生成AIの普及によって、「AIと一緒に働く」ということがいよいよ現実になってきた。本連載では、米Anthropic社が提供する「Claude Cowork」について、基本操作から実務での活用方法までを具体例を交えながら解説していく。日々の業務の効率化に向けて、今日からすぐに試せるヒントをお届けする。
Claude Coworkとは?
Claude Coworkは、米国のAIサービス企業であるAnthropic社が提供している、AIを使った作業自動化のためのデスクトップアプリケーションである。一言で表すなら「自然言語を使ってAIに指示を出し、パソコン上の作業を人間に代わってやってもらうツール」といえる。
例えば、指定フォルダーにある写真を撮影日ごとに分けたり、複数のPDF形式の請求書から合計金額の部分だけを取り出してまとめるたりといった作業を、日本語で指示するだけでAIがファイルを操作して自動でやってくれる。これまで、このような作業を自動化しようと思ったら、プログラムを書くか、自動化ツールを使って事前に作業手順を登録しておくといった準備が必要だった。
Claude Coworkではそのような準備作業は必要なく、人間に指示を出すのと同じように作業内容を伝えればよい点が大きなメリットとなっている。
Claude Coworkは本稿執筆時点ではまだ研究プレビュー版であり、使用は自己責任となっているので、その点は注意が必要だ。
Claude製品のラインアップ - どこが違う?
「Claude」はAnthropicが提供するAIサービスのブランドで、製品としては複数の種類がある。
最も一般的な製品はチャット型AIサービスの「Claude」(以下、他のサービスと区別するために「Claude.ai」と表記)で、これは質問への回答や、アイデア出し、文章作成といった対話中心の使い方に適している。プログラムのコードを書いたり、ファイルを読み込んで解析したりすることも可能だが、PC上のファイルを直接操作することはできない。
「Claude API」は、アプリケーションやWebサービスの開発者がClaudeの機能を自社アプリケーションに組み込むための仕組みだ。自由度は高いが、開発者向けの機能であり、利用にはプログラミングの知識が必要。
「Claude Code」は、ターミナル(コマンドライン)上で動作するソフトウェア開発者向けのAIツールで、プログラムの作成や編集、デバッグなどの開発作業をAIがサポートしてくれる。単なるコード生成にとどまらず、自然言語での指示に従って自動でアプリケーション開発を進める機能も備えている。ただし、あくまでも開発者向けのツールなので、利用にはある程度のプログラミング知識が前提となる。
Claude APIやClaude Codeが開発者向けのツールであるのに対し、Claude Coworkは非エンジニア向けに提供されており、プログラミングの知識がなくても使うことができる。「プログラミングを書くことはできないが、日常の定型作業は自動化したい」というニーズに応えるツールとなっている。
Claude Coworkが向いている人
次のような人は、Claude Coworkを使えばその効果を強く実感できるだろう。
- 毎週同じような資料整理や集計作業をしている
- 大量のPDFや画像ファイルを手作業で仕分けしている
- Excelの操作に毎日多くの時間を取られていると感じている
- プログラミングは学んでいないが、AIでの自動化には興味がある
Claude Coworkが使える環境とは
Claude Coworkを使うには、macOSまたはWindows向けの「Claude Desktopアプリ」が必要。Claude DesktopアプリはもともとClaude.aiをデスクトップアプリとして利用できるようにするものだったが、現在はClaude Coworkの機能も提供するように進化している。
ハードウェアの動作要件については、特別に高いスペックは求められないが、快適に使うにはある程度の性能を持ったPCを使った方がよい。詳細な動作環境はダウンロードページを参照のこと。なお、Claude Coworkはクラウドと連携して動作するため、インターネット接続が必要だ。完全にオフラインの環境では利用できない点は覚えておこう。
