無償で使用できるWeb版のGoogle Geminiに焦点を絞った場合、現状での便利な使い方は「検索&要約」と「翻訳」ではないかと感じている。この特徴は時間とともに変わっていく可能性があるが、執筆時点での強みはこのあたりにありそうだ。こうした特徴を理解して活用していこう。
連載「Google Geminiの活用方法」のこれまでの回はこちらを参照。
無償版Geminiは「検索&要約」と「翻訳」が強み
生成AIチャットサービスとしてのGoogle Geminiの特徴は他の生成AIチャットサービスとよく似ている。しかし、使い込んでいくとそれぞれの特徴のようなものも見えてくる。
無償で使用できるWeb版のGoogle Geminiに焦点を絞った場合、現状での便利な使い方は「検索&要約」と「翻訳」ではないかと感じている。この特徴は時間とともに変わっていく可能性があるが、執筆時点での強みはこのあたりにありそうだ。こうした特徴を理解して活用していこう。
「検索&要約」
Google Geminiを使うことで、これまでGoogleでインターネット検索を行い検索結果として表示されるWebページの内容を読み、それを自分でまとめるといった作業を行っていた部分を代わりに行わせることができる。ただし、現在のリアルタイム性はGoogleインターネット検索ほどは早くない。これらの特徴を捉える方法として次の指示をGoogle Geminiに出した場合の回答を見てみよう(実行は2024年9月10日であり、日本時間で考えるとiPhone 16の発表があった日ということになる)。
iPhone 16とiPhone 14の違いをまとめてください。iPhone 14を使っている場合、iPhone 16のどのような点が買い替えのモチベーションになるか説明してください。
Google Geminiは次のように回答している。
iPhone 16とiPhone 14の違いと買い替えのポイント
iPhone 14からiPhone 16への買い替えをご検討とのこと、素晴らしいですね。両機種の主な違いと、買い替えを検討する際のポイントを詳しく解説します。
デザインとディスプレイ
- デザイン:iPhone 16では、カメラの配置や素材など、細かなデザイン変更が予想されています。より洗練された外観を求める方には魅力的でしょう
- ディスプレイ:ディスプレイのサイズや解像度には大きな変更はないと考えられますが、Proモデルではさらに高精細なディスプレイが搭載される可能性があります。より鮮やかな映像を楽しみたい方におすすめです
パフォーマンス
- チップ:iPhone 16には、最新のA18 Bionicチップが搭載される見込みです。A14 Bionicチップを搭載するiPhone 14と比較して、処理速度やグラフィック性能が大幅に向上し、よりスムーズな操作感と高画質なゲーム体験が期待できます
- メモリ:メモリ容量も増量される可能性があり、複数のアプリを同時に開いたり、高画質な動画編集を行ったりする際にも、より快適に利用できるようになります
カメラ
- カメラ性能:iPhone 16では、カメラセンサーの性能向上や新しい画像処理技術の採用により、より高画質な写真や動画が撮影できるようになるでしょう。特に夜間撮影やポートレート撮影の品質が向上することが期待されます
その他
- バッテリー:バッテリー駆動時間が延びる可能性があり、より長時間安心してiPhoneを利用できます
- 充電:充電速度の向上や新しい充電方式の採用も期待できます
iPhone 14からiPhone 16へ買い替えるべき人
- 最新のスマートフォン機能を常に楽しみたい方:iPhone 16は、最新のテクノロジーを搭載したスマートフォンです。常に新しい機能を試したい方にとっては、魅力的な選択肢と言えるでしょう
- より高速でスムーズな操作を求める方:A18 Bionicチップの採用により、iPhone 14よりも大幅に処理速度が向上します。より快適な操作感を求める方におすすめです
- 高画質な写真や動画を撮影したい方:カメラ性能の向上により、より美しい写真や動画を撮影できます。写真や動画撮影が好きな方にとっては、大きな魅力となるでしょう
- 現行のiPhone 14で不満を感じている方:バッテリーの持ちが悪かったり、アプリの動作が遅いと感じている場合は、iPhone 16への買い替えを検討する価値があるかもしれません
まとめ
iPhone 16は、iPhone 14と比較して、パフォーマンス、カメラ性能、デザインなどが大幅に進化する可能性があります。最新のスマートフォンを求めている方や、より快適なスマートフォン体験をしたい方にとっては、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
ただし、iPhone 14もまだまだ十分に使えるスマートフォンです。 買い替えるかどうかは、ご自身の利用状況や予算などを総合的に判断して決めることをおすすめします。
より詳しい情報を得るために、以下の点を確認することをおすすめします。
- iPhone 16の正式なスペック:iPhone 16の正式なスペックが発表されたら、詳細な比較検討を行うことができます
- 価格:iPhone 16の価格は、iPhone 14よりも高くなることが予想されます。ご自身の予算と照らし合わせて検討しましょう
