定例会議などで、新規事業に関するアイデアを出すように言われることがあります。筆者のようなライターだと、企画会議のためにネタを用意します。しかも、複数用意しなければならなかったり、毎月会議があるとなると作業負担が大きくなったりします。とは言え、仕事なのですから、クオリティの低いアイデアを出すわけにもいきません。今回は、ビジネスで使えるアイデア出しをChatGPTに行ってもらいましょう。→過去の「柳谷智宣のChatGPTプロンプトクリエイティブラボ」の回はこちらを参照。
アイデアのテーマを指定し、必要情報を深堀していく
まずは、直球プロンプトで記事のアイディアを複数作ってみましょう。「業務効率アップ」というテーマを設定し、リストアップする数を指定します。
その際、100個などと指定すると、途中から意味のない列挙になってきます。多くても10~20個にしておくとよいでしょう。バリエーションが欲しい場合は、プロンプトを変更して追加する方が効率的です。
今回は、5つの記事ネタを出力しましたが、チェックしてみるとどれも王道の内容で問題なさそうです。
-
プロンプト
「業務効率アップ」というテーマで記事を書くので、内容を5個考えてください。
出力
現場向けの記事を想定し、一部のネタを採用することにしましょう。企画書に書くために詳細な内容が欲しかったり、キャッチーな見出しが欲しかったりする場合は、番号を指定して再出力させます。
-
プロンプト
1番、3番、4番について、キャッチーな記事タイトルを付けてください。
出力
「2. リモートワーク時代の勝者になる!業務効率を最大化する10のリモートワークベストプラクティス」などは普通に興味がありますね。10個のプラクティスが思い浮かばなくても、ChatGPTに聞けば教えてくれます。
アイデア出しのフレームワークを使って考えさせる
アイデアを発想するためのフレームワークはいくつもあります。考え方をマスターし、フレームワークにしたがって作業していくと、アイデアが生み出され、整理され、ブラッシュアップされていくのです。本来、フレームワークを駆使するには勉強が必要ですが、この作業もChatGPTに任せてしまいましょう。
-
プロンプト
よいアイデアを出すためのフレームワークを教えてください。
出力
どんなアイデアを出すフレームワークかをChatGPTに聞き、その出力から良さそうな手法を選択し、指示を出しましょう。今回は「SCAMPER法」を指定して、アイデアを出してもらいました。
-
プロンプト
2番の方法を使い、「業務効率アップ」というテーマで記事を書きます。読者のニーズに合う記事案を考えてください。
出力
1本の原稿に必要な項目を入れ込んでいけば、読み応えのある記事になりそうです。ブログなどであれば、7項目を別の記事として書くのもよいでしょう。
複数の企画が必要なのであれば、同じプロンプトでフレームワーク名だけを変えて出力すればいいのです。試しに「6-3-5法」をプロンプトに入れ込んだところ、どんどんアイディアが出てブラッシュアップされていくのが圧巻でした。
ChatGPTに複数の人格を設定して自動ブレストさせる
ブレストそのものをChatGPTにシミュレーションさせることも可能です。登場人物を設定し、どのような受け答えをするのか指示すればいいのです。登場人物の名前や性格も指定しておけば、ChatGPTがきちんと演じ分けてくれます。
例えば、記事の企画を考えてもらいましょう。ブレストする人数は3人にして、突飛なアイデアを出す人、SDGsの観点を入れる人、マーケッターという役割を設定します。そのうえで、3人がブレストすることをシミュレーションすると明記すればOKです。ChatGPTはシミュレーションが得意なので、あまり細かく指示する必要はありません。
やり取りする回数も指定できますが、あまり長くすると出力のクオリティが落ちます。3~5回くらいにしておくとよいでしょう。出力を読んで要約するのが面倒なら、最後にまとめるように指示します。
-
プロンプト
