「未経験からエンジニアを目指すのは難しい」

そんな言葉を聞いたことのある読者の方も多いのではないでしょうか?本稿では、最新の未経験エンジニアの採用動向を、パーソルキャリアが有する転職データをもとに解説します。さらに、エンジニアに転身を希望する人の特徴に加え、キャリアチェンジに成功した個人の事例を踏まえながら、未経験から転身を叶えることができる人の特徴を探っていきます。

困難を極めるエンジニアの経験者採用

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、生活のさまざまな場面でデジタル化が推進されています。例えば、キャッシュレス決済やWeb会議、ネットスーパーなど、数えきれないほどモノのデジタル化が進みました。

多くの企業はこうした社会の変化に対応するために、新型コロナウイルスの感染拡大以降、経験者採用をメインで行ってきました。しかしながら、エンジニア領域は、人手不足が以前より深刻な状況でした。加えて、新型コロナウイルスを機に、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やデータ利活用を担えるIT人材の獲得にこれまで以上に力を入れていることもあり、経験者採用は困難を極めています。

現に、dodaの会員登録者(転職希望者)1人に対し中途採用の求人が何件あるかを算出し、中途採用市場における需給バランスを表す、2022年9月の「doda転職求人倍率」では、「エンジニア(IT・通信)」の転職求人倍率は、全体が2.11倍に対して10.07倍と、その他含む全12職種の中で、最も高い数値を叩き出しています。

  • 出典元:転職サービス「doda」

そのため、大手、中堅企業を中心に、「エンジニアの未経験採用」が2022年度の中途採用のテーマの1つになると考えています。これを裏付けるかのように、コロナ禍を受け下降トレンドであった技術系(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)の未経験歓迎求人は、復活傾向になりつつあります。現に、2019年1月と比較し、第1回緊急事態宣言が発令された2020年4月の技術系の未経験歓迎求人は約1.08倍であるのに対し、2022年7月は約1.54倍にまで増加しています。そして、今後、エンジニアの未経験歓迎求人はさらに増えることが想定されます。

  • 出典元:転職サービス「doda」

未経験からエンジニアになりたい人は増加傾向、その理由とは?

次に、求職者転職希望者側の動きを見てみましょう。コロナ以前から、「手に職をつけられる」「フリーランサーとして独立できる」などの理由から、エンジニアは人気の高い職業でした。新型コロナウイルス感染拡大を機に、その人気ぶりはさらに高まったと言えます。

その理由として最近特に目立つのが、「リモートワークができる」というものです。パソコンさえあれば、出社しなくてもどこからでも仕事ができそうといったイメージから、コロナ禍でエンジニアへの転身を望む人がさらに増えているようです。

また、新型コロナウイルス感染拡大を受け、自身の働き方を見直した結果、「土日は休みたい」「数字に追われたくない」「一人で集中して仕事に取り組みたい」など、自分なりのワークスタイルを手に入れるために、エンジニアへのキャリアチェンジを希望する人が以前に比べて増えているようです。

しかしながら、今でこそ徐々にリモートワークができるようになってきましたが、実のところ、インフラ系エンジニアは基本的に出社が多いです。また、アプリ系エンジニアは求められるプログラミングスキルが想定以上に高く、週末も自己研鑽しなくてはならないなど、イメージと異なるため途中で挫折する人も多いのが現状です。

では、どういった人ならば、未経験からエンジニアにキャリアチェンジができ、活躍できる可能性があるのか。後編ではこれらについてお伝えします。