IT機器の動作にトラブルはつきもの、だからこそ、適切な死活監視を実践しなければなりません。

今回は、企業や保守管理会社が死活監視を導入すべきケースと、導入にあたって最低限押さえておくべき項目について解説します。

コスト、スピード、無駄の削減に着目しよう

IT機器の保守に多大なコストがかかっているケースにおいて、死活監視の導入はコスト削減に効果的です。コストとは、具体的にはIT機器の“電源の抜き差し”のために発生する対応費用(作業員の人件費、移動のための交通費など)です。

中小企業にとってみれば、IT機器の保守管理に多大なコストを割くわけにはいかないのが実情です。だからこそ、自動で復旧できる死活監視ツールなどが必要になってきます。

実際、IT機器の保守業務において、電源の抜き差しだけで済むケースは多いです。当社が鉄道会社やコインパーキングの運営会社とともに、IT機器の不具合の原因を調査したところ、本体の故障はそのうちの10%。残りの90%は、電源の抜き差しで済むOSやアプリケーションのフリーズでした。

また、復旧に至るまでのスピード感も重要です。以前、当社が岩手県久慈駅に納品した緊急地震速報付きサイネージがフリーズしました。

当社は先方担当者ご自身での復旧を依頼しましたが、先方からは「どの電源を操作すればよいか分からない」と回答があり、当社スタッフが東京都内から岩手県まで赴き対応したところ、作業は10分で完了しました。死活監視ツールさえ導入しておけば、該当のサイネージは10分以内に復旧していたということになります。

  • IT機器の復旧作業は、時にコストと時間が無駄に

    IT機器の復旧作業は、時にコストと時間が無駄に

こうした事例にあるように、死活監視ツールはコストや無駄の削減につながるソリューションだと言えます。

エンドユーザーの安全も導入の指標に

エンドユーザー目線では、「安全」が求められるケースで死活監視を導入すべきでしょう。特に死活監視ツールの導入を推奨できるのが、交通系インフラや病院・介護施設など命に関わる施設です。

エンドユーザーの安全に関わるため、そうした施設ではシステムの可及的速やかな復旧が求められますが、人手による復旧作業ではどうしても時間を要してしまいます。

鉄道や高速道路に設置されている監視カメラのフリーズは、重大事故につながりかねません。駅構内にあるホームドアが、開いたままフリーズしてしまうことも考えられます。

  • システムの速やかな復旧が求められるケースで、死活監視の導入が推奨できる

    システムの速やかな復旧が求められるケースで、死活監視の導入が推奨できる

また、介護施設に設置されているカメラやセンサーのフリーズは、認知症高齢者のアクシデントを見逃してしまうかもしれません。

ツール導入前に押さえたい3つのチェック項目

死活監視ツールを導入する際、事前に確認しておくべき項目は大きく分けて3つあります。

1つ目が「監視対象の選定」です。ツールを導入する前に、まずは何を監視対象とすべきか洗い出すことが先決です。

パソコン、サーバ、監視カメラ、サイネージなど、業種によってさまざまなものを監視しなければなりません。例えば、ホテル業は客室のテレビやSTB(セットトップボックス)、Wi-Fiなどが正常に稼働しているかを常にチェックする必要があります。

2つ目が「復旧方法の選定」です。不具合を見つけたIT機器に、どのような対策を施すかも決めていきましょう。単純な電源の制御だけでなく、特殊な対応が個別に必要になるケースもあります。

「システムがフリーズした場合は他システムを利用する」「まずは担当者にアラートを出して人の目で判断する」といったことも必要になるかもしれません。どのような手順で復旧させていくかのフローもしっかり確認しましょう。

3つ目が「IPアドレス・ポート番号の把握」です。インターネットにつながっているすべての機器には、IPアドレスが付与されています。Ping監視において、IP アドレスは欠かせないものなので、事前に監視対象としたいIT機器のIPアドレスを把握しておけばスムーズにツール導入を進められます。

同様に、ポート監視を実施する際は、監視対象としたいプログラムのポート番号も事前に把握しておきましょう。