- キャリアのキャンペーン:各キャリアでは、iPhone 16の発売に合わせて様々なキャンペーンを実施する可能性があります。お得なプランがあるか、事前にチェックしておきましょう
ご自身のニーズに合ったスマートフォンを選ぶために、ぜひこれらの情報を参考にしながら、じっくりと検討してみてください。
もし、さらに詳しい情報が必要な場合は、お気軽にご質問ください。
以下、補足情報です。
- iPhone 16の発売時期:通常、9月頃に発表され、10月以降に発売されることが多いです
- 予約:発売前に予約を開始することが一般的です。人気機種の場合、予約が殺到することが予想されるため、早めに予約することをおすすめします
ご自身の状況に合わせて、最適なタイミングでiPhone 16への買い替えをご検討ください。
同じような情報を得るために従来のGoogle検索を実施すると次のようになる。
Google検索の方は最新の記事をピックアップしており、あとはユーザーが検索結果からWebページを開いて内容をチェックしていくことになる。
「検索&要約」の課題と展望
Google Geminiを使うと検索結果として表示されるWebページの内容を自分で読んで整理するといった工程を大幅に省略することができる。生成AIはとても自然に嘘をつくという特徴があるので、その出力は常に斜め上から見る必要があるものの、大幅な時短を実現してくれることは間違いがない。
ただし、上記結果からも分かるとおり、無償版のGoogle Geminiは発表から数時間後の情報に関しては取りまとめを行ってくれていない。Google Geminiは無償で利用できる汎用生成AIチャットサービスの中ではリアルタイム性が高い方だが、それでも上記結果では目的とするデータは利用しておらず、事前情報に基づいた情報のとりまとめを行っている。提供されているデータは数値などの具体性が乏しく、汎用的な内容になっている。結果的に発表された内容からそれほど大きく違ってはいないものの、期待していたほど詳しく情報はまとめられていないという状況になっている。
ただし、このリアルタイム性に関しては将来的に改善が期待できる。執筆時点で有償で提供されている生成AIチャットサービスは同じ指示に対してインターネットに公開された最新の情報に基づく回答をしている。こうした機能はいずれ無償版にも反映されることが期待されるため、将来的にはGoogle Geminiを使った検索とGoogleインターネット検索とのリアルタイム性は徐々に縮まっていくことが予測される。Googleが同社のビジネス戦略としてそれを許容すればという条件はつくものの、改善しなければ他社に追い抜かれる可能性があるため何らかの改善が反映される可能性が高いとみられる。
「翻訳」
GoogleはGoogle翻訳をWeb版で提供しているほか、Google Chromeから利用することができたり、Googleのアプリやサービスで翻訳機能を提供していたりする。翻訳できる言語の幅広さは随一であり、世界でもっとも使われている翻訳サービスのひとつになっている。
こうした技術が活用されているのか否かは分からないが、Google Geminiは無償版も翻訳に関して優れた性能を見せてくれる。そのまま翻訳させるにはGoogle翻訳やGoogle Docsを経由させたGoogle翻訳の方が便利かもしれないが、翻訳そのものについて指示を出すといったことはGoogle翻訳では行うことができない。一方、Google Geminiであれば行うことができる。
例を見ていこう。まず、翻訳したいWebページをGoogle Chromeで閲覧する。
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CISA Director Jen Easterly Remarks at the Election Center 39th Annual National Conference in Detroit | CISA
Google Chromeの翻訳機能を使って日本語にすると次のようになる。
翻訳された日本語を読んでいくと、どうも「ピザ」に関する部分の文章の意図がよく分からないように見える。そこで、この部分の翻訳についてGoogle Geminiに次のような指示を出してみる。
「I have some Michiganders on my team that have made Jet’s the official CISA pizza of choice in our office. It works particularly well for me as Jet is my son’s name. But children and deep-dish pizza aside, I was personally thrilled to be asked to participate in this conference at this critical time.」について教えてください。文中に「pizza」とありますが、これはなにかの隠語でしょうか。言葉のまま食品の「ピザ」として翻訳すると意味がよく分からないことになります。
この指示に対しGoogle Geminiは次のように回答している。
この文脈における「pizza」は、特別な隠語や比喩ではなく、文字通り「ピザ」を指しています。
なぜ「ピザ」が強調されているのか?
