本企画では、Google Apps Premier Editionの正式販売代理店であるベイテックシステムズ 代表取締役社長の原口豊氏が、プロの立場からGoogle Appsの疑問を解決してくれる。前回はGoogleドキュメントに関する内容を中心に紹介したが、今回はGmailやGoogleサイトなどその他のサービスについて見ていこう!

原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年ベイテックシステムズを設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始、GoogleAppsの導入サポート実績はこれまで250社以上。「サテライト・オフィス」ブランドで多数のテンプレートを無償提供するなど、GoogleAppsの普及に尽力。GoogleEnterprise Day 2009ではパートナーアワードを受賞した。

Q41 「Google App Engine」とは何ですか?

Googleのインフラ上で動作するWebアプリケーションを開発するためのプラットフォームです。開発言語にはPythonやJavaを利用でき、それぞれに対して「App Engine SDK」と呼ばれるソフトウェア開発キットも用意されています。なお、これらは開発者向けのものであり、Webアプリケーションのユーザーは特にGoogle App Engineを意識することなくGoogle Appsの利用が可能です。

Q42 「Google Spreadsheets API」とは何ですか?

スプレッドシートに読み書きが行えるWebサービスベースのAPIです。このAPIを使うと、スプレッドシートのデータベース利用や外部グラフライブラリとの連携、アプリケーションに自動フィルタリングなどのスプレッドシート機能を実装する、といったことが可能になります。こちらもGoogle App Engineと同じく開発者向けのものです。

Q43 HTMLの知識がないけどGoogleサイトは使えますか?

GoogleサイトではHTMLを直接入力するのではなく、分かりやすいGUIベースのインタフェースを介して入力できるため、誰でも手軽に社内ポータルやWebサイトの構築が可能です。従来は複雑なプログラミングが必要だった内容も、「ガジェット」と呼ばれる機能パーツを組み合わせるだけで実現できます。

Q44 ドメイン外のユーザーとGoogleサイトを共有することは可能ですか?

Googleサイトではメールアドレスを入力することで、ドメイン内に加えてドメイン外のユーザーも招待できます。この機能は例えば、「社内ポータルを一時的に社外の関係者と共有したい」といった場合に便利です。もちろん、ドメイン外のユーザーに対してもアクセス権限の設定を行えます。

Q45 Google Appsはファイルサーバとして使えますか?

Googleサイトのテンプレート「ファイルキャビネット」を使えば、「10GB+(500MB×ユーザー数)」のファイルをアップロードすることができます。このファイルキャビネットは、同名ファイルをアップロードした際に古い内容がバックグラウンドで自動保存されるバージョン管理機能を備えているため、ミスによる上書き防止や旧バージョンからの派生作成にも役立ちます。

Q46 Gmailはウイルスやスパムメール対策機能を装備していますか?

Gmailには優秀なウイルスやスパムメール対策機能が標準装備されています。また、有料版のPremier Editionでは99.9%の稼働率が保証されているため、重要なメールが多いビジネスでも安心して利用できます。

Q47 「Postini」って何ですか?

企業向けにメールのセキュリティやアーカイブ機能を提供するシステムです。ホスティングサービス「Google Postini Services」は高水準の機能に加えてインストールや保守作業が不要なため、短期間導入や業務負荷の削減、システム構築のイニシャルコストを抑えられるといったメリットがあります。

Q48 メールはバックアップできますか?

Gmailには「アーカイブ」というボタンが存在しますが、これは「受信トレイ」から「すべてのメール」へ移すための機能で、実質的なバックアップとは異なります。Premier Editionの場合はオプションで1年もしくは10年間の長期バックアップが可能な有料オプションも用意されているので、こちらを利用してください。

Q49 Gmailにはメールを見やすくする機能があると聞いたのですが

件名と送信者をもとにメールを集約してくれる機能が標準装備されています。最初のメールに対して行われた返信はすべて単一のスレッドにまとめられるため、今までのように受信トレイやフォルダ内を個別に探す手間が解消されます。長期にわたってメールのやり取りが行われた案件でも話の前後関係を容易に理解でき、スムーズかつ適切な返信が可能です。

Q50 今まで使っていたメールアドレスをそのまま利用できますか?

