリーズです。このシリーズには、iPhone 13 Mini、iPhone 13、iPhone 13 Pro、およびiPhone 13 Pro Maxの4つのモデルが含まれています。iPhone 13シリーズは、改良されたデザイン、より高速なA15 Bionicチップ、バッテリー持続時間の向上、およびカメラ性能の向上が特徴です。また、iPhone 13 ProおよびiPhone 13 Pro Maxでは、ProMotionディスプレイが導入されており、120Hzのリフレッシュレートによってスムーズな画面表示が可能となっています。ただし、現在は2023年4月であり、私の知識が古いため、最新のiPhone情報については公式のAppleウェブサイトを参照してください。最新情報にアクセスすることで、最新のiPhoneの詳細な仕様や機能について確認できます。
執筆時点でChatGPT PLUSには2021年9月のデータまでしか含まれていないので、古いデータに基づいた情報が表示されている。Microsoft Edgeから検索した方が、最新の情報を得られることが確認できる。
試しに同じ質問を無償で使用できるChatGPTにかけると、次のような答えが得られる。
2023年4月現在、Appleが販売している最新のiPhoneは、iPhone 15シリーズです。このシリーズには、iPhone 15、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Maxの3つのモデルがあります。これらのモデルは、前世代のiPhone 14シリーズと比較して、より高速なA17 Bionicチップ、改良されたカメラ、大幅に改善されたバッテリー寿命、そして新しいデザインが特徴です。また、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxには、120HzのProMotionディスプレイが搭載され、より滑らかな表示を実現しています。これらのモデルは、iOS 17と呼ばれる最新バージョンのiOSオペレーティングシステムを実行しており、5Gネットワークにも対応しています。また、顔認証機能であるFace IDや、Apple Payなどの機能も引き続き搭載されています。
執筆時点でiPhone 15は販売されていないので、上記説明は誤情報ということになる。OpenAIはChatGPTの内部に関して詳細な情報は公開していないので、なぜこのようなデータが表示されたのかはわからない。もしかすると最新のデータを取り込んで学習を行うような試作が進められているのかもしれない。詳しいところはわからないが、ChatGPTがリアルタイムデータの取り込みへ向けた研究開発に取り組んでいることは間違いないように見える。
最新のスマートウォッチについて教えてください
今度は同じように「最新のスマートウォッチについて教えてください」という質問を行ってみる。
Microsoft Edgeからの質問結果は次の通りだ。
最新のスマートウォッチは、Apple Watch Series 7です。Apple Watch Series 7は、2021年9月に発売されました。Apple Watch Series 7には、より大きなディスプレイ、より速い充電、およびより耐久性のあるデザインが含まれています。また、Apple Watch Series 7には、watchOS 8が搭載されています。 Apple Watch Series 7には、GPSモデルとGPS + Cellularモデルの2つのバージョンがあります。GPS + Cellularモデルには、電話通話とテキストメッセージを送信するための機能があります。
執筆時点でApple Watch Seriesの最新版は8なので、上記情報は古いことになる。Microsoft Bingの人工知能検索も必ずしも最新のデータを返すわけではないようだ。
同じ質問を有償のChatGPT PLUSにかけると次のような結果が得られる。
私の知識は2021年9月までのものであるため、その時点での最新のスマートウォッチについて説明します。2021年9月時点では、いくつかの主要なメーカーが最新のスマートウォッチを発売しています。Apple Watch Series 7: 2021年9月時点でのAppleの最新のスマートウォッチ。新しいデザイン、より大きなディスプレイ、改善されたバッテリー寿命、そして耐久性が特徴です。Samsung Galaxy Watch4: Samsungの最新のスマートウォッチで、GoogleのWear OSを搭載しています。このウォッチは、センサーの向上、ボディコンポジションの測定、心拍数モニタリング、GPS、そして電子決済機能を備えています。Garmin Venu 2: スポーツとフィットネスに特化したスマートウォッチで、GPS、心拍数モニタリング、酸素濃度測定、そして多くのフィットネス機能を搭載しています。現在は2023年4月であり、私の知識が古いため、最新のスマートウォッチ情報については各メーカーの公式ウェブサイトを参照してください。最新情報にアクセスすることで、最新のスマートウォッチの詳細な仕様や機能について確認できます。
