7月2日未明に東京近辺に巨大な流れ星(火球)が見られ、まもなく隕石が千葉県で発見されました。また、3月に発見されたネオワイズ彗星が明るくなり、世界中の人が素晴らしい写真をシェアしています。そして8月のお盆前には、ペルセウス座流星群の活動がピークを迎えます。

  • 千葉県で発見された2つの隕石の破片

    千葉県で発見された2つの隕石の破片 (C)国立科学博物館

ということで、今回は、流星・彗星・火球・隕石の話をまとめていたしますよー。

いつでも見える流れ星、特別明るいのは火球

流れ星のはなしは、このコラムでもなんどもとりあげてまいりました。

参考:どこでもサイエンス 第144回「流れ星とオーロラ、いずれも緑」

なぜ? 流れ星ほど、一瞬で気持ちをあげるできごとはないからです。

光がパッと視野を横切ったとたん「うあああ」っという声が、発声するかどうかはともかくとして、浮かび上がる、それが流れ星です。

流れ星を見て、なんとも感じない人は、ある意味スゴイですね。

さて、流れ星ですが、太陽系での衝突事故でございます。

流れ星は、太陽を巡る地球、そして同じく太陽を巡る岩石あるいは砂粒(流星物質といいます)が衝突し、流星物質が地球の大気で猛烈に加熱し、蒸発しまた周囲の大気にエネルギーをあたえて発光するできごとです。光るのは気体です(細かくいえばプラズマ)。

衝突する流星物質は砂粒大から、大きい方はまあ数10mです。

向こう百年は、可能性はないとされていますが数kmの可能性もあります。衝突スピードも地球に落ちる最低速度である秒速11kmから、地球と正面衝突する秒速72kmとバラエティにあふれています。

大きいほど明るい流れ星になり、衝突するスピードが速いほどやはり明るい流れ星になります。

かれこれ20年前にさわがれた、しし座流星群は、正面衝突するほどよいサイズの流星物質の大群だったため、世界中で絶景をもたらしました。

なお、しし座流星群でも多くみられましたが、流れ星でも特に明るいものを「火球」といいます。区別は曖昧なのですが、だいたい金星より明るければ火球というのですが、わーっとびっくりするくらいあかるければ、火球でいいかなと思います。

さてさて、流星物質は砂のようなものもあるわけですが、太陽系にはそうした砂粒は無数にあり、しょっちゅう地球と衝突しています。

したがいまして、流れ星は、意外なことにいつでも見られるのです。1時間も晴れた夜空を見ていれば、1つや2つは流れ星が見られますし、流星物質の大群の「川」のようなところも軌道が決まっていますので、毎年「川」を地球が渡るとき、流星が多く見られます。8月12日~13日にかけて見られるペルセウス座流星群は、まさにそうした「川」を地球が渡るときに起こるできごとですな。見方は例年かわらないので、以前のコラムをご参照いただければと思います。

参考:どこでもサイエンス 第82回 「8月12日のペルセウス座流星群と黒い彗星」

流れ星の発光高度は、80~100km以下です。ある地点から見られる流れ星は通常は半径100km以内、広くても500km程度でございます。日本で見えた流れ星は、たとえばインドで見えることはまあないですな。

空中で蒸発しない流星物質は隕石として落ちる

流星物質は、流れ星として発光しながら猛烈な勢いで雲散霧消して消滅します。だいたい1秒間持ちません。秒速72kmで突っ込んできても、高度100kmから光って、高度50kmでは消滅している感じです。

ところが、中には直径が50cmとか2mとかいう大きな流星物質が衝突することもあるのです。そうすると、流星物質は発光しながら蒸発して小さくなるのですが、大気の急ブレーキで速度が落ち、最後は停止して自由落下することもあります。これが隕石です。大気は地表に近づくほど濃くなることもあって、20kmくらいまで消滅しなければ、流星物質は隕石として生き残ります。

そのさい、空気を超音速で猛烈に圧縮するため、大気の地震である衝撃波が発生し、広範囲でドンという音が聞こえたりします。7月2日未明に、東京近郊の広範囲でこの音が聞こえましたが、隕石が落下した音ではなく、流星物質が空気を圧縮した結果の音だったんですね。

ちなみに、この7月2日の火球を撮影したイラストレーターのKAGAYAさんが、実写とCGで解説をしてくれているのが、こちらです

彗星と流れ星はちがうもの。でも、流星物質は彗星からまき散らされる

ところで、彗星ってのもありますよね。最近は、NEOWISE(ネオワイズ)彗星が話題になっています。これも太陽を巡る天体で、主に砂や岩と氷でできています。軌道上で太陽に近づくと氷が蒸発し、含まれていた砂や岩をまき散らされます。そして、それが流星物質のもとになっています。

1つの彗星からはたくさんの砂や岩が飛び出し、小さな塵は太陽の光で押されて、尾をつくります。彗星の尾はだから、太陽と反対側に伸びることになるのですね。

で、飛び出した砂や岩は、彗星の軌道の前後にひろがり、太陽をめぐる、砂や岩の「川」を作ります。あれ? さっきなんかでたような。そうなんですね。これが地球と交差すると、たくさんの流れ星が見られる流星群になるのでございますな。

ちなみに彗星は元々大きさ数百mから10kmくらいの天体です。これがそのまま地球に衝突するとエライことになり「あ、隕石めっかった」ではすまないわけですが、衝突する前に察知されます。ネオワイズ彗星もNEOWISEという太陽をめぐる小さな天体を自動的に発見する人工衛星によって発見されています。

なお、彗星以外にも、太陽を巡る岩、小惑星が地球に衝突することもあります。こうした小惑星と彗星の違いは、主に見え方で区別されていますが、なかには「元彗星の小惑星」とか、「小惑星だと思っていたら、彗星みたいな見え方するよ」みたいなのもあり、境界線あたりの天体もございます。

まとめますと

  • 地球と衝突する砂や岩(流星物質)が大気中で発光するのが、流れ星
  • 流れ星の明るいやつが、火球
  • 流れ星(火球)、大気中で燃え尽きずに落下するのが、隕石
  • 流星物質をまき散らすのが彗星
  • 彗星から出た流星物質がまとまって流れ星になると、流星群
  • 流星物質は小惑星もあり、大きい小惑星だと火球だーとか楽しめず、超危険

といったところですかな。

では