お皿の上に並べられたおまんじゅうのこねたもの。
ひとつだけ見るからに辛そうなおまんじゅうが混じっています。

辛いのが苦手なら、食べないことも自分のため。
今週は、ブッダが「料理」をたとえに出して語った教えを紹介します。

ある日、ブッダの前に一人の男が現れ、
散々に悪口を言い始めました。
ブッダが悟りを開いて多くの人々に注目されているのが
気に入らなかったのでしょう。

しかしブッダは何も言い返すことなく、ただ黙って聞いています。
やがて男は喋り疲れてしまい、そこでブッダがこう語りました。
「あなたが料理をもてなした相手が、
一口もその料理を食べなかったとしたら、
それらは作ったあなたのものになる。
同じように、私はあなたの悪口を受け取らない。
だからその悪口はあなたのものだ」

もしブッダが怒って言い争いをしていたら、
男の「ブッダの評判を下げてやろう」といった思惑は
達成されたかもしれません。
しかしブッダが悪口を受け取らなかったことで、
男は罵詈雑言を浴びせみっともない姿を晒したと言う事実と、
むなしさを持ち帰らなければならなくなったのです。

誰もが発した言葉を多くの人に向けて
届けることができるようになった今、
ちょっとした機会に悪意のある言葉や、
自分にとって気に入らない意見などを目にすることもあるでしょう。

それらにひとつひとつ反応して、
言い争いをしたり怒りを燃やしても、
苦しいと感じるだけではないでしょうか。

また、心が弱っていると、相手が言っている以上のことにまで想像が及び、
自分の中で怒りを大きくしてしまいがちです。
相手の言葉を拡大解釈して怒りを大きくしているのは、
中身が激辛だとわかっているおまんじゅうに
自分で激辛の調味料を沢山かけて食べ、辛い辛いと怒っているようなもの。


苦しい感情が起こるとわかるなら、あえて受け取らず、
立ち向かわず、その出来事を避けることも、自分を守る術となるはずです。

■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。