情報は古いものの、より包括的な結果が帰ってきていることがわかる。今度は無償のChatGPTに同じ質問をしてみる。
2023年4月現在、最新のスマートウォッチにはいくつかの選択肢がありますが、最も注目すべき製品の一つは、Appleが販売するApple Watch Series 8です。Apple Watch Series 8は、前世代のSeries 7よりも薄く、軽くなり、より大きなディスプレイを備えています。また、より速いプロセッサー、改善されたバッテリー寿命、および新しいヘルスモニタリング機能を特徴としています。この新しいモデルは、血圧、血糖値、および体温を測定することができると報じられています。また、睡眠の質を測定する機能や、ストレスレベルの測定機能も備えています。その他のスマートウォッチの選択肢としては、SamsungのGalaxy Watch 5や、FitbitのSenseなどがあります。これらのモデルは、それぞれ独自の機能を持っており、価格帯も異なりますので、ご自身のニーズに合った製品を選ぶことが重要です。
無償のChatGPTはApple Watch Series 8を取り上げた点は正解だが、説明に誤情報が含まれている。OpenAIがこの無償版のChatGPTでどのような実験を行っているのかわからないが、新しいデータを得る代わりに不正確なデータを生成するようになっているのかもしれない。
最新の地震情報について教えてください
今度はよりリアルタイム性の高い質問として「最新の地震情報について教えてください」という質問を行ってみる。
Microsoft Edge経由での質問は次のような結果を得る。
最新の地震情報については、日本気象協会のtenki.jpサイト、気象庁のサイト、NHKのサイト3などで確認できます。これらのサイトでは、最新の地震情報や震度分布図を確認できます。また、過去の地震についても、震度やマグニチュード別に並び替えたり、震源地別の地震観測回数も閲覧可能です。
地震速報を掲載しているサイトへの誘導を行っている。妥当な返事ではないかと考えられる。今度はChatGPT PLUSの結果だ。
私はリアルタイム情報を提供することができないAIです。最新の地震情報については、地元の気象庁や地震情報サービスのウェブサイトを参照してください。これらのサイトでは、リアルタイムで地震の発生場所、規模、深さなどの詳細が提供されています。また、スマートフォンのアプリや緊急アラートシステムも、地震情報を提供しています。
こちらもChatGPT PLUSがリアルタイム性のデータを提供するものではないと前置きし、地震速報を提供しているサイトを参照するように誘導している。こちらも妥当な返事だ。
最後に無償のChatGPTの結果だ。
申し訳ありませんが、私はリアルタイムで最新の地震情報を取得できません。地震発生時には、公的な情報源(例えば、日本気象庁、USGSなど)を確認することをお勧めします。また、災害時には、迅速に情報を入手するために、各自治体が運営する防災アプリのダウンロードもお勧めします。
こちらも概ね似たような結果を返している。
誤情報も入ってくること、状況がよく変わることを覚えておこう
MicrosoftがOpenAIへ出資したのは比較的最近のことであり、ChatGPTのサービスが公開されたのは2022年11月という最近の話だ。MicrosoftがMicrosoft BingやEdgeにChatGPTと同様の人工知能(AI: Artificial Intelligence)技術を取り込んだバージョンを公開したのも最近のことであり、今まさに普及が始まったばかりの技術という段階にある。
そして状況は早い周期で変わっており、今後も続くことが予測される。Microsoft BingやEdgeは現状よりも正確性を高める方向に開発を進めるだろうし、OpenAIはChatGPTのリアルタイム性を引き上げる取り組みを進めるものと見られる。GoogleもBradで似たようなサービスを展開するなど、この分野は今急速に発展している段階にある。
ユーザーとして覚えておきたいのは、この技術は高いポテンシャルを持っているものの、ごく自然に嘘をつくということと、Bing/EdgeもChatGPTも今後も早いペースで変化していく可能性が高いということだ。MicrosoftはWebブラウザを超えてこうした技術をMicrosoftのポートフォリオに取り込む可能性が高い。今後目が離せない技術であり、注目しておきたいところだ。