みなさんは週末や業務後のお時間はどのようにお過ごしでしょうか?仕事を忘れてゆっくりしたりしたいと思う方も多いはず。しかし、ITエンジニア(エンジニア)界隈では、貴重な平日の夜や週末も、皆で集まって「勉強会」を開催したり、ブログなどで情報発信したりなど、日々知識をアップデートする人が多いという。
今回、エンジニア界が持つ素晴らしい文化をもっと世間に知ってほしいと思い、数回に渡ってエンジニアの生態について迫っていく。第1回は、ITエンジニアによる「勉強会」について紹介する。
もはやクレイジー?エンジニアの素晴らしき「シェア文化」
ITエンジニアの世界は、他の職種から見るとなんとも異様な文化を持っている。
それは、"ノウハウをシェアしあう文化"だ。
エンジニアは、自分が時間をかけて身に付けた技術や知識を、ブログやGitHub(ソフトウェア開発プロジェクト用の共有Webサービス)などで、惜しみもなく公開し、また参加した勉強会では、エンジニア同士で新たな試みやノウハウを共有しあうのだ。
参考までに、IT勉強会・セミナーなどのイベント情報検索サービス「dots」のカレンダーページを見れば、その開催数の多さは一目瞭然である。もはや、勉強会の開催されない日が見当たらないのではと思えるほど。
筆者は主催/運営側を含め、多いときは月10回以上も勉強会やカンファレンスに参加している。一般的な休日のセミナー開催は、講師(メンター)探しに苦労するのだが、エンジニア向けのセミナーでは、懇親会費を払ってもメンターとして教えたいという方が何人も名乗り出てくれることも普通だ。イベントを企画するたびに、さまざまな人が「自分の好きな技術を教えたい!」と快く協力してくださるので、いつもとても助けられている。
そういった善意を持った方が多いからか、どのイベントでも、登壇者・参加者・主催者関係なく全員で一丸となってイベントを作り上げている感じがあり、なんともアットホームで、とても居心地良い雰囲気なのもエンジニア勉強会の特長だ。
営業職出身の筆者からすれば、他の業界では考えられない文化だと思う。例えば、実務に関する営業職のセミナーに行こうものなら、数万円かかることも少なくない。しかし、エンジニア業界では実務で活用できるレベルのノウハウが、当たり前のように公開されており、もはやクレイジーとさえ感じるほど知識を共有しあう文化がそこに染みこんでいるのである。
もちろん、リアルな勉強会だけでなく、Web上でも盛んに知識のシェアが行われている。例えば、筆者 が運営するteratailの場合、"ベストアンサー職人"とでも呼びたくなるような芸術的な回答が投稿されることもしばしば見られるようになってきた。ぜひ、そういった回答はteratail内だけではなく、もっといろんな人に見てもらいたいと思っているし、見ていただいた方にとっても価値あるものになるだろう。
では、なぜエンジニアは惜しげもなく知識をシェアするのだろう。次回より、teratail内で話題になった秀逸な回答をいくつか紹介しつつ、セミナー登壇やteratailなどで積極的に活動するITエンジニアにインタビューを行いつつ、エンジニア特有の"シェアしあう文化"の背景に、どういった思いや特性が秘められているのか、紐解いていこう。
執筆者紹介
木下雄策
1988年生まれ、福岡県出身。エンジニア特化型Q&Aサイト「teratail」のDevRel(技術者向け広報)担当。2013年にレバレジーズに新卒で入社し、1年でトップ営業マンとなった後、現在のteratailチームにジョイン。年間30以上のエンジニア向けイベント/勉強会を開催している。好きなものはJavaScript(ただしド素人)とスノーボード。