2023年にグーグルが提供開始した、生成AIを活用したチャットツール「Bard」ですが、2023年12月にまた大きなアップデートが加えられています。それはグーグルの各種ツールと連携できる機能拡張が、日本語でも利用できるようになったことです。→過去の「Google Workspaceをビジネスで活用する」の回はこちらを参照。
これを使えば「Gmail」「Googleドキュメント」などGoogle Workspace関連のツールのほか、「Googleマップ」「YouTube」などグーグルが提供するさまざまなツールを横断して情報を検索し、Bardのチャットの回答に反映させられるようになります。
Bardからチャットで指示することにより、Gmailのメールの内容を調べたり、Googleドキュメントのファイルを探したりすることもでき、Bardの使い道がより大きく広がったと言えるでしょう。
ただし、この機能拡張が利用できるのは無料版のGoogle Workspaceユーザーのみで、有料版のBusiness Starter以上を利用しているユーザーには機能拡張自体が提供されていません。
それゆえ、現在のところはビジネスよりもプライベートでの活用が主となりそうですが、将来的に有料版に導入される可能性も十分考えられますので、利用できる環境がある人はぜひ使ってみるといいでしょう。
「Bard」がGoogle Workspaceと連携する機能
具体的な使い方はまずBardを呼び出した後、画面右上に追加された「機能拡張」をクリックします。
機能拡張の画面では、グーグルの各種サービスのうち、どの機能を機能拡張でBardと連携させるかを設定することができます。初期状態ではGoogle Workspaceとの連携はオフになっているので、これをクリックしてオンにしてください。
すると下のような画面が現れるので、問題なければ「接続」をクリックして連携を開始します。
これでGoogle Workspaceと連携できる状態になりましたので、後は通常のBardと同じように、チャットで指示を出すと、指示の内容に応じてBardがグーグルの各ツールと連携して情報を検索、その概要や詳細を表示してくれます。もちろん結果の内容を踏まえて会話を重ねていくことで、より詳しい情報を引き出すこともできます。
複数の文章をまたがった要約なども可能
また、情報を調べるだけでなく、Googleドキュメントに保管してある複数の文書の内容をまたがって要約した文章を作成したり、箇条書きにまとめたりするなど、生成AIの特徴を生かした便利な使い方も可能。
回答にはどのメールやファイルの文書を用いているかという出展元も示されるので、それらをクリックすれば基となった内容を直接確認することも可能です。
ただ指示の仕方によっては、必ずしも想定したツールから情報を調べてくれるとは限りません。それゆえこの機能拡張には、グーグルのどのツールから情報を検索するか指定できる機能も用意されています。
まず、チャット上で「@」を入力します。すると指定できるツールの一覧が表示されるので、その中から対象のツールを選んだ後に指示や質問を入力すればOKです。
現在のところ、Google Workspaceの中で連携できるツールは「Gmail」「Googleドキュメント」「Googleドライブ」の3つに限られているようで、「Googleカレンダー」などとの連携ができておらず予定を調べられないなど、実際に使ってみると不満が残る部分がまだあるのは正直な所です。
しかし、長文のメールを要約してくれたり、複数の文書をまたがって文章にまとめてくれたりするなど、うまく活用すれば非常に便利だと感じるのもまた確か。ビジネスツールとしての本格展開に、ぜひ期待したいところです。