基本的にはそのまま利用できます。ただし、メールサーバの設定やドメイン管理会社の仕様によっては使えないこともありますので環境の確認が必要です。わからない場合は、正式販売代理店まで問い合わせてください。

Q51Gmailの連絡先はOutlookと互換性を保てますか?

Gmailでは「Outlook/Outlook Express/Yahoo! メール/Hotmail/Eudora」など各種アプリケーションで出力したCSVファイルをインポートすることが可能です。また、Gmailからは「Google CSV/Outlook CSV/vCard」形式でのエクスポートが行えるため、互換性を維持できます。

Q52 GmailにGoogleドキュメントのファイルを添付できますか?

Googleドキュメントの内容を直接ファイルとして添付することはできませんが、URLを送って招待したり、印刷用に出力したPDFファイルを添付したりすることは可能です。また、Googleドキュメントの画面で、添付ファイルでメールボタンを押すと、各ドキュメントを添付ファイルに変換して送ることができます。

Q53 メールに添付できるファイル容量はどのくらいですか?

1通のメールに対して20MBまでのファイルを添付することができます。ただし、添付ファイルには安全のために転送エンコーディングが自動追加される仕組みを採用しているので、正確な容量は添付ファイルによって若干変動します。

Q54 Gmailを使ってGmail以外のアカウントも受信できますか?

Gmailには、最大5つのメールアカウントを管理できる「Mail Fetcher」機能が標準装備されています。対象となるメールアカウントがPOPアカウントをサポートしていれば無料で使え、新着メール自動表示してくれるので大変便利です。

Q55 Microsoft Exchangeからメールを移行できますか?

Google Appsのメール移行機能を使えば、ユーザーの受信ボックスにあるメールをIMAPサーバからGoogle Appsに転送できます。差出人や宛先、日付などがそのまま反映されるほか、Gmailのラベル機能によって受信ボックスのフォルダ構造も再現が可能です。なお、Standard Editionではメール移行機能が利用できないので注意してください。

Q56 メール移行に関する制限はありますか?

添付ファイルを含めて20MBを超えるメールや、ウイルスに感染しているメール、IMAPサーバに1,800個以上のフォルダがあるアカウントは転送ができず、スキップして転送が続行されます。また、Microsoft Exchange Server 2003ではフォルダ名に「/」を含むものは移行されないので、事前にフォルダ名を変更しておいてください。移行の回数に関しては特に制限がありません。

Q57 OutlookのメールデータをGoogle Appsのアカウントにアップロードできますか?

上記のIMAPを使った移行方法のほか、同期化ツール「Google Email Uploader」を使うことでOutlookのメールデータをそのままGoogle Appsのアカウントへアップロードできます。

Q58 「Googleビデオ」はアップロードできなくなったと聞いたのですが

Googleビデオは一般ユーザー向けのアップロードサービスを停止していますが、Premier Editionでは1アカウント当たり3GBまでの動画をアップロードすることができます。社長からのメッセージや接客マニュアルなど、さまざまな使い方が可能です。

Q59 管理者が複数ユーザーのメール設定を行うことはできますか?

「Google Email Settings API」を使うと、複数のユーザーのGmail設定を一括して行うことができます。この機能はPremier EditionとEducation Editionで最初から有効なので、特に申請などを行うことなく利用可能です。

Q60 Outlook経由でGoogle Appsのデータが使えるというのは本当ですか?

プラグイン「Google Apps Sync for Microsoft Outlook」を導入すると、OutlookをGoogle Appsのクライアントソフトとして利用できるようになります。メール、カレンダー、連絡先に関するデータが同期されるため、「普段から慣れ親しんだOutlookのインタフェースをそのまま使いたい」という人にも最適です。