3人のメンバーが###テーマに関してブレストするシミュレーションをしてください。他の人の発言を受けて、自分の発言をしてください。それぞれが3回ずつ発言したら、議論の内容をまとめてください。
###ブレストのメンバーと特徴
柳谷:突飛な発想で様々な提案をする
山田:SDGsの観点を重視する
佐藤:マーケッターとして考える
###テーマ
読者の関心を引きそうな記事のテーマ。領域はお酒
出力は、ちょっとわざとらしい感じで会話がやりとりされますが、プロンプトが十分に効いていることがわかります。最後に出力されたネタは以下の5つとなりました。ChatGPTでの議論の結果、以下のような要素が結合されました。
- 世界のお酒を旅するコンセプト
- エコフレンドリーなお酒の紹介
- セレブや限定ブランドの取り上げ
- 若者向けの楽しみ方とお店の紹介
- VR体験を取り入れたオンラインイベントの開催
筆者は飲食店を経営していますが、どれもとても興味のある内容です。ぜひ読んでみたいですね。笑
ChatGPTの出力は優等生な内容になっています。そのため、鵜呑みにしているとデメリットや弱点をスルーしてしまう可能性があるのです。
そこでおすすめなのが、ChatGPTの出力に対して、ChatGPTに反論させることです。そうすることで、異なる視点での意見が得られるので、アイデアの取捨選択の役に立ちます。デメリットも理解したうえで作成する企画書はその分、説得力を持つことになります。
ブレストをする場合でも、プロンプトをいじれば、メンバーに反論させることもできます。デメリットを指摘するメンバーを追加し、発言回数を5回にしてみましょう。今度は「健康」に関する記事のネタをブレストしてもらいました。
-
プロンプト
4人のメンバーが###テーマに関してブレストするシミュレーションをしてください。他の人の発言を受けて、自分の発言をしてください。それぞれが5回ずつ発言したら、議論の内容をまとめてください。
###ブレストのメンバーと特徴
柳谷:突飛な発想で様々な提案をする
山田:SDGsの観点を重視する
佐藤:マーケッターとして考える
加藤:アイディアのデメリットを指摘する
###テーマ
読者の関心を引きそうな記事のテーマ。領域は健康
ブレストのセッションは以下の6つのネタを出してくれました。
- AIとロボットの医療活用と伝統医学の融合
- SDGsの観点からの持続可能な社会への貢献
- マーケティング観点からの市場ニーズの反映
- 製品紹介のリスク管理と認証基準
- 専門家の監修とインタラクティブなコーナーの設置
- 健康に対する楽しい探求の旅と地球全体の健康の結びつけ
問題なくできたのですが、まとめ方がちょっとズレている感じでした。そこで、記事タイトルのように書き直すようにプロンプトで指示してみたところ、以下のようにリライトしてくれました。ChatGPTの出力が気に入らない場合は、ChatGPTに修正させることができます。くれぐれも、初回の出力を信じ込んで、ブラッシュアップの手を止めないようにしてください。
- 未来の医療が目指す方向:AIと伝統医学の融合がもたらす新しい健康診断
- 持続可能な未来への一歩:SDGsの視点から見る健康診断の進化と貢献
- 健康トレンドの先端:市場ニーズを捉えた最新健康管理アプリとサービス
- 安全な選択のために:健康製品の認証基準とデメリットのリスク管理
- 読者と共に学ぶ健康の旅:専門家監修のインタラクティブな健康診断体験
これなら、面白そうな記事になりそうですね。以上が、企画会議に提出するアイディアをChatGPTに作ってもらうプロンプトの作り方になります。
上記でも触れましたが、ChatGPTの出力はきちんと自分の目でジャッジし、不要なものピントがずれているもの不正確なものはスルーしたり、再出力させる必要があります。
くれぐれも、ChatGPTの出力を安易にコピペして、仕事上の信用を失わないようにしてください。それさえ心がければ、アイデア出しの作業時間を大きく短縮できること請け合いです。