Claude Desktopアプリは無料でも使えるが、Coworkを使いたい場合、現時点ではClaudeの有料プラン(Pro、Max、Team、Enterpriseのいずれか)への加入が必要となっている。各プランの料金は下記の通り(2026年3月1日現在)。Enterpriseプランの料金は導入形態によって異なり、詳細はこのページを参照のこと。
- Pro: 月17ドル
- Max: 月100ドルから
- Team: 月25ドルから(最低5人のメンバーが必要)
個人利用に適しているのはProとMaxで、両者の主な違いは最大使用量にある。使用量が上限に達した場合は、一定時間が経過して使用量がリセットされるか、または追加の使用量を購入するまではClaudeが利用できなくなる。複雑な作業は多くの使用量を消費しやすいので、上限に注意して指示を出す必要がある。
Claude Desktopアプリのインストールとログイン
Claude Desktopアプリは、Anthropicの次のページからダウンロードできる。自分のOSに合ったインストーラー(macOS版またはWindows版)をダウンロードしよう。
macOSの場合は、ダウンロードした.dmgファイルを開き、Claude CoworkのアイコンをApplicationsフォルダーにドラッグ&ドロップすればインストールできる。Windowsの場合には、ダウンロードした.exeインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを完了させればよい。
インストールが完了したら、アプリを起動しよう。初回起動時は次のような表示になる(macOS版の例)。
「始める」をクリックすると、次のようにAnthropicアカウントへのサインインを求められる。
Googleアカウント連携でアカウント登録している場合には、「Googleで続ける」をクリックして、Googleアカウントの認証を行う。自分のメールアドレスでアカウント登録している場合には、そのアドレスを入力して「メールアドレスで続ける」をクリックすると、次のような認証用のメールが送られてくる。
このメールの「Claude.aiにサインイン」をクリックすると、Claude Desktopアプリに戻って、サインインが完了する。なお、認証メールにサインインボタンではなく認証コードが記載されている場合もある。その場合は、アプリに戻って認証コードを入力してサインインを完了させよう。
サインインできたら、最初は次のようにチャット画面が表示されている。有料プランに加入していれば、上部に「チャット」、「Cowork」、「コード」の3つの切り替えタブが表示されるはずなので、「Cowork」をクリックしてClaude Coworkの画面を表示しよう。
基本的な操作画面
Claude Coworkの画面では、左側に「タスク」のリストが表示され、右側にタスク(作業)指示用のテキスト入力欄が表示される。
タスク指示を出すには、まずは「フォルダーで作業」の部分をクリックして作業対象のフォルダーを指定する必要がある。フォルダーを選ぶと、次のようにフォルダー内のファイルを変更する許可が求められるので、「許可」をクリックして続行しよう。ここで許可すると、Claude Desktopアプリはそのフォルダー内のすべてのファイルを操作できるようになる。ファイルの削除も可能なので、作業するフォルダーの選択は慎重に行うこと。必要に応じてファイルのバックアップを取っておくことを推奨する。
Claude Coworkでは、AIモデルとしてAnthropicが提供する「Claude Opus」、「Claude Sonnet」、「Claude Haiku」の3つのモデルを利用できる。それぞれのモデルに特徴があるので、用途に応じて使い分ける必要があるが、最も使い勝手がいいのはバランスに優れたSonnetで、これがデフォルトになっている。Opusは高性能だがクレジットの消費が大きい。
準備ができたら何か指示を出してみよう。例えば、「jpeg形式ファイルのサイズの合計を計算して、結果をメガバイトで教えて。」という指示を出してみる。すると画面が次のように切り替わる。
これがClaude Coworkのタスク実行画面で、中央の会話エリアには進捗の報告がリアルタイムで表示され、タスクが完了した際にはその結果が表示される。右側には、時間がかかるタスクの進行状況や、詳しい作業手順を指示したい場合の手順書、作業に必要な参照ファイルなどの情報が表示される。
次回は、実際のファイル操作を題材にしながら、効果的な指示の書き方や実行結果の確認方法を詳しく紹介する。








