IT機器が重要視される昨今、大企業だけでなく中小企業やスタートアップでも死活監視が採用されてきています。
大企業は膨大な数のIT機器の監視のため、また、中小企業やスタートアップは業務効率的化のために死活監視を活用しています。
今回は企業規模別に監視すべきIT機器や、実際に死活監視ツールを導入した企業の導入例を紹介します。
10人規模の事業所
10人程度の事業所であれば、まずは社内ルータを監視すべきです。パソコンでの業務が必須となっている現代は、社内ルータの不具合により、さまざまな業務に支障が出ます。ルータが止まってしまうとデータサーバへのアクセスはもちろん、メールの送受信すらできなくなります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響からリモートワークが普及しています。企業によっては情報システム管理者が社内に不在となり、ルータが正常に稼働しているかどうか常時監視することが困難となっています。
そうなると、知らないうちにルータがフリーズし、社内システムが利用できなくなることも考えられます。
管理者はわざわざ事務所に戻り、場合によっては技術担当者らと復旧作業をしなければなりません。当然その間、他の従業員は社内システムが利用できず、業務に支障をきたします。
死活監視ツールは自動で電源制御ができるほか、ツールによってはスマートフォンなどで自宅から監視や操作をすることも可能です。
中小企業や24時間稼働の工場
自社ビルを所有するなど、ある程度の規模で展開している中小企業は、自社オフィスや店舗、倉庫、駐車場など自社の関連施設における防災・防犯面のセキュリティに注力しなければなりません。
防災・防犯対策には監視カメラや赤外線センサが活用されますが、その数が多ければ監視対象も多くなります。
しかし、監視カメラは画面の中に動くものがあれば動作していることがわかりますが、静止しているものが多い場合、フリーズをしていてもわかるまで時間がかかることもあります。
また、製造業においてもさまざまなセンサが活用されています。24時間365日稼働している工場においては、「インダストリー4.0」の下でデータ活用や機器の連携、作業の自動化などを進めています。
そうした工場においては、ネットワークシステムの正常な稼働と障害からの迅速な復旧が不可欠で、複数のIT機器を統合的に監視できる死活監視の自動ツールの導入が望ましいと言えます。
大手企業や社会インフラ事業者
大手企業、中でも社会インフラ事業を手がける企業は、IT機器の不具合や対応の遅れが企業ブランド失墜や損害の賠償だけでなく、その影響が人命におよぶこともあります。
そうした企業にとって、監視の優先順位の高いIT機器の1つがサーバです。大手企業や社会インフラ事業者となると、サーバには何10種類ものソフトウェアがインストールされており、これらをきめ細かくチェックしていく必要があります。
ネットワークボードやOSが動いている場合、Ping監視ではサーバが正常に動作していると判断され、ソフトウェアのフリーズが発見できません。つまり、サーバ内のソフトウェアを死活監視するにはポート監視をしなければなりません。ある程度の数のポート監視を可能としたツールが適しています。
ケーススタディ:宿泊施設
静岡県のある宿泊施設の導入例を紹介します。その宿泊施設では約30万平方メートルの敷地内でどこでもインターネットに接続できるよう、広域にわたってWi-Fiを提供しており、敷地内には100カ所を超えるアクセスポイントを設置していました。
機器の不具合を解消するために保守管理会社と契約を結んでおり、宿泊客から「インターネットがつながらない」と連絡があった際には、保守管理会社の担当者が現場に駆けつけていました。
保守管理会社としては、機器トラブルの発生は当然予想していたものの、アクセスポイントのフリーズが想定以上に発生。想定原価を超える役務提供により保守売上は赤字となり、エンジニアの工数も取られるため、他の業務を止めざるを得ない状況でした。
そこで、アクセスポイントの死活監視ツールを7台導入し、Wi-Fiの状況を遠隔地からパソコンやスマートフォンでチェックすることにより、宿泊客からクレームを受ける前段階でフリーズからIT機器を再起動させるといった対処ができるようになりました。また、出動回数が減ることにより、保守原価の圧縮に貢献できました。