本連載では日本ヒューレット・パッカード(HPE)のさまざまな社員の「こぼれ話」を綴ります。→過去の「マシンルームとブランケット」の回はこちらを参照。
クラウドの実体
「クラウド」はインフラ技術のひとつとして世間でも広く知られるようになりました。しかし英語で「雲」を意味する通り、実体をつかみづらい人も多いのではないでしょうか。実際にクラウドは雲のようにつかめないものではなく、クラウドシステム上のデータは物理的なサーバーやストレージに保存されます。
ユーザーはインターネットを経由して必要なサービス(SaaS, PaaS, IaaSなど)を必要な分だけ利用することができます。一般的なユーザーにとって一番身近なクラウドといえばiCloudではないでしょうか。
データセンター向けとしては、Microsoft AzureやAWS(Amazon Web Services)、 GCP(Google Cloud Platform)といったクラウドサービスが普及しています。そして、クラウドとよく比較されるのが「オンプレミス」です。こちらはネットワークシステムを自身で構築・運用をする手間がかかりますが、カスタマイズ性に優れセキュリティに強い特徴があります。
ハイブリッドクラウド
近年ではオンプレミスとクラウド(パブリック/プライベートクラウド)それぞれの特徴を生かした「ハイブリッドクラウド」も普及しています。
複数のベンダーのシステムを相互接続させることが要件となり、InteropにおけるShowNetのような場では最新テクノロジーの実証が毎年行われています。HPEの取り組みとして、ShowNet 2022では大島本社の検証センターと幕張メッセのネットワークをAzureを介して相互接続。
そしてShowNet 2023ではHPE ProLiantサーバーにAzure Stack HCIを展開し、Azureとの相互接続を確立して運用しました。
AzureはMicrosoftのサービスなので、相互接続するにあたってライセンスや権限のための手続きが必要です。特にハイブリッドクラウドのような複雑なシステムの運用には、エンジニア同士のネットワーキングも重要になります。
相互接続を巡る戦い
ところで私がおすすめするYouTubeチャンネル「ゆるコンピュータ科学ラジオ」で、書籍「ピアリング戦記」(小川晃通著)について紹介されている動画があります。
クラウドと同じように実体をイメージするのが難しい「インターネット」。インターネットとは、セグメント化されたネットワーク間の相互接続によって成り立つ総体のことを指します。
書籍ではネットワーク間の“対等な相互接続(ピアリング)”に苦労した技術者たちのエピソードが語られています。昭和の技術者たちの「半沢直樹」のような人間ドラマについて面白く解説されているので、詳しくは以下の動画をご確認ください。
- ネット回線の歴史は半沢直樹。接続を巡る大人の戦い【ピアリング戦記1】#50
- 【隣のビルから電気引いてた】昭和のネット技術者の泣ける努力3選【ピアリング戦記2】#51
動画の中で紹介されている一節にこのようなものがあります。
「インターネットは人間が作り運営しているものです。そのため、インターネットの形には「人間の営み」が少なからず影響しています」-『ピアリング戦記』
同様にクラウドやハイブリッドクラウドにも形があり、人間が運用しています。 余談ですが、HPE大島本社の社員食堂はドラマ「半沢直樹」(2013年)のロケ地として使われたことでも知られています。オンプレミスとクラウド、それらを相互接続するハイブリッドクラウドを巡る戦いが、今日もどこかで行われているかもしれません。
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