この文が強調している点は、以下の2つです。
- チームの結束:ミシガン州出身のチームメンバーが、特定のピザ店「Jet's」をオフィスでのピザとして選択したという事実は、チームの結束や一体感を象徴しています
- 個人的なつながり:話者は、自分の息子が「Jet」という名前であることから、このピザ店に個人的な思い入れを持っていることを述べています
なぜ「ピザ」の翻訳に違和感があるのか?
日本語では、「ピザ」という単語が、単なる食べ物として捉えられるだけでなく、カジュアルな食事やパーティー、あるいは特定の文化(イタリアンなど)を連想させることがあります。そのため、この文脈で「ピザ」という言葉が出てくると、少し意外に感じるかもしれません。
しかし、この文脈では「ピザ」は、単なる食事ではなく、チームビルディングや個人的な思い出といった、より深い意味合いを持っています。
翻訳のポイント
この文を日本語に翻訳する際には、以下の点を考慮する必要があります。
- 「Jet's」というピザ店の名前:この名前は、話者にとって特別な意味を持つため、そのまま「ジェット」と訳すか、あるいは「息子と同じ名前のピザ店」のように補足説明を加えることが考えられます
- 「deep-dish pizza」:アメリカのシカゴ発祥の厚焼きピザで、ミシガン州でも人気があります。この特徴を伝えるために、「ディープディッシュピザ」と訳すか、あるいは「厚焼きピザ」と簡潔に表現することもできます
- 「critical time」:この部分が指す具体的な状況が不明なため、文脈に合わせて適切な訳語を選ぶ必要があります。例えば、「重要な時期」「多忙な時期」など、様々な訳語が考えられます
翻訳例
「うちのチームにはミシガン出身のメンバーがいて、彼らはオフィスで食べるピザとして『ジェット』という店を気に入っているんです。僕にとっては、息子と同じ名前の店なので、特に思い入れがあります。さて、子供のことやディープディッシュピザの話はさておき、今回の会議に招待されたことを大変光栄に思います。今のこの重要な時期に、このような機会に恵まれたことは、僕にとって大きな喜びです。」
補足
この翻訳はあくまで一例です。より正確な翻訳を行うためには、文脈や話者の意図を深く理解する必要があります。
まとめ
この文における「pizza」は、単なる食べ物ではなく、チームの結束、個人的なつながり、そして特別なイベントへの参加といった、多層的な意味を持っています。翻訳する際には、これらの意味合いをしっかりと捉え、日本語で自然な表現に置き換えることが重要です。
ご不明な点があれば、お気軽にご質問ください。
翻訳の理解を助けてくれるGemini
Geminiがピザの件について説明してくれた内容は腑に落ちやすい内容にまとまっているように見える。文章の本意についてはこの文章を書いた、もしくは、発言した本人に確認を取らないかぎり確実なことは言えないが、Geminiが出力した説明は説得力が高いもののように見える。
翻訳はときに文化的背景の理解を必要とすることがあり、翻訳の技術というよりもさまざまな状況を加味した芸術的な対応が必要になることがある。文化的背景をベースとした文章をそのまま文化的背景が異なる文化圏の言語に翻訳するのは苦労を伴うことがあり、当然ならがGoogle翻訳のようなシステムで翻訳された文章は理解できないこともある。
Google Geminiを使った翻訳への説明はそうした点において、まるで翻訳者がどのように考えて翻訳したのかの内実を説明してくれるように見える。真偽の程は定かではないという点は常に意識していく必要があるのだが、こうした視点で翻訳に新しい情報を与えてくれるのはGeminiの優れたポイントだ。Google翻訳やChromeの翻訳と合わせてGeminiを活用したい使い方の一例と言える。
得意としている部分を把握してうまく活用する
無償で利用できるWeb版のGoogle Geminiの性能は現在提供されている生成AIチャットサービスの中において決して突出した性能を備えているというわけではないが、無償で利用できるサービスとしてはとても貴重な存在であることは間違いがない。
Googleのビジネス戦略に依存するため無償版のGeminiの性能がどこまで上がっていくか定かなことは分からないが、競合が存在する現状を見ると今後も定期的に性能の向上は提供される可能性は高いものとみられる。Geminiの特性を把握し、得意な場所で使っていくことは理にかなっている。生成AIは現在開発が活発な分野であり、今後も動向に注目するとともに活用方法の模索を積極的に進めていきたいところだ。