Redcarとは
RedcarはRubyで開発された拡張可能なテキストエディタだ。Rubyといっても実際にはJRubyで動作し、ユーザインタフェースについてはSWT(Eclipseで使用されているGUIツールキット)を使用している。そのため、動作にはJava実行環境も必要になる点には注意してほしい。
なお、Redcarは現状ではまだアルファ版とされており、機能面の不足はもちろんのこと、作りこみの甘い部分も見受けられる。しかし、1.0のリリースに向け活発に開発が行われており、日々進化しているという状態だ(本稿の内容は執筆時点の最新バージョンである0.8に基づいている)。
Redcarのインストール
RedcarのインストールはRubyGemsを用いて行うことができる。gemのインストール自体はJRubyでも通常のRubyでもかまわない。Redcarのgemをインストールするにはコマンドラインから以下のように入力する。
> gem install redcar
gemをインストールするとredcarコマンドが使用できるようになるので、以下のように入力してローカル環境にRedcarのインストールを行う。必要なJARファイルのダウンロードが行われるため、少々時間がかかる。
> redcar install
インストール完了後、redacarコマンドを実行するとRedcarが起動するはずだ。
> redcar
Redcarの基本機能
Redcarはタブ型のエディタだが、任意のディレクトリをツリー表示することができる。エディタの表示部は分割することもでき、エディタを並べて表示することも可能だ。
エディタはさまざまな言語のシンタックスハイライトに対応している。また、[CTRL]+[SPACE]でエディタ内で使用されている単語の入力補完を行うことができる。補完は一般的なIDEにように補完候補がホバー表示されるのではなく、[CTRL]+[SPACE]を入力するたびに補完候補が切り替わるタイプだ([CTRL]+[SHIFT]+[SPACE]で補完候補をポップアップ表示することもできる)。
RedcarはTextMateのスニペットに対応している。スニペットとはコードテンプレートのようなもので、特定のキーワードを入力して[TAB]を入力すると予め登録されているテンプレートが展開されるというものだ。利用可能なスニペットは[Bundles]メニューから[Browse Snippets]で参照することが可能だ。
残念な点として、Redcarのエディタでは文字コードがUTF-8以外のファイルについては文字化けしてしまった。ファイルの文字コードを指定することもできないため、日本語を含むファイルの取り扱いには注意が必要だ。
この他にも正規表現を利用可能な検索・置換、アウトラインの表示やマクロ、バージョン管理システムとの連携、プログラミング言語に特化した機能としてはRubyの構文チェックなどプログラミングに便利な機能は一通り揃っている。
Redcarの拡張性
Redcarはプラグインで拡張することができる。プラグインはRubyのほか、HTML+JavaScriptで作成することもできる。こちらのページにサードパーティ製のプラグインが掲載されており、ホームディレクトリ配下の.redcar/pluginsディレクトリにgitリポジトリからクローンすることでインストールが可能だ。Gitクライアントが利用できない場合はGitHubからアーカイブをダウンロードして展開してもいいだろう。
掲載されているプラグインはそれほど多くはないが、プラグインでどういった拡張を行うことができるのかを知るには最適だ。たとえばRSenseプラグインをインストールすると、Rubyスクリプトを編集中に[CTRL]+[/]でメソッドなどのコード補完を行うことができるようになる。
また、前述の通りTextMateのスニペット(とテーマ)にも対応しているので、これらを導入して利用することもできる。
まとめ
冒頭でも述べたとおり、Redcarはまだアルファ版ということもあり、機能面での不足や使い勝手の悪さを感じる部分もある。しかし、開発は活発に行われており、正式版のリリースに向けて改善されていくはずだ。また、拡張性が高いため、機能面の不足はプラグインで補うこともできるだろう。Windows、Linux、MacOS Xとさまざまなプラットフォームで利用できるのも魅力だ。
Redcar最新情報はRedcar開発者のブログを参照して欲しい。