今回は、データ集計の基本として、SUM、AVERAGE、COUNTといった関数を使ってデータを集計・分析する方法を取り上げる。基本的な関数の使い方を通じて、初心者がExcelの関数に慣れることを目的とする。これらの関数は使っている人も多いだろうが、あらためて活用方法を確認してもらえれば幸いだ。
数式および関数の基本と使用方法
Microsoft Excelでは、セルに入力するデータの先頭に「=」を入力すると、以降の入力は数式として評価される(これは「式」と呼ばれることもある)。
数式では関数と呼ばれるものを書くことができる。関数は特定の計算や操作を簡単に行うためにあらかじめ定義されたもので、関数を組み合わせることで複雑な計算やデータ処理を簡潔に書ける。次のスクリーンショットは、関数を書くイメージを示したものだ。
「関数」の部分にSUMやAVERAGEといった関数名を入れる。それに続く括弧の中は関数に渡す引数だ。引数は1つのときもあるし、2つ以上のときもある。2つ以上のときはカンマで区切って入力する。「=関数(引数1, 引数2, 引数3)」といった感じになる。
数式の例を見ていく。次のスクリーンショットは果物の売上シートだ。
ぶどうの売上小計を求めたいとする。単価と売れた個数がわかっているので、それらをかけ合わせると売上の小計がわかる。まず、数式を入力するためにセルに「=」を入力する。
ぶどうの単価は980だ。ここでは数式に980を入力するのではなく、980が入っているセルの場所を入力する。ぶどうの単価はB列2行目に入っているので、入力するのはB2となる。通常、セル番号は手動で入力するのではなく、マウスで該当セルをクリックすることで入力を行う。次のスクリーンショットはマウスでB2セルをクリックしたあとの状態だ。数式にB2が入力されていることがわかる。
なお、このセルの場所を表すB2といった表記は「A1表記」と呼ばれている。A1表記という言葉が使われていることもあるので覚えておこう。
単価と個数の積算(掛け算)を行いたいので、次は積算を意味する「*」を入力する。
最後に個数が入っているC2を入力またはクリックする。
この状態でエンターキーを押すと、次のスクリーンショットのように計算後の小計が表示される。
ぶどうの小計が入っているD2をクリックすると、次のスクリーンショットのように「=B2*C2」と表示されている入力フィールドがある。この入力フィールドは「数式バー」と呼ばれている。数式はセルに直接入力してもよいし、セルを選択してから数式バーの方に入力してもよい。
なしの小計やりんごの小計も同じ方法で求めることができる。それぞれ数式は「=B3*C3」および「=B4*C4」になる。先ほどと同じ方法で入力してもよいが、すでにぶどうの小計を入力してあるので、ここからオートフィルで自動的に入力させることができる。
D2をクリックしたらセルの右下にある■をドラッグでD4まで移動させる。すると次のスクリーンショットのようになしとりんごの小計が表示される。
なしの小計とりんごの小計をクリックして数式を確認すると次のようになる。
ぶどうの小計の数式は「=B2*C2」だ。オートフィルするとA1形式がドラッグした方向に対して増加したり減少したりする。今回は下にドラッグ&ドロップしたので行が増加し、それぞれ「=B3*C3」および「=B4*C4」が入力されたことになる。
オートフォルの方向と増加・減少を簡単にまとめると次のようになる。
- 右にオートフィル → 列の値が増加: =A1 ⇒ =B1、=C1、=D1
- 下にオートフィル ↓ 行の値が増加: =A1 ⇒ =A2、=A3、=A4
- 左にオートフィル ← 列の値が減少: =C1 ⇒ =B1、=A1
- 上にオートフィル ↑ 行の値が減少: =A3 ⇒ =A2、=A1
オートフィルはExcelの入力を効率化する基本的なスキルの一つだ。動作も含めて最初に習得しておこう。