ジャストシステムが、ホームページ・ビルダーの新製品として、「ホームページ・ビルダー15」を12月3日から発売すると発表した。

12月3日から発売が開始されるジャストシステムの「ホームページ・ビルダー15」

ジャストシステム 代表取締役社長 福良伴昭氏

ホームページ・ビルダーは、その名の通り、ホームページやブログの作成を手軽に行えるソフトウェア。もともとIBMが製品化していたソフトウェア事業だが、2010年2月に、IBM Corprationからプログラム著作権と商標権をジャストシステムが取得。現在、ホームページ作成ソフトとしては80.4%という圧倒的なシェアを獲得し、11年連続で国内ナンバーワンシェアの実績を持つ。

注目されるのパッケージソフト市場の低迷が指摘されるなか、ホームページ・ビルダーの販売本数は、前年同期比15%増という高い伸びを見せている点だ。ジャストシステムの福良伴昭社長は、「満を持して投入した新製品。ホームページ・ビルダー15は会心の出来映えとなっている。さらなる販売本数の増加が見込める」と意欲を見せる。

福良社長が増販を期待する領域は、実はビジネス分野である。そして、ホームページ作成ツールは、個人ユーザーが中心という状況からもすでに脱皮しており、むしろビジネス用途での機能強化が中心となっている。

実際、ホームページ・ビルダー14の販売実績では、52%がビジネスユーザーと初めて過半数を突破。パーソナルユーザーの48%を逆転した。2004年には、パーソナルユーザーの構成比が72%を占めていたことに比べると、ユーザー層が大きく変化していることがわかる。ビジネス利用を目的としたユーザーは、5年で構成比が倍増しているという計算になる。

販売本数は前年比115%に。不況下で順調にビジネスを伸ばす

市場シェアは11年連続No.1。圧倒的な強さを誇る

ここ5年でビジネスユーザの比率が大幅に増え、ついにコンシューマを逆転した

今回の製品では、開発コンセプトとして「集客することこそユーザーの真のニーズ」「『作る』ツールから『使う』ツールへ」「さらにリッチなWebサイト構築へ」の3点をあげている。

さらに「ホームページを作成して終わりではなく、そこに集客し、成果を出すことが真のニーズであり、そのニーズを実現することを支援する」「成果を出すためには結果に基づいたPDCAプロセスの実現環境が必要」などの言葉が加わり、まさにビジネス利用を想定したコンセプトであることを示している。

ホームページ・ビルダー15の詳細な機能説明については別稿に譲るが、標準テンプレートとして新たに用意した「フルCSSプロフェッショナルテンプレート」は、企業や店舗のサイトデザインを強く意識したものになっているし、集客を視野に入れた「かんたんアクセス解析サービス」や、SEO対策支援機能の強化も、企業での利用を想定したものだ。さらに、昨年の製品から搭載しているGoogleやYahoo!JAPANでの検索結果にあわせて表示される検索連動型広告を、各社5,000円分、合計1万円分利用できるクーポンをセットにしたのも、商用サイトとしての利用効果を狙ったものとなる。このようにビジネス利用目的で購入するユーザーを捉えた機能強化が相次いでいるのだ。

ビジネスユーザ向けの機能を大幅に強化したホームページ・ビルダー15

福良社長は、ホームページ・ビルダーのビジネス利用が増加している理由を次のように分析する。

「経済環境が悪化するなかで、ホームページやブログを内製化するといった需要が高まっていることがひとつの理由。商用サイトとして一定のクオリティを持ったものを内製したいという用途に適している点がある」とする。さらに「売り上げ、利益を高めるために、ネットショップを開設したいという動きがあり、そのツールとして活用されている」とも語る。つまり、経営環境の悪化が、サイトの内製化や低コストで展開できるネットシッョプの増大を後押しし、それがホームページ・ビルダーの販売増加につながっているというわけだ。

ジャストシステムでは、ホームページ・ビルダーの今後の方向性として、Webオーサリング関連の機能を強化する姿勢を明らかにしているが、そのなかでCMSのほか、顧客管理、予約管理、メール配信といった機能を追加し、ビジネス利用を想定した統合パッケージとしての進化を図る姿勢を初めて明らかにした。

コンシューマ向け製品からスタートしたホームページ・ビルダーは、確実にビジネス向けパッケージ製品へと進化しはじめている。そしてその進化は、ユーザー側の利用環境の変化によって促進されたものだ。

そして、経済環境が悪くなっても売れ行きが上昇するという珍しい特性を持ったパッケージである。今後、どんな成長曲線を描く製品になるのか、その成り行きが楽しみな製品だ。