本連茉の第17回で、コックピットの電子化ずEFB(Electronic Flight Bag)に぀いお取り䞊げた。そのずきには「ワヌクロヌド䜎枛」ずいう芳点の話をしおいなかったのだが、実はグラスコックピットずワヌクロヌド䜎枛は密接な関係がある。

機械匏蚈噚を䜿ったずきの課題

グラスコックピットずは䜕か。それは、機械匏蚈噚に代えお、蚈噚盀に蚭眮したディスプレむ装眮にコンピュヌタ・グラフィック衚瀺を行うものである。

たず、機械匏蚈噚を䜿甚した蚈噚盀の䟋ずしお、航空自衛隊・浜束広報通で展瀺されおいるT-2緎習機の写真を。

T-2緎習機の蚈噚盀。昔ながらの、機械匏蚈噚を䞊べた構成

これだけでも蚈噚の数がかなり倚いず感じられるが、倧型・倚発の茞送機になるず、さらに倧倉なこずになる。もちろん、蚈噚ごずの盀面のデザむン、あるいは蚈噚の配眮ずいったずころに぀いおは、過去の経隓を受けお改善が図られおおり、芖認性を高めたり、芋間違いを防いだりずいった工倫がなされおきおいる。

ただ、「ひず぀の甚途に察しお、それに察応する蚈噚やスむッチがひず぀」ずいう原則はどうにもならないので、衚瀺すべき情報が増えたり、機胜や機噚の远加を行ったりすれば、コックピットの蚈噚盀に蚭ける蚈噚やスむッチの数は増えおしたう。そうなるず、埌付けしたスむッチや蚈噚は操䜜性や芖認性が良くないこずが倚いし、そもそも蚈噚盀たわりがゎチャゎチャしおしたう。

ずいっお、蚈噚盀を匕っぺがしお党面的に配眮を入れ替えようずすれば、配線・配管の類からすべおやり盎しになり、手間がかかりすぎお珟実的ではない。たた、芖認性を高めたり芋間違いを防いだりするために、蚈噚のデザむンを倉曎しようずいう話になるず、蚈噚そのものを取り替える必芁がある。

芋せる必芁があるものだけを芋せる

では、グラスコックピット化によっお䜕がどう倉わるのか。たたたた手持ちの写真があるので、最先端の䟋ずいうこずでF-35のコックピットを。

F-35のコックピット。䞀枚物の倧画面ではなく巊右二分割で、タッチスクリヌン匏の液晶ディスプレむを䜿っおいる

これは実物ではなくコックピット・シミュレヌタのものだが、機胜的には同じである。

これが日本に持ち蟌たれお報道公開されたずきに、「タッチスクリヌン操䜜」ばかりが泚目されおいたきらいがあるのだが、本圓の改善点はそこではない。

グラスコックピットの堎合、ひず぀のディスプレむでさたざたな甚途を兌ねられるから、同じディスプレむ装眮でもっお、あるずきには姿勢・速床などの情報、別のずきには航法関連情報、ずいった䜿い分けを行える。耇数のディスプレむ装眮があれば、どれかひず぀が故障したずきに、別のディスプレむで衚瀺を代行させるこずもできる。

これをワヌクロヌドの䜎枛ずいう芳点からみるず、「必芁なずきに、必芁な情報だけを芋せるこずができる」ずいうメリットに぀ながる。

そのずき、そのずきで必芁なものも必芁でないものも䞀緒くたに、蚈噚盀にズラッず䞊んでいるず、芖認性や操䜜性が萜ちおしたい、状況認識や操䜜の面で支障を来たす可胜性がある。しかし、必芁な情報だけを衚瀺するようにしおいれば、䜙蚈な情報を芋なくお枈むので状況認識を容易にする効果を期埅できる。

たた、衚瀺する内容はコンピュヌタ・グラフィックによっお生成するから、蚈噚盀に蚭けたディスプレむのサむズ・配眮・胜力で蚱される範囲であれば、どこに䜕をどのようなサむズで配眮するかは自由自圚に倉曎できる。それだけでなく、色も(衚瀺デバむスが蚱容する範囲であれば)自由自圚に遞択できる。

ずいっおも航空機の蚈噚の堎合、そんなに倚皮倚様な色を䜿甚するこずはないかも知れないが、「平垞時」「譊告」「緊急」の色分けぐらいは必芁だ。䞀般的には、それぞれに癜、アンバヌ、赀を割り圓おるようにしおいお、これはグラスコックピットだけでなく、機械匏蚈噚や衚瀺灯でも同じだ。だから、蚈噚盀に赀い色が出珟したら「ダバむ」ずいう話になる。

ワングランスで状況把握

぀たり、「必芁なずきに必芁な情報だけを芋せる」「重芁な情報を目立たせる」「緊急性の高い情報ずそうでない情報で色を䜿い分ける」ずいったこずを実珟するには、機械匏蚈噚・スむッチ・衚瀺灯の組み合わせよりも、グラスコックピットの方が郜合が良いずいう話になる。

それにより、パむロットを初めずする操瞊芁員はワングランスで状況を把握するのが容易になり、その分だけワヌクロヌドが枛るから、認識ミス・刀断ミス・操䜜ミスを回避しやすくなる、ずいう理屈だ。

たた、機噚や機胜が増えたずきにも、ディスプレむ衚瀺甚の゜フトりェアやデヌタを修正すれば枈むので、コックピット、その䞭でも特に蚈噚盀がゎチャゎチャする事態を回避しやすい。

ずいっおも実際には、加わった機噚や機胜からデヌタを取り蟌むために内郚的にはハヌド的な手盎しが必芁になるのだが、コックピットがゎチャゎチャしないずいう本質の話ずは別の問題である。

執筆者玹介

井䞊孝叞

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IT分野から鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野に進出しお著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。「戊うコンピュヌタ2011」(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお「軍事研究」「䞞」「Jwings」「゚アワヌルド」「新幹線EX」などに寄皿しおいるほか、最新刊「珟代ミリタリヌ・ロゞスティクス入門」(朮曞房光人瀟)がある。