Microsoftは2024年2月にCopilot in Windowsに新しいスキルを追加すると発表し、2024年3月下旬から利用できるようになると説明していた。しかし執筆現在、そのスキルはまだ使えない。Microsoftから公式な発表がないため状況はよく分からないが、このままだとWindowsを操作するスキルは当面増えない可能性がある。しばらくは他の方向からCopilotを活用する方法を取り上げていこう。
連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照。
Copilot in Windowsの新しいスキル対応状況
Microsoftは2024年2月29日(米国時間)の次の記事でCopilot in Windowsに新しいスキルを追加すると発表した。
当時の発表によれば、プロンプトに次のような指示を行うことでWindowsの情報確認や設定変更などを行うことができるようになるとされていた。
- バッテリーセーバーのオン/オフを切り替えてください
- デバイス情報を表示してください
- システム情報を表示してください
- バッテリー情報を表示してください
- ストレージページを開いてください
- ライブキャプションを起動してください
- ナレーターを起動してください
- 画面拡大鏡を起動してください
- 音声アクセスページを開いてください
- テキストサイズページを開いてください
- コントラストテーマページを開いてください
- 音声入力を起動してください
- 利用可能なWi-Fiネットワークを表示してください
- IPアドレスを表示してください
- 使用可能なストレージ容量を表示してください
- ごみ箱を空にしてください
執筆時点でいくつか実行すると次のようになる。
上記スクリーンショットを確認すると分かるが、実行結果はMicrosoftがアナウンスしていたものとは異なっている。検索結果を生成AIでまとめた概要が表示されており、Windows 11を操作するような反応ではない。Microsoftは上記スキルを2024年3月下旬より有効にすると説明していたが、対応していないのが現状だ。そしてMicrosoftはこの発表以降、Copilot in Windowsにおけるスキルについて新しい機能の発表や、上記発表内容の対応状況などの正式な発表を行っていないようにみえる。
ユーザーはこの状況の背景を知る術を持たないが、Microsoftが先月発表した「Copilot+ PC」に関連している可能性もある。Copilot+ PCではこうした操作を可能とし、従来のPCでは操作を提供しないことで差別化を図ろうとしている可能性だ。推測にすぎないためCopilot+ PCが販売されてから確認するまで確かなことは分からないが、現実としてCopilot in Windows経由でのWindowsの操作という当初謳われていた機能はかなり限定的なままという状況にある。
Copilotいろいろ
このため、当面の間Copilot in Windowsの主な利用シーンは汎用生成AIチャットサービスとしての機能ということになる。
Microsoftは先日、技術系の学生向けのガイドラインとして次の記事を公開した。これは技術系の学生がこれからMicrosoft Copilotの技術を学びやすくするためのインデックスのようなもので、各種Copilotサービスへのリンクがまとめられている。
連載の最初の方で取り上げたが、Microsoftは生成AI技術を同社のさまざまな製品やサービスに統合している。そうした技術をまとめた総称またはブランド名が「Microsoft Copilot」または「Copilot」と呼ばれている。
なお、文脈によっては汎用生成AIチャットサービスのことを「Microsoft Copilot」と呼ぶこともあるし、それぞれの製品やサービスの文脈の中でその製品やサービスで提供されている生成AI機能が「Copilot」と呼ばれることもある。
上記記事では多岐にわたる生成AI機能を対象ユーザーごとに分けて次のようにまとめている。
すべてのユーザー向け |
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Microsoft Copilot、Microsoft Copilot for Microsoft 365、Copilot in Windows、Copilot for Security、Copilot in Azure (プレビュー版) |
ビジネスユーザー向け |
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Copilot in Dynamics 365 Business Central、Copilot in Customer Insights、Copilot in Customers Insights - Journeys、Copilot in Dynamics 365 Commerce、Copilot in Dynamics 365 Customer Service、Copilot in Dynamics 365 Field Service、Copilot in Dynamics 365 finance and operations apps、Copilot in Dynamics 365 Project Operations、Copilot in Dynamics 365 Sales |
業界向け |
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Copilot for Finance、Copilot for Sales、Copilot for Service、Copilot templates for store operations、Copilot template for personalized shopping (プレビュー版) |
製造業向け |
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Copilot in Microsoft Fabric and Power BI (プレビュー版)、Copilot in Power Apps (プレビュー版)、Copilot in Power Automate、Copilot in Power Pages (プレビュー版) |
プラグインおよび開発向け |
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Plugins for Microsoft Copilot、Microsoft Copilot Studio、GitHub Copilot、GitHub Copilot Completions for Visual Studio、Microsoft Azure AI Studio |
上記分類から分かるようにCopilot in Windowsは全てのユーザー向け機能として位置付けられている。
Copilot in Edge
先ほどの記事には全てのユーザー向けのCopilotとして「Copilot in Edge」が抜けている。Microsoft Edgeは単体のアプリケーションとしてWindows以外のプラットフォームでも動作するためエントリーしていなかった可能性もあるが、基本的にはCopilot in Windowsと同じように全てのユーザーが利用できる機能だ。
「Copilot in Edge」と「Copilot in Windows」はよく似ている。Copilot in WindowsにはWindowsを操作する機能が許可されるという側面があるのだが、現在その対応しているスキルが少ないことを考えると、表示される場所がMicrosoft Edgeの右端かWindowsスクリーンの右端かの違いだけで、実質的に「Copilot in Edge」と「Copilot in Windows」は同じようなものだ。
Webブラウザを使うことが多いと、Copilot in WindowsよりもCopilot in Edgeの方が便利な場合が多い。次のスクリーンショットはCopilot in Edgeで閲覧しているWebページの概要を生成させたところだ。
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[2307.12596] Refining ChatGPT-Generated Code: Characterizing and Mitigating Code Quality Issuesの閲覧と概要の生成
同じ作業はCopilot in Windowsでも可能だがCopilot in Edgeの方が自然にできる。Microsoft Edgeから他のWebブラウザに移ると、このCopilotの機能が使えないために不便に感じることも出てくるほどだ。
機能としてはよく似ているので、今後はCopilot in Edgeについてもその使い方を取り上げていく。
付録: ショートカットキー
ショートカットキー | 内容 |
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「Windows」+「C」 | Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え |
付録: 対応バージョン
OS | バージョン |
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Windows 11 | Windows 11, version 22H2以降 |
Windows 10 | Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome |
参考
- Copilot in Windows & Other AI-Powered Features | Microsoft
- Copilot documentation | Microsoft Learn
- Adopt, extend and build Copilot experiences across the Microsoft Cloud | Microsoft Learn
- Bringing the power of AI to Windows 11 - unlocking a new era of productivity for customers and developers with Windows Copilot and Dev Home - Windows Developer Blog