大手ベンダーは現在、生成AIに基づくサービスやアプリを矢継ぎ早に投入している。Microsoft Copilotは Microsoftが提供する生成AIアシスタントサービスをスマートフォン向けにまとめたものだが、競合も似たようなアプリをリリースしている。こうした競合のアプリに対し、Microsoft Copilotアプリの強みは「バランスのよい使いやすさ」にある。今回は、主要ベンダーの生成AIサービスを比較してみよう。

連載「ゼロから始める、生成AIモバイルアプリ「Microsoft Copilot」」のこれまでの回はこちらを参照

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目まぐるしいスピードで成長する生成AIサービス

生成AIに関するサービスはかなり速いペースで進化している。数カ月前にはできなかったことができるようになったり、有償で提供されていた機能が無償になったり、新しいLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)が導入されたり、成長を続けている。

この分野で最大のプレーヤーはOpenAIの「ChatGPT」だ。世界中で使われており、すでに業務改革のベースを作っている。そして、次がOpenAIと親しい立場にあるMicrosoftの「Copilot」だ。ChatGPTの無償版では提供されていない機能もCopilotでは提供されるという特徴がある。

  • Microsoft Copilotモバイルアプリ

    Microsoft Copilotモバイルアプリ

出遅れてはいるもののGoogleも攻勢を仕掛けている。Bardの名称で提供されてきた実験的なインテリジェントアシスタントは先日「Gemini」としてリブランドされた。Android向けのモバイルアプリの提供も開始されている。以下、主要な生成AIサービスの特徴を紹介しよう。

OpenAI ChatGPT

OpenAIのChatGPTは確実に改良を重ねて性能を上げているうえ、画像生成機能などのマルチモーダルへと進化するなど、用途に合わせたカスタマイズ性、実験的機能、APIとしての機能などを提供している。

ChatGPTが提供する機能は他の生成AIの一歩先を行く感じがある。回答は賢く、すでにこのサービスなしには仕事が成り立たないという人は少なくない。これまで自分ではできなかったことがChatGPTを使うことで可能になり、数時間の作業を数分に短縮されるなど、その恩恵は計りしれない。

  • OpenAI ChatGPTアプリ

    OpenAI ChatGPTアプリ

こうしたユーザーは有償のChatGPTを使うことになる。ChatGPTの最新のLLMは有償版で提供されており、画像生成にも対応している。多くの入力データ種類に対応し、対応データ容量も大きい。APIを通じた利用もできる。

一方、無償版のChatGPTで提供されているLLMは最新のモデルではなく、入力データの種類に関してもデータ容量に関しても制限がある。画像を生成することもできない。無償版のChatGPTで提供されている機能だけでも十分に驚異的だが、有償版に比べると制限が多い。ChatGPTの機能を余すことなく活用するなら有償版を使うことが前提になってくる。

Google Gemini

OpenAIやMicrosoftと比べると後塵を拝している感のあるGoogleだが、速いペースでLLMの研究開発とサービスの試用に取り組んでいる。これまで実験的に提供されてきたインテリジェントアシスタントであるBardは、新しく開発されたLLMをベースにした新しいブランド「Gemini」へとリブランドを果たした。

GoogleはまずAndroid向けのGeminiアプリをリリースした。iOS向けにはGoogleアプリにおいてGeminiの提供を行っており、日本向けには2024年2月の下旬から機能が導入される見通しとされている。

  • Googleアプリ - iOS

    Googleアプリ - iOS

Google Geminiの強みはGoogleが提供しているという点にある。これはAndroidの標準のサービスとして導入される可能性が高いことを意味しており、今後Androidではさまざまな機能にGeminiが絡んでくる可能性が高い。Androidスマートフォンの操作やインターネット検索は当然、それ以外の多くの場面でGeminiがいつの間にか使われているという状況になる可能性がある。

そうなった場合、明確な目的がない限り、ユーザーはChatGPTアプリやMicrosoft Copilotアプリをインストールしようとは思わない可能性がある。Google Geminiが今後どのように普及していくか、注目される。