グラフィック関連の仕事をしている方なら必ずといっても利用している 「Photoshop」。数えきれないほどの機能と設定があるので、すべてを覚えるのは大変ですが、ちょっとしたチューンナップをすることで自分にあった使いやすい Photoshop に変えることができます。Photoshop をはじめ 「Flash」、「Illustrator」、「inDesign」 には「ワークスペース」と呼ばれる機能があります。

Photoshop にあるパレット、ツールバー、ウィンドウといったインタフェースの構成要素のことをワークスペースと呼びます。これらは表示・非表示だけでなく、移動したり順番を並べ替えることができます。Photoshop とひとことでいってもグラフィックデザインをする方、Webデザインをする方、写真の色補正をする方など様々な仕事をしている方が扱うので、ひとつの固定したインタフェースではニーズに応えることができません。人によってはレイヤーパレットを大きく使いたい方や、カラーパレットを常に表示しておきたい方もいるでしょう。ワークスペースを工夫すれば、自分の仕事やタスクにあった Photoshop の構成に切り替えることが可能になります。

ワークスペースは「ウィンドウ」メニューかオプションバーにある「ワークスペース」から選択することができます

元々Photoshopはショートカットが細かく割り振られていますが、自分用に編集することもできます。既に同じキー操作がある場合は警告メッセージが表示されるので、いろいろ試して使えそうな操作を割り当ててみましょう

ワークスペースはパレットやメニューだけでなくショートカットも保管することができます。既にあるワークスペースと同じ名前を書き込むと上書き保存されます

パレットの移動やサイズの変更、右側に設置されているドックの追加、アイコン化したパレットの操作、ディフォルトでは左側にあるツールパレットの設定など、視覚的に見えるものは、ほぼすべてカスタマイズができます。また、キーボードショートカットも一緒に保存されるので、自分の好みのキー操作やよく使うコマンドにショートカットを割り当てておくと良いでしょう。これらを自分が使い慣れている構成に変更したら新規ワークスペースとして保存をします。作業をしていてパレットを移動したとしても、指定のワースクスペースを選択すれば、再度設定した構成に戻すことができます。

環境設定にある「パレットの位置を記憶」をチェックしておかないと、毎回初期設定のワークスペースが立ち上がってしまうので、必ずチェックしてあるか確認しておきましょう

ワークスペースは便利な機能ですが、起動したらすぐに自分が作ったワークスペースが表示されるというわけではありません。環境設定にある「パレットの位置を記憶」をチェックしておけばアプリケーション終了前のパレットの状態を記憶してくれます。しかし、パレットを開いたり移動した状態のまま終了したのであれば、そのままの状態で再び起動されるので、作ったワークスペースの状態を再現しているとはいえません。もちろん、メニューから指定のワークスペースを選択すれば元通りになりますが、余計な手順を踏む必要があり面倒です。Illustrator をはじめ、ワークスペース機能がある他のアプリケーションでは解決できない問題ですが、Photoshop ではアクションとスクリプトを利用することで、指定のワークスペースの状態でアプリケーションを起動させることができます。

「パレットの位置を記憶」をチェックして、Photoshopを終了すると、次に起動したときそのままの状態になります。パレットを開いたり移動したままなので、作ったワークスペースと同じ状態とはいえません

アクションパレットで新規でフォルダを作ってアクションを作ります。あとはパレット下にある「記録開始」ボタンをクリックして、指定のワークスペースを選択するという一連の作業を行います

指定のワークスペースを選択した後、再びアクションパレットを開いて「記録を中止」ボタンをクリック。アクションパレットにアクションが記録されていれば成功です

アクションとはコマンドやオプションの操作といった一連の作業を記録しておく機能です。一度アクションを作っておけば、選択するだけで一連の作業を自動的に行います。大量の画像をリサイズするといったバッチ作業の際に使うことがあると思いますが、今回は指定のワークスペースを選択するというアクションをひとつ作ります。アクションを作った後に「スクリプト」メニューのなかにある「スクリプトイベントマネージャ」を開きます。

「ファイル」メニューから「スクリプトイベントマネージャ」を選択。「アプリケーションを起動」と指定のアクションを選択して「追加」ボタンをクリックします。ウィンドウ上部にスクリプトイベントが追加されていれば、次回から自動的に処理されます

アプリケーションの起動やドキュメントの保存といった Photoshop のイベントに対して自動的に JavaScript やアクションを割り当てることができます。スクリプトイベントマネージャは、それら一連のスクリプトを管理するウィンドウです。このウィンドウで、Photoshopを起動する際にワークスペースを選択するアクションを実行するように設定しおけば、毎回起動する度に自分のワークスペースが表示されるようになります。

仕事環境を整えるのは何も机の周りだけではありません。よく使うアプリケーションのカスタマイズも初期投資として時間を費やさなくてはいけませんが、その後に得られる恩恵は計り知れないものです。ワークスペースをカスタマイズしてみたものの、あまり活用できていなかった方もアクションとスクリプトイベントを組み合わせて、いつでも自分だけの Photoshop が起動するようにしてみてはいかがでしょうか。