NATEL ENERGYをご存じだろうか。彼らは川の流域の生態系、環境系、経済系に対してベネフィットを生み出す水力再生ソリューションを提供している企業だ。
では、この水力再生ソリューションとはどのようなものなのか、今回は、そんな話題について紹介したいと思う。
NATEL ENERGYの気候変動に強い水力再生ソリューション
NATEL ENERGYは、MIT出身者によって設立された企業。米国のカリフォルニア州を拠点としている。
彼らのソリューションは、水力再生ソリューションだ。
ソリューションの1つは、水力発電のタービン。このタービンは、「Restoration Hydro Turbine(RHT)」といい、コンパクトで高性能かつ高い安全性を有したもの。30kWから3MW以上の発電容量を持っている。
水の落差について2m～20mと低落差の用途向けに最適化されている。また魚に安全なタービンとしても設計されている。タービンのブレードの厚みや形状を独自に設計することで99%以上の魚の通過生存率を実証しているのだ。
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NATEL ENERGYの水力発電タービン(出典:NATEL ENERGY)
もう1つは、「HydroForcast」というデジタルソリューション。高度な天気予報、衛星データ、現場データ、理論に基づくAI、機械学習を組み合わせることで、正確な水に関する予測情報を提供することができる。
そして3つめが、「Restoration Hydro」。川の流域において水資源が乏しくても、Biomimicryという「長年の実績を持つ自然のパターンと戦略をエミュレートすることにより、人間の課題に対する持続可能な解決策を模索するイノベーションへのアプローチ」を活用し、上記の2つのソリューションを取り入れることで川の流域の生態系、環境系、経済系に対してベネフィットを生み出すことができるという。
現在、ルイジアナ州、メイン州、オレゴン州で複数のプロジェクトが始動しており、水力というエネルギー資源である経済的なベネフィットを生み出しながらも、生態系を守り、自然環境を豊かにする持続可能な川の流域を構築しているのだ。
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Restoration Hydro(出典:NATEL ENERGY)
いかがだったろうか。
水力発電システムの開発、製造販売をメインに生業にする企業は世の中には多いだろう。しかし、今回紹介したように、川の流域についてさまざまなベネフィットを生み出すためのトータルなソリューションを提供している企業というのはあまり見かけない。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーにおいてもこのような視点で取り組んでいる企業がどれくらい世界には存在するだろうか。もしNATEL ENERGYのようなソリューションを持った企業が、再生可能エネルギー市場で、自然環境を含めたさまざまな視点でベネフィットを生み出すソリューションを提供できれば、この世の中は、どのようになるのだろうか。
NATEL ENERGYは、いろいろな気づきを与えてくれる素晴らしい企業であることは間違いない。
