前回に電磁波干枉ずの絡みで、機内配線や光ファむバヌ化に関する話を曞いた。どこにどの配線を蚭眮するかは、干枉を考慮する䞊で䞍可欠の芁因ずなる。しかし配線に限らず、蚭眮堎所が重芁になるのは電子機噚そのものでも同じだ。

ただ堎所さえあればよいずいうものでもない

家庭や小芏暡オフィスでサヌバ、あるいは各皮のネットワヌク機噚を蚭眮する堎合、埀々にしお空いおいる堎所に適圓に眮いおしたうものである。むンタヌネット接続回線ずの境界に蚭眮する各皮アダプタやルヌタの類は、壁面にあるコネクタの近所に眮く、ずいうぐらいのこずは考えるだろうが。

ずころが飛行機の䞭に各皮の電子機噚を蚭眮する堎合には、そんないい加枛な方法では具合が良くない。もちろん、必芁な配線が来おいる堎所に眮くこずも必芁だが、機噚の保護や冷华ずいうこずも考えなければならない。

高性胜の電子機噚をできるだけコンパクトにたずめようずするず実装密床が高くなり、それだけ冷华が難しくなる。艊茉コンピュヌタなら、呚囲に海氎がしこたたあるから氎冷にする手もあるが、1ポンドでも軜く䜜りたい航空機の電子機噚では、普通は氎冷は䜿わない。

倧型の民航機などでは、床䞋に電子機噚甚のスペヌスを確保しお、そこに蚭眮したラックに電子機噚を取り付けおいく圢が倚い。オフィスでいうず、䞀角を仕切っおサヌバルヌムを蚭けるようなものである。

サヌバルヌムずいうずガンガンに冷房を効かせるのがお玄束だが、電子機噚があれば発熱が問題になるのは飛行機の䞭でも同じこず。したがっお、電子機噚宀は空調や冷华の蚭備を敎える必芁がある。機噚の発熱量は事前に掚定、あるいは実枬できるから、それに芋合った胜力をもたせる必芁がある。

倧型機なら客宀だろうが貚物宀だろうが䞎圧区画だから、成局圏で氷点䞋50床以䞋の冷気に盎接さらされるようなこずはない。゚ンゞンから抜気する等の方法で圧力の高い空気を埗お、枩床を調敎しお送り出しおいる。ただし電子機噚宀の方が「䞭身が熱い」こずを考えなければならないわけだ。

ずころが、民航機が搭茉する電子機噚ぐらいならずもかく、電子機噚の塊ず化しおいる昚今の軍甚機になるず、さらなる配慮が求められるこずがある。

ちょうど別連茉「軍事ずIT」では本皿ず同時期に電子戊に぀いお取り䞊げおいるずころだが、電子戊機ずいえば匷力な送信機を積むのがお玄束なので、それだけ発熱が増える。そのため、電子機噚宀の冷华胜力を匷化したり、倖気取り入れ甚のダクトを増蚭したりする。

「軍事ずIT」の第104回で取り䞊げたEA-18Gグラりラヌ電子戊機は劚害装眮を倖付けのポッドにしおいるが、これなら冷华は比范的やりやすい。実際、電子戊ポッドの倖偎には攟熱板ず思われる構造物が芋える。

敎備性ずいう問題もある

ずころが、蚭眮堎所ず冷华の問題さえ解決すればOKかずいうず、そうではない。敎備性ずいうこずも考えなければならない。サヌバルヌムで機噚をギッチギチに詰め蟌たないで、前面も背面も人が入れるような空間を確保するのず同じである。

真空管の時代ず比べれば、圓節の電子機噚ははるかに信頌性が向䞊しおいるが、それでも故障を起こしたり、物理的に壊れおしたったりするこずはある。そうなるず亀換が必芁だ。

電子機噚宀を蚭けられるような倧型機なら、機噚搭茉甚ラックの前埌に空間を確保しお、人が出入りできるようにしおおくこずができる。民航機なら機内は二局構造になっおいお、䞊局は客宀、䞋局は貚物宀だが、その貚物宀の䞀角に電子機噚宀を蚭けるのが普通だ。

ずころが小型の戊闘機になるず、やり方が違う。胎䜓の偎面に点怜甚ハッチを蚭けおおいお、それを開けるず電子機噚がある、ずいう圢だ。通路のスペヌスなんおずれないのだから、必然的にそうなる。降着装眮が長くなるず話は違うが、たいおいの堎合、地䞊に立ったたたでアクセスできる高さであり、これも敎備性の芳点からするず重芁な芁玠ずなる。

その電子機噚も、党䜓をひず぀の匡䜓に収めるのではなくお、機胜別に耇数のナニットに分けお、個別に亀換できるようにしおいる。これを列線亀換ナニット(LRU : Line Replaceable Unit)ずいう。列線ずは飛行列線(フラむトラむン)のこずで、ちょっず乱暎にいいかえれば駐機堎のこずだ。

そのLRUの箱を開けるず、䞭には耇数の回路基板が収たっおいるが、これは電子機噚敎備ショップで亀換するもので、珟堎で亀換するものではない。そこでこれをショップ亀換ナニット(SRU : Shop Replaceable Unit)ずいう。

本連茉の第13回で取り䞊げたBITE(Built-In Test Equipment)で「どこそこのLRUに䞍具合がある」ずいう報告が䞊がっおきたら、該圓するLRUをその堎で敎備枈みの予備品ず亀換しおしたう。取り倖したLRUは電子機噚敎備ショップに送り蟌んで怜査を行い、䞍具合の原因になっおいるSRUを倖しお取り替えればよい。

だから、電子機噚に限ったこずではないが、蚭蚈に際しおはちゃんず珟堎の声を聞いお、珟堎が䜜業しやすいように䜜っおおく必芁がある。LRUにしろ、それを結ぶケヌブルにしろ、容易か぀間違いなく脱着ができるようにするこずも倧事だ。

そうしないず、埌で「敎備性が悪い」ずいっお珟堎からクレヌムが出たり、機䜓の可動率が䜎䞋したりする。どんなにカタログ性胜が良くおも、敎備性が悪い軍甚機では圹に立たない。

F-15の機銖に蚭けられた電子機噚宀。機内に耇数のボックス(LRU)が栌玍されおいる様子が分かる。(Photo : USAF)

執筆者玹介

井䞊孝叞

IT分野から鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野に進出しお著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。「戊うコンピュヌタ2011」(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお「軍事研究」「䞞」「Jwings」「゚アワヌルド」「新幹線EX」などに寄皿しおいるほか、最新刊「珟代ミリタリヌ・ロゞスティクス入門」(朮曞房光人瀟)がある。